KIRINJI×indigo la End×TOSH、世代を超えて共鳴した「Baby Steps.」

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HORIPROとライブナタリーによるライブイベント「Baby Steps. -3rd step-」が8月29日に東京・Zepp Shinjuku(TOKYO)で開催された。「音楽ファンが様々なアーティストと出会うきっかけの場所となり、それぞれの人生のBaby steps.となりますように。」という願いを込めて立ち上げられたこのイベントには、ユニット形態を変化させながら独自のポップスを追求するKIRINJIと、川谷絵音を中心に情緒豊かなサウンドを奏でるロックバンドindigo la Endが参加。さらに沖縄在住のシンガーソングライターTOSHがオープニングアクトとして出演し、三者三様の音楽で観客を楽しませた。

「Baby Steps. -3rd step-」の様子。(Photo by Yuya Sugiura)

「Baby Steps. -3rd step-」の様子。(Photo by Yuya Sugiura)

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はじめまして。沖縄からきたTOSHです

TOSH(Photo by Yuya Sugiura)

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オープニングアクトのTOSHはDJ yosukeと2人きりでステージに立ち、「皆さんはじめまして。沖縄からきたTOSHです」と軽く挨拶すると、「Rollin' Down」でイベントの幕を開けた。英詞を基調とした甘いボーカルと歯切れのよいギターカッティングで観客の耳を惹き付けたかと思うと、続く「Somewhere」では1980年代のニューウェイブ / ニューロマンティックなどの影響を感じさせるデジタルビート、「Always」では重たくひんやりとしたビートに艶やかな歌を乗せる。最後に新曲「LET IT GO」を披露する頃には観客のハートをしっかりとつかんだ様子で、フロアでは80'sフレイバーあふれる軽快な8ビートに合わせてハンドクラップが響いた。

indigo la End、川谷絵音のKIRINJI愛が爆発

indigo la End(Photo by Yuya Sugiura)

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indigo la Endは川谷絵音(Vo, G)、長田カーティス(G)、後鳥亮介(B)、佐藤栄太郎(Dr)の4人に、えつこ(Cho, Key)、みを(Cho)のサポート2人を加えた6人編成でステージへ。1曲目に披露されたのは、2021年のシングル「邦画」だ。川谷の歌声と女性2人のコーラスが絡み合う冒頭のリフレインで一気に場内をindigo la Endの色に染め上げると、そこからは「見せかけのラブソング」「固まって喜んで」「暗愚」「魅せ者」とシングル曲以外の、マニアックとも言える選曲でライブは進んでいく。歌謡曲のようなメロディをアブストラクトな演奏で表現する「ほころびごっこ」、ひと癖あるコード展開がアクセントの最新シングル曲「心変わり」と、MCを挟まず淡々と演奏を続けてきた彼らだったが、複雑なハーモニーが絡み合うロックナンバー「名前は片想い」まで8曲を歌い終えたところで、川谷はようやくこの日のライブへの思いを語り始める。

川谷絵音(Vo, G / indigo la End)(Photo by Yuya Sugiura)

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indigo la End(Photo by Yuya Sugiura)

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「KIRINJIは本当に数少ないリスペクトしているアーティストで、曲を作るとき……曲を作らないときにも、すごくKIRINJIの音楽に助けられました」とKIRINJIに対する思い入れを話した川谷は、この日の前半のセットリストが、KIRINJIのコード進行などに影響を受けた楽曲で構成されたものだと明かし、「初めて観た人は最初まったく知らない曲を連発されて楽しくなかったと思うんですけど、僕らなりのKIRINJIへのリスペクトということで」とはにかんだ。さらに「バンドを長くやってるとこういうことがあるんだなって。ずっと憧れていたバンドと競演できる日が来るから、辞めなくてよかったなというか。僕らフリーでやっていて、マネージャーもいないの。それでここまで来れてるのは夢があるなって。でもホリプロには入りたいです。今後僕らがホリプロに入ったら、今日があったからということですよ。ただ、条件によっては拒否するんで」と冗談交じりに語ると再び演奏へと戻り、ミラーボールの光の下で人気曲「夏夜のマジック」を歌唱。川谷は「このあとはKIRINJIなので、僕らもお酒を飲みながら観たいと思います。こんなにライブを観るのが楽しみなのはひさしぶりだなあホント」といちファンとして声を弾ませ、リリース前の新曲「盲目だった」で憧れのKIRINJIへとバトンをつないだ。

