楠木ともり初ダブルアンコールも実現、三日月の下でファンと作り上げた最高の夏

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楠木ともりが8月10日に大阪・大阪城音楽堂にて単独公演「TOMORI KUSUNOKI SUMMER LIVE 2024 -ツキノミチカケ-」を行った。

楠木ともり(撮影:渡邉一生)

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ここにいるみんなで最高の夏を!

楠木ともり「TOMORI KUSUNOKI SUMMER LIVE 2024 -ツキノミチカケ-」の様子。(撮影:渡邉一生)

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楠木ともり(撮影:渡邉一生)

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人気アニメ「チェンソーマン」でメインキャラクターのマキマの声を担当するなど声優として目覚ましい活躍を見せる一方で、2020年からソロアーティストとして音楽活動を展開している楠木。「TOMORI KUSUNOKI SUMMER LIVE 2024 -ツキノミチカケ-」は東阪の野外音楽堂を舞台に行われ、7月15日開催の東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)公演に続き大阪公演も大盛況となった。

ゆっくりと太陽が傾き出し、蝉の声が盛大に響いた夕刻の大阪城音楽堂周辺。スモークがステージをうっすらと覆う中で開演時刻を迎えると、清涼感のあるSEを背にまずはバンドメンバーが姿を見せる。続いてレースをたっぷりあしらった白いセットアップにハイカットのスニーカー姿の楠木が登場した瞬間に、蝉の声を凌駕するほどの歓声と拍手が空高く響いた。この日の大阪の最高気温は35.5℃。ライブが開演する時間帯には少し下がってはいたものの、まだまだ汗ばむ気候だ。それを見越してだったのだろうか。楠木は自身が初めて作詞作曲を手がけた“がっつり夏の曲”「眺めの空」を高らかに歌い上げて、ライブの口火を切った。

楠木ともり(撮影:渡邉一生)

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「行けるかー!」。自らも鼓舞するようにそう叫んだ楠木が次に歌い出したのは、「僕の見る世界、君の見る世界」。観客はタオルを一斉に振り回し、壮観な景色をステージ前に描き出してみせる。そんなオーディエンスの放つ熱気を受けて楠木のパフォーマンスにも力がこもり、最後のフレーズが終わるや否や彼女は「ここにいるみんなで最高の夏を作りましょう!」と笑顔で呼びかけた。

世界中からファンが集結

中盤のブロックを構成したのは、“アーティスト楠木ともり”の多彩な表情を引き出す楽曲の数々。トリッキーな展開が特徴のTOOBOE提供の「青天の霹靂」を繊細に歌いこなした次の瞬間には、浮遊感のあるエレクトロナンバーの「MAYBLUES」を抑制を効かせながら歌い、涼やかな空気を紡ぐ。さらに流麗なギターリフで始まる「タルヒ」では、不可思議な揺らぎを持つ甘やかなボーカルを披露。楠木がため息をつくように「風が強いね タルヒ」と口にすると、会場一帯に風がふわりと吹き、オーディエンスの頬を撫でた。

楠木ともり「TOMORI KUSUNOKI SUMMER LIVE 2024 -ツキノミチカケ-」の様子。(撮影:渡邉一生)

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“ご新規さん”や来場者の出身地をリサーチするライブでおなじみのコーナーでは、国内のみならず海外から足を運んでいるファンが少なからずいることが判明。その事実に楠木は「世界中から集まってくれるんだ。うれしい! いつか海外でも(ライブを)やってみたいな」とアーティストとしての夢を語る場面も。野外ライブならではの“水分補給タイム”を挟み「ここからぶっ通すけど、いい?」と予告した彼女は、激情をほとばしらせる「Forced Shutdown」を皮切りにクライマックスへと突き進んでいった。楽曲の持つ影とアンニュイなムードを引き立てるように木立が揺れた「BONE ASH」、降り止まない雨を表現した照明演出が光った「遣らずの雨」と続く中、次第にあたりは暗くなり始め、空には三日月が儚げに浮かぶ。そしてピアノの繊細な調べに乗せて、今にも崩れ落ちそうなほど切実な声を聴かせた「absence」を経て、楠木はTETSUYA(L'Arc-en-Ciel)のプロデュース曲であり、自身の最新ナンバー「シンゲツ」を月の下でエモーショナルに歌唱。両手で包み込んだマイクに口元を近付け、「求めゆく未来 自分を信じて」というフレーズを放った。

