女の子に落ちるのは胃袋をつかまれたとき

──最後はスローチューンの「soup」です。

GEN　20歳くらいのときにずっと仲のよかった友達が、事故で死んじゃって。そいつはラップをやってて、僕もバンドをやってたので「お互いジャンルは違うけどがんばろうね」みたいな話をしてたら、その日の夜に死んじゃったんですよ。で、もちろんショックだったし、後悔もいっぱいあったけど、そいつが死んだことを勝手に背負わせてもらおうと思ったんです。頼まれてもないのに。

──GENさんなりの、死の受け入れ方というか。

GEN　あと制作中にSECRET 7 LINEのSHINJIさんが亡くなって。それもあって、誰かが死んだっていうネガティブなことを、どう自分の中で前向きに咀嚼するかっていったら、それを背負って「そのぶん、俺もがんばらせてもらいます」っていうふうにしかできなかったので。

──この曲を聴いたときにSHINJIさんのことを歌ったのかなと思いました。

RYU-TA　俺もそうかなって思った。

GEN　SHINJIさんが亡くなったのを知った日は制作真っ只中だったんですけど、もう何も手につかなくなっちゃって。SHINJIさんのお葬式の日に、ちょうど僕はレコーディング中で歌を録ってたんですよ。お別れには行けないけど、僕らは新しい音楽を作ってますっていう気持ちを込めました。

──これもまた直接的に書くのではなく、恋愛っぽい描写にしてますね。

GEN　そうですね。ただただそれを直接的に書くとただ重たくなっちゃうだけだと思ったので。同棲してた人が出ていっちゃったのかなみたいな雰囲気にしました。

──タイトルでもあり、歌詞の最後にも出てくる「スープ」というのは？

GEN　僕が女の子に落ちるときって胃袋をつかまれることが多かったりして。昔、弱ってるときに、近所の女友達がごはん……栄養のあるスープみたいな料理を持ってきてくれたことがあって、それを思い出して。

──GENさんの中での愛情の象徴なんでしょうね。

GEN　そうですね。思いやりが溶けてる感じがするというか。あったかいし。

──この曲はテンポがゆっくりだし、GENさんの声もずいぶん低いし、またバンドにとっての新機軸だなと思いました。

GEN　確かに。一番しゃべり声みたいな声ですね。あとテンポが遅いので、とにかくシンプルなサウンドにしようと思いました。

KOUHEI　シンプルすぎるし、これを入れると「フォーリミ変わっちゃったんじゃない？」って思われるんじゃないかっていう不安も出てきて。それこそ最初、GENの歌とベースから始まるのも最初は納得してなかったんですけど、3曲目の「escape」ができて、3曲目がこれだけ尖った曲なら、次の「soup」はどこまででもシンプルにしてやろうって決心がつきました。

GEN　僕ら、これくらい遅い曲って今までやったことなくて苦戦しましたね。「遅いのってこんなに難しいんだ」って。

KOUHEI　ボロがすぐ出るから、レコーディングでもみんなすぐ「もう１回お願いします」って言ってた。ライブがこわいです（笑）。

問い？ Taste Of You？ TOY？

──この4曲を集めて「TOY」というタイトルにしたのはどういう意図なんでしょうか？ 「TOY」は「オモチャ」を意味する単語ですけど、正直、オモチャ感はないなと……。

GEN　実はタイトルは先に決めてまして。4曲入りのシングルを出すっていう時点で、去年出した「YON」の進化盤だなって思ったら、秋っぽい質感で、ジャケは背景のない対象物がぽんといて、シンメトリーなタイトルがどんとあるっていうイメージができて。そこから「TOY」っていうタイトルが思いついたんですよ。で、その単語を噛み砕いだときに「自分への“問い”」なのか「Taste Of You」なのかとか、いろいろ考えられるので、これは「TOY」でいこうと。オモチャ的なポップな意味で捉えてもらってもそれはそれでいいと思うし。

──今作のリリース後には初のワンマンツアーがありますね。ツアーファイナルは愛知・Zepp Nagoyaです。

KOUHEI　Zeppでライブするなんて想像したこともなかった。お客さんとして行くところだと思ってたんで。

HIROKAZ　ダイア（DIAMOND HALL）はライブハウスって感じがするけど、Zeppは自分たちがライブをする場所ではないと思ってましたね。

GEN　しかもワンマンなんて。楽しみですね。