KIRINJI堀込高樹、絵音の言葉に「間違ってなかった」

KIRINJI(Photo by Yuya Sugiura)

KIRINJI(Photo by Yuya Sugiura)[拡大]

KIRINJI(Photo by Yuya Sugiura)

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2021年より堀込高樹のソロプロジェクトとして活動しているKIRINJI。この日は小田朋美(Syn, Vo / CRCK/LCKS)、シンリズム(G, Cho)、千ヶ崎学(B)、伊吹文裕(Dr)、宮川純(Key)という、8月の海外公演もともに回った6人編成で登場。「非ゼロ和ゲーム」でライブをスタートさせると、「nestling」「時間がない」「Rainy Runway」と軽快なビートの楽曲を畳みかけていく。「killer tune kills me」では小田がメインボーカルをとり、堀込のラップパートではフロアから歓声が上がる。5曲を続けて披露したところで、堀込は1人ずつバンドメンバーを紹介。そして「TOSHくんは若いのに堂に入ってましたよね。僕なんか長いことやってるのに、いまだにモジモジ……情けない限りです」「indigo la Endは素晴らしかったですね。叙情的な感じはあるけど、すごく洗練されていて、ロック的なダイナミズムもあって。川谷さんのいろんなプロジェクトの中でも特別な感じがします」と競演の2組について語り、川谷がMCでKIRINJIについて語っていたときは楽屋のモニタを見ながら「ちょっと黙って聞いて!」とバンドメンバーの会話をさえぎってMCに集中していたことを明かした。2018年のアルバム「愛をあるだけ、すべて」でそれまでのKIRINJIからサウンドの方向性を大きく変化させた際、若干の不安を抱えていたという堀込は、川谷がSNSやメディアでこの作品について言及していたことで「間違ってなかった」と安心したという。

KIRINJI(Photo by Yuya Sugiura)

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「休日の過ごし方」で演奏を再開させると、KIRINJIはそこから「I ♡ 歌舞伎町」「『あの娘は誰?』とか言わせたい」「Runner's High」を続けてパフォーマンス。川谷にも影響を与えた複雑なアンサンブルとハーモニーを鉄壁の布陣で鳴らし、観客をじわじわと興奮へといざなった。最後に歌われたのは、バンド編成期の幕開けを飾った2014年の楽曲「進水式」。ステージ背面に星空を思わせる無数のライトが光る中、イベントは感動的なエンディングを迎えた。KIRINJIはさらにアンコールを受けてもう1曲、キリンジ時代のナンバー「イカロスの末裔」を披露。演奏を終えるとindigo la EndとTOSHを呼び込んで記念撮影を行い、ステージ上でアーティスト同士熱い握手を交わした。

セットリスト

「Baby Steps. -3rd step-」2024年8月29日(木)Zepp Shinjuku(TOKYO)

TOSH

01. Rollin' Down
02. Somewhere
03. Always
04. LET IT GO

indigo la End

01. 邦画
02. 見せかけのラブソング
03. 固まって喜んで
04. 暗愚
05. 魅せ者
06. ほころびごっこ
07. 心変わり
08. 名前は片想い
09. 夏夜のマジック
10. 盲目だった

KIRINJI

01. 非ゼロ和ゲーム
02. nestling
03. 時間がない
04. Rainy Runway
05. killer tune kills me
06. 休日の過ごし方
07. I ♡ 歌舞伎町
08. 「あの娘は誰?」とか言わせたい
09. Runner's High
10. 進水式
<アンコール>
11. イカロスの末裔

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ライブナタリー @live_natalie_mu

【ライブレポ公開!】

HORIPRO × ライブナタリー Presents
“Baby Steps. -3rd step-”

KIRINJI、indigo la End
<O.A>TOSH

ライブレポが、音楽ナタリーにて公開!
たくさんの写真と併せてお楽しみください。

撮影:Yuya Sugiura https://t.co/P66tSHpsQQ

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