これが今のトリプルファイヤー!7年ぶりレコ発は満員大盛況、バンドの進化に観客熱狂

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トリプルファイヤーのワンマンライブ「アルティメットパーティー11」が8月19日に東京・渋谷CLUB QUATTROで開催された。

吉田靖直(Vo)(撮影:Taio Konishi)

吉田靖直(Vo)(撮影:Taio Konishi)

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ついにゾロ目

トリプルファイヤー(撮影:cherry chill will.)

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2017年発売の4thアルバム「FIRE」以来、約7年ぶりとなるアルバム「EXTRA」をついに完成させ、7月末に配信リリースしたトリプルファイヤー。豊富な音楽知識を持つ鳥居真道(G)が指揮を取り、ファンク、ブラジル、アフロビートなど、さまざまなジャンルを取り入れたサウンドと、文筆家としても活動する吉田靖直(Vo)による独特な世界観の歌詞の両面で大きな話題を呼んでいる。

トリプルファイヤー「EXTRA」ジャケット

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今回のワンマンライブはアルバムのリリースを記念したレコ発ライブとして開催されたものだが、彼らがレコ発ライブを行うのも7年ぶり。しかし、この7年間、バンドは止まっていたわけではなかった。「FIRE」リリース時に行われたワンマンのタイトルは「アルティメットパーティー4」。今回は「11」だ。吉田は「ついにゾロ目まで来ました。二桁まで行かないとゾロ目ってないんで」と語っていたが、ただ数字を重ねただけではなく「5」から「10」の間にバンドは着実に進化を遂げていた。

吉田だけ登場

吉田靖直(Vo)(撮影:松永樹)

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アルバムが評判となる中でチケットはソールドアウトし、当日の会場は満員に。何年もトリプルファイヤーのライブを観ていなかったファンや初見の観客も多かっただろう。数百人の来場者が待つ中、開演時刻を迎えるとステージにはアコースティックギターを手にした吉田が1人で登場。何が始まるのか。観客の視線を一身に浴びる吉田が、アコギを弾きながら歌い始めたのは2015年発表の「変なおっさん」。リリース当時は他人事として書いた歌詞だったそうだが、年齢を重ねたことで当事者性を増した吉田の「俺は、変なおっさんになる……おとなしいおっさんになる……」という決意、もしくは諦めのような言葉が響く。

トリプルファイヤー「アルティメットパーティー11」の様子。(撮影:Taio Konishi)

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そんな異様な幕開けから一転して、明るいアレンジの「普通は走り出す」が始まると、鳥居、山本慶幸(B)、大垣翔(Dr)とサポートメンバーの沼澤成毅(Key)、シマダボーイ(Perc)が現れ、さらに陽気な「面白いパーティー」で池田若菜(Fl)も参加。一気ににぎやかな雰囲気になったところで、ニューアルバムの収録曲「お酒を飲むと楽しいね」が披露される。缶ビールを片手にフラフラしながら歌う吉田は、鎮座DOPENESS「乾杯」のフレーズを引用しながら飲酒を賛美し、「楽しいねえ!?」と観客に問いかけるように連呼。吉田の声にはリバーブがかかり、アウトロでは演奏がテンポダウンして酩酊感が醸し出された。

吉田だけ退場

トリプルファイヤー「アルティメットパーティー11」の様子。(撮影:Taio Konishi)

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数年のレコーディング作業を経て、ようやく世に出た「EXTRA」の収録曲のほとんどは、コロナ前に作られた楽曲。ライブでは何度も演奏されてきたわけで、レコ発と銘打った今回のワンマンでも、アルバム曲と過去の楽曲は区分なく織り交ぜて演奏されていく。アルバム曲「ユニバーサルカルマ」「諦めない人」に続けて披露された「有名な病気」はダブアレンジとなるなど、アレンジを大きく変えて披露された過去曲もあり、バンドがライブで試行錯誤を続けていることが窺えた。

PLASTICMAI(撮影:Taio Konishi)

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スキルフルなバンドメンバーのグルーヴィな演奏によって、フロアは常に高揚感にあふれており、演奏が終わるごとに歓声が上がる。そんな中、ライブ中盤にはゲストボーカルのPLASTICMAIが登場。脱力感のある歌声でアルバム曲「ここではないどこか」を吉田とデュエットした彼女は、自身の楽曲「ラップの練習」でもバンドとコラボする。ここで吉田は曲振りだけして一旦退場。ステージを任されたPLASTICMAIは、バンドが演奏するTom Tom Clubの「Genius Of Love」に軽妙なラップを乗せてフロアを盛り上げた。

