音楽ナタリー Power Push - 04 Limited Sazabys
覚悟と決意を込めた2ndアルバム
04 Limited Sazabysがニューアルバム「eureka」をリリースした。
今夏にこれまで住んでいた愛知県から上京したフォーリミ。彼らの覚悟と決意が詰まったニューアルバムについて、メンバー4人に話を聞いた。あわせて来年2月に行われる東京・日本武道館でのワンマンライブへの意気込みも語ってもらった。
取材・文 / 小林千絵 撮影 / moco.(kilioffice)
「名古屋のバンド」から「日本のバンド」に
──アルバムについて話を聞く前に、まずは上京の話を聞かせてください。今年の夏、メンバーの皆さんは愛知県から東京へと上京したんですよね(参照:「お知らせ|塩がいいのにタレにしてしまった」)。どうして上京を決意したんでしょうか?
GEN(B, Vo) ありがたいことに、週3、4のペースで東京に行くことが多くなってきて。移動時間のほうが長いくらいなこともあるので、この時間にもっとクリエイトできるんじゃないかと思って。あとレーベルのスタッフもライブのチームも全員東京の人なんですよ。だから僕らが名古屋にいることによって、何かとテンポ感が遅くなることも気になってたし、スタッフの負担も大きいなとずっと思ってたんですよ。なので、そろそろ東京に出ていいかなと。
──とはいえ、フォーリミは名古屋にこだわって活動している印象があったので、驚きました。
GEN 自分の中で「名古屋で一番になったら東京に出ていい」っていうルールがあったんです。で、「CAVU tour 2015」のツアーが終わったぐらいから「名古屋ではもう一番だな」と思えてきたというのもあります。あと東京に対してずっと「こんな汚いところ住めるかよ」って思ってたんです。でもそれはたぶん地方に住んでるからこそのコンプレックスなんですよね。僕の友達もどんどん上京していって、「東京がそんなにいいか」ってちょっと拗ねてた部分があったんですけど、周りのチームの人とか好きな人たちがみんな東京に住んでるのに、好きになろうとしてないのってダサいなと思って。
KOUHEI(Dr, Cho) 去年の夏ぐらいからGENが「上京しない?」って言い始めたんですけど、俺ら3人は「何言ってんだよ」みたいに思ってたんですよ。でも俺も東京でいろんな刺激をくれる人と出会う機会があって、東京舐めてたかもって思い始めて。あと一人暮らしをしようと思ってたタイミングだったので、アリかなって思っていきました。
HIROKAZ(G) 俺もGENのジャブみたいな説得で行ってもいいかなって思うようになりました。
KOUHEI 最後まで渋ってたのはRYU-TAだったよね。
RYU-TA(G, Cho) うん。フォーリミは名古屋のバンドだって思ってたから。「名古屋の04 Limited Sazabys」って言ってるんだから、名古屋を守っていかなくちゃと。
KOUHEI そのときGENが「“日本のバンド”にならない限り、名古屋は守れないんじゃないの?」って言って。
GEN 「名古屋のために名古屋を背負って東京で戦うべきじゃないか」って言ったんです。
RYU-TA その言葉をきっかけに少し揺らいでからは、ちょっとずつ説得されて(笑)。
KOUHEI 今は、東京で戦って数年後、培ったものを名古屋に持ち帰れれば、それが一番いいことかなと思ってます。
GEN あと「YON FES」っていうイベントを名古屋でできたことによって、帰る場所を作れた気がしたのも、上京を決断する大きな理由になりましたね。名古屋で主催フェスをやるまでは絶対東京に行かないでおこうって思ってたので。
バンドシーンを背負う覚悟
──その上京後、初めてリリースされる「eureka」は「YON FES 2016」を経て作った作品ですよね。このアルバムには「YON FES 2016」で見えた自分たちの強みとか、バンドシーンにおける立ち位置とかが反映されているんじゃないかと思うのですが、改めて「YON FES 2016」で見えたものを教えてもらってもいいですか?
