ワールドツアーを経て、日産スタジアムおよびユニバーサル・スタジオ・ジャパンで凱旋ツアーを繰り広げてきたL'Arc-en-Ciel。国立競技場公演はこれらのツアーの集大成とも言える充実した内容と大掛かりな演出で、集まったファンを圧倒した。
オープニングでは競技場ゲートから大人数のマーチングバンドが入場し、「虹」を高らかに演奏する。その音色に乗せ、フロートに乗ったメンバー4人がゲートから姿を現すと、オーディエンスからは大歓声と拍手が沸き起こった。そのままフロートは競技場を半周し、バックスタンド正面へ。4人が到着するとスタンド最上部の聖火台から炎が上がり、観客を沸かせた。
フロートがさらに場内を半周し、ステージに到着した4人が鳴らした1曲目は「READY STEADY GO」。「Are you ready?」というhyde(Vo)の声に、ファンは両手を上げて応える。会場のテンションが一気に急上昇した後は「GOOD LUCK MY WAY」。ken(G)は客席を笑顔で見渡しながら、クリアな音色を空いっぱいに響かせる。さらに「HEAVEN'S DRIVE」「Vivid Colors」と、このツアー初披露となるナンバーを連発すると、会場中から歓喜の叫びが起こった。
「ただいま東京! 今日はお祭りやからパッと行こうぜ!」と挨拶したhydeは、次の曲を「去年雨の中でやってしまって、ちょっと雰囲気出なかったんで(笑)。リベンジしちゃっていいですか?」と紹介。そしてtetsuya(B)のメロウなベースラインから「In the Air」が始まると、オーディエンスは悲鳴に近い歓声を上げる。さらに続けて往年の名曲「風の行方」へ。昨年、味の素スタジアムで開催された20周年公演では雨が降りしきる中演奏されたこれらの曲。今年は夕暮れ間近の野外にぴったりの、切なくも壮大な世界を作り上げた。
世界各国でファンの大合唱を巻き起こし、この日も会場中のファンが一体となって歌ったナンバー「MY HEART DRAWS A DREAM」、オープニングでも登場したチアリーディングチームが華麗なダンスで盛り上げた「Caress of Venus」といったナンバーの後、kenのMCコーナーへ。チアリーダーたちに取り囲まれ、ひときわうれしそうな彼の様子にオーディエンスからは大爆笑が起こる。ハイテンションに「世界を周って日本に帰ってきました!」とあいさつしたkenのギターから始まった「SEVENTH HEAVEN」で会場は大いに盛り上がる。そして日没を迎えた頃に「いばらの涙」が始まった。ステージ上で燃える炎に照らされた4人は、夕闇の競技場に情熱的なアンサンブルを響かせ、会場を圧倒した。
その後、tetsuyaのベースソロから始まったのは観客の予想を裏切る「C'est La Vie」。yukihiro(Dr)の刻む軽快なリズムに乗せ、hydeは花道を歩きながら歌う。ファンもそんなステージ上の様子を、サイリュームを握った手を振りつつ笑顔で楽しむ。柔らかなエンディングから一転、ステージから無数の炎が上がり「Shout at the Devil」が始まると、会場からは再び驚きの声が。4人はヘビーでシリアスなサウンドで、直前とは180度異なる世界を展開し、オーディエンスを熱狂させる。hydeも先程までの笑顔から一変し、鋭い目線を飛ばしながら鬼気迫る歌声を披露。最後はyukihiroの、力強いドラムソロで締めくくられた。
インターバルの後、4人は突如アリーナ後方のサブステージに現れ、後ろ側のオーディエンスを狂喜させる。hydeは無数のサイリュームがきらめく会場に向かって「あんたたち、きれいだよ(笑)。じゃあ、そんな感じの曲を」と語り、「Pieces」を歌い始めた。シンプルなライトに照らされた4人は、優しく雄大なバラードを情感豊かに奏でる。そのままサブステージで演奏されたのは「HONEY」。hydeのマイクスタンドは3方向に用意されており、360度のファンに向かって迫力ある歌声を投げかけた。
4人がメインステージへ戻ったあとは「NEO UNIVERSE」を披露。tetsuyaのメロディアスなベースラインを中心としたアンサンブルに、オーディエンスは身体を揺らして酔いしれる。エンディングから鳴り出した4つ打ちのリズムはだんだんと速度を増し、そのまま「CHASE」へ突入。さらに「X X X」「Link」と、世界各国を沸かせてきたキラーチューンが次々と放たれる。「Link」では巨大なバルーンがアリーナ席にいくつも投げ入れられ、カラフルに会場を彩った。
「Link」で手拍子しながらジャンプを繰り返したオーディエンスに、hydeは「そのジャンプ大変じゃない?(笑)手拍子もしたいけどジャンプもしたいみたいな感じでしょ。あんたたち素敵やわ」と称賛の言葉を贈り、「20周年の最後にこんな素敵なところでできるなんて思ってもみませんでした。でももうすぐ21周年なんですよね(笑)。むしろ21周年で盛り上がったほうがよかったかなって思うんだけど」と笑わせる。そして「難しいバンドだと思うんだけど、ここまでこれたということはこれで正しいんじゃないかと思うんです。人それぞれやり方は違うと思うけど、間違ってなかったんじゃないかなと思ってます」と、バンドの歩んできた道を振り返った。
最後に披露されたのは「虹」。21周年を迎え、また新しい一歩を踏み出す彼らの思いが感じられる神々しい演奏が、会場を包み込んだ。曲が終わった瞬間、ステージ上方からは多数の花火が打ち上げられる。hydeは「また帰ってくるから! いい子で待ってるんやで!」と語りかけ、笑顔でステージを後にした。
L'Arc-en-Ciel 20th L'Anniversary WORLD TOUR 2012 THE FINAL
2012年5月26日 東京・国立競技場 セットリスト
01. READY STEADY GO
02. GOOD LUCK MY WAY
03. REVELATION
04. HEAVEN'S DRIVE
05. Vivid Colors
06. In the Air
07. 風の行方
08. MY HEART DRAWS A DREAM
09. Driver's High
10. Caress of Venus
11. SEVENTH HEAVEN
12. いばらの涙
13. C'est La Vie
14. Shout at the Devil
15. Pieces
16. HONEY
17. NEO UNIVERSE
18. CHASE
19. X X X
20. Link
21. 虹
(撮影:今元秀明、緒車寿一、田中和子)
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この時だわ。2012年か… L'Arc-en-Ciel国立初日であの曲の“リベンジ”果たす - 音楽ナタリー https://t.co/nSoGqrwBFR