亀田誠治「僕は幸せです」武道館で豪華競演60曲の“恩返し”

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5月18、19日に東京・日本武道館で亀田誠治の総指揮によるライブイベント「亀の恩返し 2013」が開催され、彼がプロデュースワークで関わった計10組のアーティストが出演した。

18日公演のフィナーレの様子。

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19日公演のフィナーレの様子。

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18日公演よりスピッツ+ハウスバンド「タイム・トラベル with 秦基博、KREVA」の模様。

18日公演よりスピッツ+ハウスバンド「タイム・トラベル with 秦基博、KREVA」の模様。

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18日公演よりスピッツ+ハウスバンド「魔法のコトバ with スガシカオ、アンジェラ・アキ」の模様。

18日公演よりスピッツ+ハウスバンド「魔法のコトバ with スガシカオ、アンジェラ・アキ」の模様。

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19日公演よりスピッツ+ハウスバンド「魔法のコトバ with いきものがかり+秦基博」の模様。

19日公演よりスピッツ+ハウスバンド「魔法のコトバ with いきものがかり+秦基博」の模様。

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1日目:2013年5月18日

4年前に初開催された前回の「亀の恩返し」同様、特殊な形のセンターステージが組まれた武道館。暗転すると、主催者・亀田による「ここに集まるアーティストは、僕と音楽の絆で結ばれた最高のアーティストたちです」という開会アナウンスと、金原千恵子ストリングスを中心とした生演奏のオープニングSEが場内を包み込み、早くも感動と期待感が膨れ上がる中イベントはスタートした。

トップバッターを飾ったのはスピッツ。1曲目「スターゲイザー」の「♪遠く遠く」という歌い出しと同時に彼らが明るく照らされると、武道館中から驚きと喜びの大歓声が上がる。バンドは続いて亀田プロデュースによる「シロクマ」、1994年発表の懐かしいナンバー「青い車」で心地よいアンサンブルを奏でる。草野マサムネ(Vo, G)は「スピッツは今年初ライブなので、デビューライブであるかのような緊張感です」と言いつつも、独特のゆるい雰囲気を醸す。亀田と制作した新曲「さらさら」を経て、スピッツパートの最後は「春の歌」。ハウスバンドを使わず、メンバー4人とストリングスでシンプルかつ力強いステージを作り上げて亀田への感謝を捧げた。

続く秦基博は、スピッツのアクトから間髪入れずに南側の花道を歩いて登場。言葉もなくアコースティックギターを爪弾いて「アイ」を始め、オーディエンスからは自然と拍手が沸き起こった。その後、彼の2曲目「初恋」からこのイベントのハウスバンドである亀田誠治(B)、河村“カースケ”智康(Dr)、小倉博和(G)、西川進(G)、斎藤有太(Key)、皆川真人(Key)というメンバーが演奏に入った。MCで秦は「音楽の楽しさを教えてくれた人が、後ろにいるんです」と亀田を紹介し、初めて2人がタッグを組んだ始まりの1曲「鱗(うろこ)」でこの上ない高揚感をその場にもたらした。

次にグランドピアノにスポットライトが当たると、アンジェラ・アキの出番。彼女は「サクラ色」「孤独のカケラ」といった亀田プロデュース楽曲や「This Love」の“絶唱”とも言えるパフォーマンスで観客を圧倒。その傍ら、MCでは気さくなキャラクター全開で「亀田誠治は本当に日本の宝!」と断言し、亀田との出会いのエピソードをユーモラスに打ち明けてくれた。後半では、亀田と作り上げたばかりで7月3日リリースのニューシングル「夢の終わり愛の始まり」を初披露。「亀田さんに新境地に連れて行ってもらった」と評するハッピーな雰囲気の新曲のあとは、ライブ定番曲「たしかに」で「♪ラララララ」の大合唱を巻き起こした。

KREVAは、1階席の観客と触れられるほど近い花道先端に姿を現し、冒頭から盛り上げ役を買って出る。今回披露された「Na Na Na」「OH YEAH」「イッサイガッサイ」などは新鮮なバンドアレンジが施され、中でも「イッサイガッサイ」はベースを中心に据えながらバイオリンやチェロの優美な音色も混じって大人っぽいトラックに様変わりしていた。さらに、CD音源で草野マサムネをフィーチャーした「くればいいのに」では、オーディエンスの期待通り生共演が実現。さまざまな形でファンを喜ばせたKREVAは最後に、4年前の同イベントで初披露した亀田とのコラボ曲「恩返し」を歌った。なお「亀の恩返し」オフィシャルサイトでは、同曲のレコーディング音源がイベント開催前からフリーダウンロード形式で公開されている。

