Ki/oon Musicのレーベル設立20周年を記念し、東京・LIQUIDROOM ebisuにて20日間にわたって行われているライブイベント「キューン20 イヤーズ&デイズ」の15日目公演が4月25日に開催。この日は
先攻を務めたのはTOTALFAT。Jose(Vo, G)の「リキッドルーム!!!」という咆哮から1曲目「Summer Frequence」が投下されると、場内の熱気は急上昇した。
この日もTOTALFATは攻めモード全開で、気合の入ったプレイを見せる。またKuboty(G)がタッピングでソロを演奏するとShun(Vo, B)がすかさず「テッシーさんに負けるなよ!」と煽るなど、対バン相手のユニコーンを存分に意識した様子。ファンもそれを受け、「Highway Part2」では高速ビートに乗りサークルモッシュで盛り上がったり、「Good Bye, Good Luck」ではサビでシンガロングを起こしたりと、ともに熱いライブ空間を作り上げていく。
MCでは「くそアウェイを想像して玉砕覚悟で来たんですけど、すげえ楽しくて!」とShunが観客に喜びを伝える。さらに「ユニコーン先輩よりもTOTALFATはちょっと音が固いけど、今日ここに全てをぶち込むので」と最高の演奏を誓いつつ、「(ユニコーンと対バンするなんて)人生で一番の事件になるかもしれないので!」と興奮した表情を見せた。
そしてバンドは、ライブ当日にリリースされた最新シングル「PARTY PARTY」を披露する。Joseが「ここにいるみんなと遊びたくて作ったの!」とシャウトしたとおり、この曲はBunta(Dr)のアゴゴべルから始まってメロコアサウンドにつながる、お祭り感満載のパーティナンバー。さらに「キューン20周年ということで、我々のレーベルメイトを紹介します!」という呼びかけを受けてステージに登場したのは、
続くMCでは、Shunが所属レーベルであるKi/oon Musicへの感謝を熱のこもった声で述べる。「TOTALFATはこの4月で結成12年を迎えて、1つのことをずっと続けていく大切さを感じています。20年も1つのことを続けていることに、心からリスペクトを感じています!」と口にすると、大きな拍手が起こった。また会場であるLIQUIDROOMについて「インディーズの最後のツアーのファイナルをここでやって、キューンに移籍してメジャー最初のライブもここでやって、そしてこんなすごいイベントに出させてもらって、すごく感慨深い」と語った。
MC後は、しんみりとした空気に寄り添うように「See You Later, Take Care」をやさしく演奏。さらに再度熱狂に火をつけるように「All for You」を投下。「Place to Try」の間奏ではJoseとKubotyがステージ前方のお立ち台でギターバトルを繰り広げ、楽曲の疾走感をさらに押し進める。そして最後にShunが「俺たちはどこででもライブをやってるから!! どこかで見かけたら今日の俺たちの顔と、演奏を思い出してください!!」と叫んで始まった「Overdrive」では、こらえきれなくなったキッズが続々とクラウドサーフに興じる。ステージ上の4人もそれに応えるように全身全霊で演奏し、TOTALFATのライブは沸騰状態の中でフィナーレを迎えた。
転換後のユニコーンのステージは、「『スター・ウォーズ』メインテーマ」をオープニングSEに、するすると幕が開くと5人は既に定位置に揃っているという小粋な演出からスタートした。1曲目は手島いさむ(G)がボーカルをとる「手島いさむ物語」。スタンドマイクの前に立ち、ギターを弾きまくるテッシーに観客は早くも大盛り上がり。続く「デジタルスープ」では、阿部義晴(Key)の奏でるピアノの澄んだ和音がLIQUIDROOMに美しく響く。
かと思えば次の楽曲は「WAO!」と、1曲ごとにくるくる違った表情を見せつけるユニコーン。曲の中盤では奥田民生(Vo, G)がカウベルを叩きながら「恵比寿ー!」とシャウトし、間奏でEBI(B)は「キューン!」と叫ぶ。さらに阿部がブレイク部分の歌詞を「なんつーかこのつなぎでかいんだよね」「っちゅうかでっかいんだよね」と新しい衣装であるブルーのつなぎに対する文句に変えるなど、遊び心もたっぷりだ。
ユニコーンがライブを行うのは昨年10月以来約半年ぶりとあり、MCでは民生が「久しぶりに人前でカウベル叩いたよ(笑)」とコメント。その後なぜか小声で「キューン20周年おめでとうございまーす」とささやき、会場がシーンとする。そして阿部に「(俺たちは)誰?」と促され民生が「ユニコーンでーす」と応じるなど、この日はひときわゆるいMCを展開。さらに民生は「たまたま僕がソロでキューンにいたという理由でユニコーンもキューン所属になったんですけど、なんでユニコーンもキューンなのか今でもわからない」「所属して3年ぐらいだから、TOTALFATとだいたい同期ですね」とレーベルの中では若手であるとの主張を挟み、衣装はNASAのレプリカだからサイズが大きいなどふわっとしたトークを続けていく。
