傷彦(Vo, G)が脳腫瘍の手術を受けて入院したためライブ活動を休止していた
開演時間が過ぎると会場が暗転し、ピアノバラード「百万本の薔薇」が流れる中で、スクリーンにバンドの軌跡を回想するライブ映像やオフショット、そして「ともに歩んだ10年、これからもともに歩んでいく」というメッセージが映し出された。ステージ上は傷彦が無事生還したことを祝うように、マイクスタンドやドラムセット、アンプ、モニタスピーカーなどが大量の真っ赤なバラで飾られている。
お馴染みのSEとともにテッド(B)、ヒザシ(G)、ヨースケ(Dr)が次々とステージに上がり、最後に宝塚風の巨大な赤い羽根を背負った傷彦がバルコニーから登場。口にくわえたバラを客席に投げて「不死鳥傷彦、復活!」と高らかに叫び、1曲目「ミ・アモーレ~薔薇色に染まれ~」から復活ライブをスタートさせた。
手術の後遺症はないものの、麻酔挿管の影響で声がかすれていると言われていた傷彦。しかしこの日は歌声も完全に戻り、病気だったことを全く感じさせないパワフルなボーカルと身のこなしでライブを進めていた。また、ザ・キャプテンズとしてもこの日はひさしぶりのライブとなったが、4人の息もピッタリで安定感のある演奏を見せた。
メンバー紹介ではテッドが「またこうやってステージに立てることは信じてましたけど、実際に立ってみると幸せでうれしいです」とコメント。ヨースケは「僕たち4人でザ・キャプテンズ! よろしく!」と叫んだ。
「恋するマタドール」では後方のスクリーンに牛と闘うマタドールたちの写真が映しだされ、傷彦はバラをくわえながら闘牛用の赤布を構えて登場。「おかあさん」では傷彦自身と思われる子供の写真がスクリーンに流れ、前口上の一部を「僕の手術中、ずっと祈ってくれたおかあさん」と変更して、感情をたっぷり込めて母親に捧ぐバラードを歌った。
傷彦はひさびさのステージに向けて特に念入りにリハーサルを行なっていたとのことで、個人練習として1人カラオケに行き、カラオケの全国ランキングで3位を記録したことを告白。「いったいどこのどいつだい? 本人より上手なおふたりは」と言って会場の笑いを誘い、全国3位になった曲「月影ロマンス」を熱唱した。
普段からエンタテインメント性の高いザ・キャプテンズのステージだが、復活ライブとなったこの日は特に気合を入れて演出を用意。「LOVE NINJA」では傷彦が紅白の和傘を回しながら観客を誘惑し、「薔薇の檻」では絶唱する傷彦の上に天井から大量のバラ吹雪が降った。「ハートのエースはワキャナイドゥ」ではヒザシがステージ狭しと走りまわり、テラスに駆け上がってギターソロを披露した。
傷彦は2月に行われた脳腫瘍の手術が14時間に及ぶ大がかりなものだったことを打ち明け、「その間、僕を呼ぶ声が聞こえたんだ。みんなが傷彦って呼んでくれたんだ。本当にどうもありがとう!」とファンに向けて感謝。「君たちが愛をくれる限り、僕は何度でも立ち上がる」と言い、「失神天国~恋をしようよ~」がスタートした。この曲は途中で傷彦がフロアに降りて観客に愛の告白をし、そのまま失神するパフォーマンスがお約束となっているが、この日、会場中から傷彦コールを受け意識を取り戻して立ち上がった傷彦は、ワイヤーで吊られ不死鳥のように空高く舞い上がった。
ヒザシがドリル奏法をしながら間違えてドリルでデリケートなところを刺激してしまうという小ネタを経て「恋は赤道直下」がスタート。「恋のゼロハン」ではヒザシの無茶ぶりでテッドが曲中で小林旭、桑田佳祐、和田アキ子のモノマネをするという一幕も。傷彦はバイクのハンドルを構えて颯爽とステージに登場したが、「このバイク、1年間ほうっておいたらウインカーが壊れちまった。左折しかできない……」と苦笑していた。
最後に演奏された本邦初披露の新曲「春風」は、傷彦が退院する前日の3月11日に東日本大震災で出身地・仙台が大きな被害を受けたことを受けて作られた楽曲。傷彦は優しいメロディにのせて「また陽は昇る 僕らの街に」と歌い、どんなに傷ついてもまた立ち上がることができるというメッセージを観客に伝えていた。
アンコールで再び登場した彼らは、2012年から本格再始動することを宣言し、今年に続いて2012年1月にも1週間連続ライブ「7DAYS☆失神天国」を開催することを告知。活動休止中に被災したテッドとヒサシは、バンドにとっても日本にとっても大変な年になった2011年を振り返りつつ、日本武道館ライブの夢を実現させることを誓った。またヒザシは近況として、松島湾の離島で避難所生活を送る70歳の女性が書いた詩に曲をつけていると報告。さらにこの日は傷彦の誕生日ということで、ヨースケは傷彦への感謝の気持ちを綴った自筆の手紙を朗読した。
アンコール1曲目「恋のピストル(BAN・BAN・BAN)」を歌い終わると、彼らは全員楽器を置いて横1列になり、マーチのリズムに乗せて「ハロー ハロー トゥモロー 明日はきっと薔薇色さ」と合唱。そのまま一旦退場するが、鳴り止まない拍手に応えてステージに現れ、ダブルアンコールとして「夕焼けサンドビーチ」を披露した。バンドの荒々しい演奏にフロアは狂乱状態となり、復活ライブは幸せな余韻を残したままフィナーレ。終演後もメンバーの名前を叫ぶ声はしばらく止まなかった。
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金猫あっき @kinnekopeacek
傷彦は脳腫瘍から不死鳥のごとく蘇ってきたんだから生きることの意味をちゃんとわかってるのです。
だからこその存在証明。
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