このあと会場では、大宮エリーが監修しJUJUがナレーションを務めた幕間映像がスクリーンに映し出され、続いてステージにKREVAが再登場して詞「月と少女」の朗読を行った。観客は“恩返し”をテーマにしたこれらのストーリーに目と耳を傾け、穏やかで優しい世界に浸る。こうしてイベントはゆっくりと後半に突入した。

JUJUは「ただいま」「また明日…」やBONNIE PINKのカバー「Last Kiss」といった亀田プロデュースのナンバーを続けて歌唱。4曲目には亀田がJUJUを知った曲であり、亀田たっての希望で選曲された「奇跡を望むなら…」を届け、「やさしさで溢れるように」を含め全5曲、強くしなやかなボーカルを響かせた。

この日最後のオリジナルパートとなったのはスガシカオ。名曲「Progress」で赤い光に包まれたながらパフォーマンスを始めたスガは「武道館いくぞー!!」と声を張り上げ、オーディエンスの興奮を奮い立たせる。彼は「今日は、亀田さんからもらってる“音楽汁”を“スガ汁”含めてみんなに返すみたいな、そういう解釈でいい!?」と亀田に問いかけ、亀田も「もちろん!!」と満面の笑みを返す。その言葉どおり最新曲「アイタイ」では、スガの持ち味であるヒリヒリとした鋭い表現力が存分に発揮された。続いてJUJUとの「夜空ノムコウ」という、この日だけのプレミアムな共演。美しいハーモニーで場内を魅了したあとは、屈指のアッパーチューン「午後のパレード」で大団円を迎える。スガは客席にも降りてファンと手を合わせたほか、亀田、小倉、西川とギターやベースを突き合わせながら「亀の恩返し最高ー!!」と喜びを爆発させた。

1日目の出演アーティストがすべて出揃い、1人ステージ中央に立った亀田が口を開く。亀田は、初回の「亀の恩返し」から2度目を開催するまでに4年かかったことについて「僕も出演してくれるアーティストも成長した姿を見せたかったというのと、この4年の間に皆さんにもいろんなことが起きて、音楽の大切さを再確認した期間だったと思います。でも次はもう少し早くやりたいね(笑)」と話し「今日みんなに温かい気持ちが届けられていたら、本当に幸せです」と一言一言大切そうに届ける。

そして「これだけだと恩返しし足りない!」という言葉を合図に、スピッツとハウスバンドを中心としたスペシャルコラボパートが始まった。スピッツがアルバム「おるたな」でカバーした「タイム・トラベル」では、スピッツの演奏と歌に、秦のボーカル、KREVAのオリジナルラップが融合。さらに、スガ、アンジェラとは「魔法のコトバ」を共演し、武道館はまさに音楽の魔法にかかったような幸せなムードに満たされていた。亀田は最後に「とっても幸せです。この気持ちをみんなで持って帰ろう」と観客に呼びかけ、出演アーティストおよびバンドメンバー全員と手をつないで深く礼をした。

2日目:2013年5月19日

2日目も、スピッツは1番手として大きな歓声で迎えられる。この日は3曲目に1998年発表の名バラード「楓」を披露し、草野は演奏を終えると「(金原千恵子)ストリングスの皆さんはスピッツの歴史の中でもかなり長くお世話になっていて、CDの再現がやっとできたなと」と満足気な笑みを浮かべていた。また、秦も前日のセットリストを一部変え、アルバム「Signed POP」に収録されている皆川真人プロデュースの「Girl」を弾いた。

スピッツ、秦と並んで両日出演となるKREVAは、アクトが始まってすぐ「俺の『亀恩』が始まった気がする! 昨日めちゃくちゃドアウェイでさあ。でも今日はいけそうな気がする!」とペースをつかんだ様子。俄然強気になった彼は「ゲストリストに名前が載ってない人が来てもいいんじゃないですか!?」とサプライズゲストの登場を煽り「寿司にはワサビ。刺激が必要だろ? 『亀音』にはMIYAVI!!」と、亀田にとっても盟友であるMIYAVIを呼び込んだ。そして「STRONG」でKREVAの高速フロウ、MIYAVIのエモーショナルなシャウトとスラップ奏法のギター、亀田の唸るようなベースプレイが合わさり、ステージ上は真剣勝負の場と化した。

次に、前日と同じアニメーションの上映とKREVAの朗読タイムが設けられる。映像のナレーションは前日JUJUが担当したが、この日は吉岡聖恵(いきものがかり)が声を吹き込んでいた。