最初のMCタイムが終わると、再び盤石な演奏がスタート。「頼みたいぜ」では民生のグルーヴィなギターと阿部のスウィンギンなピアノが炸裂。と思いきや、次は川西幸一(Dr)、テッシー、EBIがステージ袖にはけ、民生と阿部が雑談を開始。続いて影アナウンスの形式で川西×テッシー×EBIのゆるふわトークが展開され、最終的にネタがなくなると、阿部がさっさと「メダカの格好」の演奏を始めてしまう。まだドラムセットに座っていなかった民生があわてて移動する様子にフロアからは笑いが起きていた。そして演奏後、今度は阿部と民生がステージ上から消えてしまう。きょとんとした観客を前に川西、テッシー、EBIの3人は胸に「DD」のロゴがまぶしいスタジャンを羽織ってハードロックテイストの楽曲を熱く披露。これは3人が結成した新バンド「
やり切った清々しい表情を浮かべる3人に対し、戻ってきた阿部が「えー……電大、ってバンドみたいですよ」と説明を補足。民生も「ちゃんとやる前に説明しなさいよ、俺たちが勝手に休んだみたいになってんじゃないよ」と文句を口にする。そこから電大の説明、ミニアルバム「Δ結線」ポーズの披露など、この日のユニコーンは若干脱線気味。
しかし阿部の「入りにくいなー(笑)」というぼやきからピアノの独奏が始まり、続いて「R&R is NO DEAD」が歌い出されると、会場はあっという間にシリアスな雰囲気で満たされる。続く「HELLO」でもバンドの持つスキルフルな側面を提示。その演奏力にフロアは圧倒され、誰もがじっとステージを見つめる。
うっとりとした空気が漂う中、阿部がスタンドマイクをつかむと、今度は「きゃあっ!」と嬌声が上がる。「いくぜ?」という阿部の一言から始まったのは、おなじみ「SAMURAI 5」だ。サビのあとのブレイクを挟み、ここからは怒濤の阿部ショーが展開。自身が手にしている新作「Ucフラッグ」を「いーだろー」とファンに自慢し、フラッグに印刷されている陰陽マークをもじった「Uc25」ロゴを取り上げ「今日はイーン?ですか? それともイヤーン♡ですか?」とメンバーに詰め寄る。さらに民生と「どうも久しぶりです」と挨拶してみたり、肩に貼ってあった湿布をはがしてテッシー&EBIに貼り付けたり、「昔はこうやってEBIに絡むと『EBIくんに何するの!』って言われたりした」と思い出話を披露したり。あげく、この日の出順は本来ユニコーンが先だったことを明かし「延びると思ったんでしょうね、俺のしゃべりが長いから」と自虐ネタを口にする。
そして「終わり方がわからない(笑)」と言い、曲に戻るそぶりを見せたかと思いきや「そう言えば電大、どうなんですかね?」と新しい話題を振る。そこからなぜ電大の衣装はスタジャンなのか、ロゴはなぜ「DD」なのかなどと近況報告の体を呈してきたところで、おもむろに「SAMURAI 5」に戻ろうとするも、「走りつー」と「人生は上々だ」を歌ってしまう阿部。これにはメンバーも爆笑だったが、フロアからの大きな拍手を受けなんとそのまま「人生は上々だ」の演奏に。予想外の曲を披露し終えると、ユニコーンの5人は深くお辞儀してステージを下りていった。
アンコールの声を受け、バンドは再登場。民生が「アンコールの声もぐだぐだですね(笑)」とオーディエンスをおちょくりつつ、この日の衣装に触れ「この曲を演るの忘れてました」と話す。そして待ち望んでいたファンからの歓声を受け、アニメ「宇宙兄弟」オープニングテーマ「Feel So Moon」が演奏された。
なお「キューン20 イヤーズ&デイズ」は4月30日まで、休演日をはさみながら全20公演を開催。公演によっては当日券が販売されるほか、会場2Fではさまざまな企画が展開されているので、近くに足を運ぶ予定がある人はLIQUIDROOMを覗いてみよう。
「キューン20 イヤーズ&デイズ」ユニコーン / TOTALFAT
2012年4月25日 LIQUIDROOM ebisu セットリスト
TOTALFAT
01. Summer Frequence
02. Highway Part2
03. Good Bye, Good Luck
04. PARTY PARTY
05. World of Glory
06. Good Fight & Promise You
07. See You Later, Take Care
08. All for You
09. Place to Try
10. Overdrive
ユニコーン
01. 手島いさむ物語
02. デジタルスープ
03. WAO!
04. 頼みたいぜ
05. メダカの格好
06. 炎のモーニングコール(電大)
07. R&R is NO DEAD
08. HELLO
09. SAMURAIは上々だ(SAMURAI 5 ~ 人生は上々だ)
<ENCORE>
10. Feel So Moon
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- キューンミュージック20周年記念イベント『キューン20 イヤーズ&デイズ』
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