GEN そうですね。ギターロックとかパンクとか、いろいろなジャンルがありますが、僕たちはそこをつなげて1つの「バンドシーン」を作り上げる役割ができるんだなと改めて思いました。僕の感覚では、今は小学校でもダンスが授業にあって、小さい子はダンスグループやアイドルとか、そういうものに憧れている人が多いと思ってるんです。音楽シーンの中で、バンドっていう畑がどんどん狭くなっている気がしてる。だからジャンル関係なく、「バンド」としてみんなで一丸になってひっくり返したい。その旗振りを僕たちが、ということではなくて、架け橋としてバンドシーンを強くしていかないとなと。
──強固な「バンドシーン」を作り上げる役割を担うと。
GEN はい。前までは自分たちの音楽がメジャーで通用するかなとか、そういうことを考えていたんですけど、今はそういうレベルじゃなくなったんですね。ロックシーンとか、音楽業界とか、そういうレベルで戦う覚悟ができたんだと思います。
──東京に出る覚悟ができて、バンドシーンを背負う覚悟ができて。今のフォーリミはこれまで以上に気持ちが強くなったんですね。
GEN そうですね。僕らももちろん変わりたいし、音楽シーンも変わればいいなと思って、「eureka」がそのきっかけになるんじゃないかと思っています。
レベルアップした4人だからこそ作れた「eureka」
──「eureka」は、どういう作品を作ろうと思って作り始めたんでしょうか。
GEN 正直「どういう作品を」っていうのはそこまで決まってなかったんです。ただ1曲目の「Horizon」と2曲目の「Feel」は、去年出したシングル「TOY」の制作の段階からアルバム用に録っていて。「Feel」がアルバムの主軸になるだろうから、骨太なロックアルバムになるんじゃないかなと思ってました。で、カッコいいソリッドなロックチューンができてくるにつれて、ポップなかわいい曲が欲しいとか、「もっと軽い曲が欲しいな」とか、「なんならバラードとかもあったほうがいいんじゃないか」とバランスをとっていった感じです。
──おっしゃる通り、ソリッドなロックチューンからバラードまで、バラエティ豊かな曲が並んでいますけど、歌を聴かせる「Horizon」で始まって、歌を聴かせる「eureka」で終わるおかげか、全体的な統一感があります。
GEN そうですね。ちゃんと入り口とゴールがあるんで、その中は振り切れててもバランスが取れるというか。ちゃんと1枚の作品になった感じがしますね。
──1stアルバム「CAVU」もバラエティ豊かなラインナップだったんですけど、今作のほうが無理がない感じがします。
GEN 純粋にメンバー全員が技術面でレベルアップしたからじゃないかな。去年この作品を作ろうとしたらすごい背伸び感が出たと思うんですけど、今だったら自然体に聴こえる自信があります。
KOUHEI あと曲に対するみんなの方向性がまとまってきた感じがします。アレンジ1つ取っても、自分がやりたいことよりも、その曲のよさを最大限に生かすにはどうするかを考えられるようになりましたね。
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- ニューアルバム「eureka」 / 2016年9月14日発売 / 日本コロムビア
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3456円 / COZP-1228~9
- 通常盤 [CD] 2700円 / COCP-39661
CD収録曲
- Horizon
- Feel
- drops
- Warp
- paradise
- climb
- Night on
- mahoroba
- discord
- Telepathy
- Letter
- eureka
初回限定盤付属DVD 収録内容
- AIM tour 2016 final @TOYOSU PIT
- AIM tour Diary
- NEWS 04
- AIMツアー 慰安旅行?
04 Limited Sazabys(フォーリミテッドサザビーズ)
2008年に愛知県名古屋市にて結成された、GEN(B, Vo)、HIROKAZ(G)、RYU-TA(G, Cho)、KOUHEI(Dr, Cho)によるロックバンド。2013年5月に発表した2ndミニアルバム「sonor」より日本語詞を多く取り入れ、楽曲の幅を広げる。メロディックパンクやギターロック、ラウドロックなど、さまざまなジャンルのバンドと競演を重ね、2014年2月に3rdミニアルバム「monolith」、同年9月に1stシングル「YON」をリリース。2015年4月に1stフルアルバム「CAVU」を日本コロムビアから発売し、メジャーデビューを果たした。同年10月にメジャー1stシングル「TOY」を、2016年3月に1st DVD「MOMENT」を発売。4月には初の主催フェス「YON FES 2016」を大成功に収めた。ニューシングル「AIM」を6月に発表し、9月に2ndフルアルバム「eureka」をリリース。2017年2月に初の東京・日本武道館公演を行う。