最新アルバム「時のシルエット」を携えたツアーということで、ライブもアルバムと同じく「Aka」から幕を開けた。aikoの精悍な面持ちと歌声に呼応するように、観客も静まり返って視線をステージに集中させ、会場は冒頭から緊張感が張り詰める。しかし次の「白い道」「シャッター」からは、aikoも客席も解き放れたように動き出し、ジャンプや手拍子でステージを盛り上げていく。
4曲目の「milk」はライブでひときわ盛り上がるハイライトのひとつだが、この日は冒頭で歌詞につまづき、途中で曲を止めるハプニングが。aikoは「すいませんすいませんすいません! 絶対ごまかしたくなかったんですけど」としきりに謝りながら土下座をする。珍しいハプニングにファンが沸く中、aikoは景気付けに「男子! 女子! そうでない人! 全員!」とお決まりのコールを叫び「じゃあ聴いたことあるかもしれませんが、『milk』!」と言って演奏を再開させた。
また、最初のMCコーナーでも「LOVE LIKE POP vol.15 最終日にすいませんでした! aikoです!」と挨拶。「たくさんの思いをここでみんなにぶつけて、みんなが1つになる瞬間をいっぱい作って、アホな時間を一緒に過ごしたいと思っています。皆さんの力がないと今日のライブは成立しないので、ぜひとも力を貸してください。最後までよろしくお願いします!」とファイナル公演に集まったオーディエンスへ呼びかけた。
続いて「冷たい嘘」「リズム」「横顔」とミドルチューンのパートを披露し、再びMCを挟む。ここでは、祖父が長崎に住んでいるというaikoが田舎でのエピソードを口にする。子供の頃に散歩をして帰ってくると背中にカブトムシが付いていたことや、天の川を見たことから「みんなほんと素敵な町にいるよね。いや、ほんとに、ほんと素晴らしいと思うよ」と長崎の土地を絶賛。続けて「その場所で私も最終日を迎えることができてうれしいし、いろんな思い出があるけど、今日はみんなと一番大きい思い出を作りたいなと思ってます」と話した。
和やかなムードは、次の「雨は止む」から一変。アルバム「時のシルエット」の収録曲の中で一番最後に出来上がったというこの曲では、セットに映るグラフィックや照明を使って見事に“雨は止む”場面を表現。ドラマチックな演出は、続く3拍子のバラード「天の川」でさらに極まり、満点の星空を模したスクリーンや波状のレーザー光線によって、会場はまるで“天の川”に包まれたような幻想的な空間となった。
観客が席に着いての弾き語りコーナーでは、aikoはファンから集めたキーワードを盛り込みつつ即興でオリジナルソングを制作。この日は「昨日雪が降った」「milk」「抱き枕」「波佐見焼(長崎の陶磁器ブランド)」「くまモン」「金環食」という6つのお題が上がり、aikoはこれら全てを歌詞に入れて「くまモンの中はあたし、俺の抱き枕はミルクちゃん」というタイトルの甘酸っぱいナンバーを歌い上げた。さらにキーボード弾き語りで「ドレミ」、サポートギタリストの秋山浩徳を加えて「トンネル」もじっくりと聴かせた。
その後aikoは、衣装を真っ赤なワンピースに替えてメドレーで再登場。アップテンポな「恋のスーパーボール」「雲は白リンゴは赤」からスローな「ウミウサギ」、ロックな魅力あふれる「恋愛」「ジェット」まで多彩な選曲のメドレーを楽しんだあとは、ニューアルバムより「くちびる」「クラスメイト」「運命」の3曲を連投する。そして「男子! 女子! そうでない人! 2階! 2階立見! 1階立見! 1階後ろ! 真ん中! 前!」とくまなくコールしてラストスパートに突入。「be master of life」の間奏でお馴染みのバンドメンバー紹介を挟み、場内全員の一体感を高めた上で、「皆さん全部の力を出し切っていただきたいと思います! 全部、全部、全部ぶつけてな!」と叫んで本編最後に「beat」を熱唱した。
本編が終わった場内には、「もってこーい! もってこい!」というコールが鳴り響く。長崎名物の龍踊りで使われるかけ声だ。この土地ならではのアンコールに、aikoは「めっちゃかわいかったみんな。テンション上がったー。皆さん、今日しかないアンコールのコール、本当に本当にありがとうございます」とうれしそうな笑顔を見せていた。
アンコール1曲目の「自転車」は、「時のシルエット」で最後に収められている渾身のバラード。会場が大きな感動に包まれる中、歌い終えたaikoはしみじみと「自分自身も小学生のときに想像していた37歳とは全然違う37を過ごしています。歌手になりたいという夢は3歳のころから変わっていませんけれども。でも、37歳までこうやって生きてこれて良かったなと思います。生きてなかったらみんなにも会われへんかったし、楽しいこういう時間も作れなかったのでほんま良かった。せやからみんな元気でおってよ。みんなで一緒にがんばって笑って過ごしましょう」と語りかけた。
そして「シアワセ」で通常のセットリストを全て終えるが、この日はさらに「ボーイフレンド」をプレゼント。3時間20分におよぶライブの終わりにaikoも観客も残りのパワーを振り絞り、盛り上がりは最高潮に達する。aikoはマイクなしの肉声で「皆さん本当に今日は最後までありがとうございました! この会場にいる1人ひとりのみんなが明日も笑顔でありますように! 行くよ! もってこーい! もってこーい! 本当にどうもありがとうございました!」と叫んで、笑顔でステージをあとにした。
約4カ月半をかけて、21都市31公演からなる自身最大規模のツアーを完走したaiko。彼女は年明け1月19日から、全国4都市を回る追加公演「Love Like Pop vol.15 add.」を開催する。
aiko「Love Like Pop vol.15」
2012年11月28日 長崎ブリックホール セットリスト
01. Aka
02. 白い道
03. シャッター
04. milk
05. 冷たい嘘
06. リズム
07. 横顔
08. 雨は止む
09. 天の川
10. ドレミ
11. トンネル
12. 「LOVE LIKE POP vol.15最終日!! このメドレーを最後に長崎で歌う事が出来て本当に良かったです。聴いてくれてありがとうございました!! メドレー」
(恋のスーパーボール~雲は白リンゴは赤~マント~ウミウサギ~キスする前に~花火~なんて一日~恋愛~こんぺいとう~ジェット)
13. くちびる
14. クラスメイト
15. 運命
16. be master of life
17. beat
<アンコール>
18. 自転車
19. シアワセ
20. ボーイフレンド
Love Like Pop vol.15 add.
2013年1月19日(土)神奈川県 横浜アリーナ
2013年1月20日(日)神奈川県 横浜アリーナ
2013年1月26日(土)大阪府 大阪城ホール
2013年1月27日(日)大阪府 大阪城ホール
2013年2月19日(火)愛知県 日本ガイシホール
2013年2月23日(土)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
2013年2月24日(日)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
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