本人も動揺!? 初のダブルアンコール実現

楠木ともり(撮影:渡邉一生)

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「back to back」披露中の様子。(撮影:渡邉一生)

「back to back」披露中の様子。(撮影:渡邉一生)[拡大]

「どこかに月いる?」。観客へのそんな質問から始まったMCで楠木は、「ツキノミチカケ」と名付けた今回の野外ライブに懸ける思いを吐露。月が満ちるように気持ちが満ち足りる瞬間もあれば、そうではないときもあることをセットリストのコンセプトに掲げたこと、本来月は丸いけれど太陽によって輝き、形を変えていくことについて自分なりの言葉で紡いでいく。また「変わること」が美しいとされる風潮の中で、変われないことにジレンマを抱えている人たちに向けて、「でも変わる必要はないかもしれない。自分がそう思ってなくても、周りの人には変わったと思われているかもしれない。月の満ち欠けのように……」とエールを送った。「私は今まで自分のことが好きじゃなかったけど、最近はみんながいるところで歌ってる自分、夏に野音(ライブを)やっちゃう自分は好き」と宣言すると、「私はみんなと約束する楽曲を1つ持っています。みんな、私のことを照らしてくれる? 私もみんなのことを照らすから」と本編のラストナンバー「back to back」へと導く。楠木は赤と青を基調とした照明を背に「大丈夫」と絶唱し、オーディエンスは大きなシンガロングを巻き起こして、ステージに立つ楠木を支える。共鳴する双方の思いが最高潮に達した瞬間、金銀の紙テープが美しい弧を描きながら客席を舞った。

客席を背に記念撮影も。(撮影:渡邉一生)

客席を背に記念撮影も。(撮影:渡邉一生)[拡大]

楠木ともりとバンドメンバーたち。(撮影:渡邉一生)

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アンコールは「それを僕は強さと呼びたい」のアカペラでスタート。ひたむきな思いが歌声に乗せて届けられたあとは、野外ライブのシチュエーションに似合うメロウな「alive」を経て、たっぷりと時間をかけてMCが繰り広げられた。ここでは11月に5th EP「吐露」をリリースすることも告知され、楠木が「今がんばってるから応援して!」と口にすると大歓声が沸き起こった。「最後はやっぱりエモい曲じゃなくて、盛り上がる曲をやりたいよね!」という提案から、アップテンポな「ロマンロン」が始まる。この曲をもってライブは終了するはずだったが、ステージが無人になったあとも拍手が鳴り止まず、楠木ともり初のダブルアンコールが行われることに。「私が一番動揺してる」と笑いながらステージに戻ってきた彼女は、自身のつづった言葉1つひとつに思いを込めるように「熾火」を全身全霊でパフォーマンス。その姿を照らすように、会場の上空には三日月が燦然と輝いていた。

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セットリスト

楠木ともり「TOMORI KUSUNOKI SUMMER LIVE 2024 -ツキノミチカケ-」2024年8月10日 大阪城音楽堂

01. 眺めの空
02. 僕の見る世界、君の見る世界
03. 青天の霹靂
04. MAYBLUES
05. もうひとくち
06. タルヒ
07. Forced Shutdown
08. BONE ASH
09. 遣らずの雨
10. absence
11. シンゲツ
12. back to back
<アンコール>
13. それを僕は強さと呼びたい
14. alive
15. ロマンロン
<ダブルアンコール>
16. 熾火

読者の反応

楠木ともり OFFICIAL @tomori_kusunoki

(🌟)「音楽ナタリー」にてライブレポートが掲載されています!大阪公演です✨
是非ご覧ください◎
#楠木ともり_ツキノミチカケ https://t.co/6zIW0OPM17

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