念願の「亀の恩返し」初出演を果たしたいきものがかりは、セットリストをすべて亀田プロデュース曲で固めて臨んだ。ストリングスを贅沢に使った壮大なアレンジの「風が吹いている」で、冒頭からオーディエンスを圧倒。MCでは、メンバーを代表して水野良樹(G, Cho)が「僕たちは、亀田さんが関わってきた音楽を10代のときから聴いてきたんですよ。だから今うしろにいる人たちって、ヒーローなんですよ! 本当はライブだから皆さんを楽しませないといけないんだけど、僕たちが幸せになりますので、それを観ていただくということで……(笑)」と話し、その後も亀田への尊敬心を力説した。そして、メジャーデビュー前に亀田とレコーディングしたという「ホットミルク」、彼らの音楽への愛が詰まった2012年のナンバー「会いにいくよ」など元気な楽曲を投下し続け、大きな盛り上がりを作った。

いきものがかりのアッパーソングで熱を帯びた会場を、一瞬にしてバラードモードに変えたのは平井堅。彼は「瞳をとじて」「告白」を曲の世界観に入り込んだ表情で歌い上げると、ホッとひと息ついて「2度目もこうしてお招きいただき光栄です。今日はせっかくの『亀恩』なので、やる曲全部亀田ワークスでお届けしようと思っています」と宣言した。ここで、ゲストとして旧知の仲である草野マサムネを紹介し、以前2人が亀田プロデュースのもとカバーした「わかれうた」(オリジナル:中島みゆき)へ。ちなみに2人は先月プライベートでカラオケに行った際も、草野が泥酔状態の中この曲を歌ったそう。平井はこのあと「POP STAR」で華やかに自分の出番を締めくくった。

亀田、キヨサク(MONGOL800)、Mummy-D(RHYMESTER)、箭内道彦(猪苗代湖ズ)からなるユニット・THE HUMAN BEATSは、昨年リリースしたチャリティソング「Two Shot」1曲のみを披露。人と人のつながり、優しさ、温もりを歌った歌詞やアコースティックなサウンドに観客も身を委ね、場内はフィナーレへ向けてより一体となった。その後、亀田による締めのMCでは「僕は幸せです。僕たちが笑いながら作っている音楽が、皆さんの毎日に溶け込んでいたらうれしいです」と語られる。

この日のスピッツとハウスバンドによるセッションは、2曲目の「魔法のコトバ」にいきものがかり、秦が参加。計8人のメンバーのみならず、亀田、西川、小倉もステージ上を練り歩き、観客に目いっぱい手を振った。2日間にわたるプログラムをすべて終え、計60曲を演奏した亀田は、やり切った晴れやかな表情。彼は武道館全体を見渡しながら「『亀の恩返し 2013』これで終わりです。最高のアーティストと最高のお客さん。本当にうれしいです。これからもいい音楽だけを作っていきたいと思います。みんなの元に届けます。また必ず会いましょう!」と思いの丈を伝えて、笑顔でステージをあとにした。

亀の恩返し 2013
2013年5月18、19日 日本武道館 セットリスト

5月18日

スピッツ
01. スターゲイザー
02. シロクマ
03. 青い車
04. さらさら
05. 春の歌

秦基博
01. アイ
02. 初恋
03. フォーエバーソング
04. 水無月
05. 鱗(うろこ)

アンジェラ・アキ
01. サクラ色
02. This Love
03. 孤独のカケラ
04. 夢の終わり愛の始まり
05. たしかに

KREVA
01. Na Na Na
02. OH YEAH
03. イッサイガッサイ
04. くればいいのに with 草野マサムネ
05. 恩返し wth 亀田誠治

JUJU
01. ただいま
02. Last Kiss
03. また明日…
04. 奇跡を望むなら…
05. やさしさで溢れるように

スガシカオ
01. Progress
02. サヨナラホームラン
03. アイタイ
04. 夜空ノムコウ with JUJU
05. 午後のパレード

スピッツ+ハウスバンド
01. タイム・トラベル with 秦基博、KREVA
02. 魔法のコトバ with スガシカオ、アンジェラ・アキ

5月19日

スピッツ
01. スターゲイザー
02. シロクマ
03. 楓
04. さらさら
05. 春の歌

秦基博
01. アイ
02. 初恋
03. Girl
04. 水無月
05. 鱗(うろこ)

KREVA
01. Na Na Na
02. OH YEAH
03. イッサイガッサイ
04. C'mon, Let's go
05. STRONG with MIYAVI
06. 恩返し wth 亀田誠治

いきものがかり
01. 風が吹いている
02. ホットミルク
03. 会いにいくよ
04. 笑ってたいんだ

平井堅
01. 瞳をとじて
02. 告白
03. わかれうた with 草野マサムネ
04. 僕は君に恋をする
05. POP STAR

THE HUMAN BEATS
01. Two Shot

スピッツ+ハウスバンド
01. タイム・トラベル with 秦基博、KREVA
02. 魔法のコトバ with いきものがかり+秦基博

※記事初出時、秦基博「Girl」のプロデューサー表記、および「わかれうた」のオリジナルアーティスト表記に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

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