吉田が歌わない

トリプルファイヤー「アルティメットパーティー11」の様子。(撮影:松永樹)

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グッズのTシャツを着て戻ってきた吉田が、バンドメンバーを改めて紹介すると、軽快なセッションから「カモン」に突入。以前のライブでは、この曲で「両手挙げろ」「声出せ、みんなー」と煽る吉田に観客がまったく反応しないのが当たり前だったが、この日は本当に手を挙げ、声を出して盛り上がる観客たちが印象的だった。吉田が「こんなに誰も手挙げないんすね」と言っていた7年前のレコ発ライブとは明らかに違う。それは単に新しいファンが増えたということだけではなく、ダンサブルな要素を増したバンドの演奏と、それによって満ちあふれた会場の熱気を表しているようだった。

吉田靖直(Vo)(撮影:松永樹)

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7年も新作をリリースしてこなかったトリプルファイヤーだが、吉田が語るところによれば、次のアルバムを出せるほどに新しい曲ができているとのことで、今回のワンマンではタイトルが付いていない新曲を3曲も披露。このうち特に観客を驚かせたのは最初に演奏された「新曲⑧」だ。この曲では吉田が鍵盤ハーモニカで印象的なメロディを演奏。途中で歌い始めるのかと思いきや、楽器だけのセッションがいつまでも続き、結局吉田は歌うことはなく演奏が終了する。まさかのインスト曲に観客は驚きつつも、バンドの新境地を垣間見て大いに興奮した様子だった。

まだやってます

トリプルファイヤー「アルティメットパーティー11」の様子。(撮影:松永樹)

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ライブ終盤、チケットがソールドアウトしたことに触れた吉田は「7年間アルバムが出てなかったら忘れられててもおかしくない」とコメント。「YouTubeに『まだやってたんだ』ってコメントがありましたけど、まあうるさいんですけど……やってます」と言葉を続けて笑いを起こした彼は、「来てくれることは当たり前じゃないんで、ありがとうございます」と感謝を伝えた。

トリプルファイヤー「アルティメットパーティー11」の様子。(撮影:松永樹)

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そして本編の締めくくりに彼らが披露したのは、アルバムのリード曲「相席屋に行きたい」だ。時代に逆行した異様に長いイントロが特徴的な楽曲だが、1分を過ぎたあたりで演奏がテンポアップすると、観客は沸き上がり、2分を過ぎた頃に吉田が歌い始めると、さらに会場の熱量は上昇。ファンキーな演奏と吉田の熱唱により圧倒的な興奮が生み出される。バンドの新たな代表曲と言える仕上がり具合だった。

トリプルファイヤー「アルティメットパーティー11」の様子。(撮影:Taio Konishi)

トリプルファイヤー「アルティメットパーティー11」の様子。(撮影:Taio Konishi)[拡大]

その後アンコールで再び現れたトリプルファイヤーは、BO GUMBOS「泥んこ道を二人」のカバーで観客を踊らせると、アルバムのラストナンバー「ギフテッド」を熱演。会場は「アルティメットパーティー」の名に相応しい盛り上がりを見せ、メンバー退場後、フロアが明転しても拍手がしばらく続いていた。

セットリスト

トリプルファイヤー「アルティメットパーティー11」2024年8月19日 渋谷CLUB QUATTRO

01. 変なおっさん
02. 普通は走り出す
03. 面白いパーティー
04. お酒を飲むと楽しいね
05. シルバースタッフ
06. 漁師の手
07. ユニバーサルカルマ
08. 諦めない人
09. 有名な病気
10. 本物のキーホルダー
11. サクセス
12. BAR
13. ここではないどこか
14. ラップの練習(PLASTICMAI)
15. カモン
16. こだわる男
17. 新曲⑧
18. 新曲⑥
19. 新曲⑦
20. Jimi Hendrix Experience
21. ゲームしかやってないから
22. 人生を変える言葉
23. スピリチュアルボーイ
24. 相席屋に行きたい
<アンコール>
25. 泥んこ道を二人(オリジナル:BO GUMBOS)
26. ギフテッド

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Keisuke Odagiri @harasu_onigiri

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