「本物のクラブ状態」が実現するのはうれしい
記者たちが取材部屋で待機していると、廊下から楽しそうな笑い声が。その声は取材部屋に近付いてどんどん大きくなり、仲よくトークで盛り上がりながらPerfumeの3人が入室した。まずは音楽ナタリー編集部から、週末に会場内で行われるPerfume史上初の公式DJパーティ「DISCO!DISCO!DISCO!」について質問。この企画を提案されたときにメンバーは「いいアイデア!」と喜んだそうで、のっちは「昔からPerfumeを支えてくれてる方々を始め、人選も豪華で」と感慨深げにしていた。
そしてあ~ちゃんが「DJさんがPerfumeの曲をかけてみんなが楽しそうにブチ上がってくれるって、『申し訳ないと』でしか見たことなかったよね」と、かつてJ-POP DJイベント「申し訳ないと」に出演したことを振り返り、未成年だったので労働基準法を遵守するためにオールナイトイベントなのに早朝にライブをやったことや、そこで薄いケーキを500円で手売りして「ぼったくりじゃない?」と疑問に思ったところ、掟ポルシェ(ロマンポルシェ。)から「アイドルはそれくらいでいいんだよ!」と言われたことなど、当時のエピソードを懐かしげに思い出していた。
ちなみに「DISCO!DISCO!DISCO!」の序盤の3公演は、11年ぶりに復活する「申し訳ないと」として開催される。かしゆかは「そんなお世話になった人たちが、今度は自分たちの25周年の展覧会でDJをしてくれるって特別だよね」と語り、あ~ちゃんも「セレブの人が誕生日にめっちゃ有名なDJを呼ぶ、みたいなのあるじゃないですか。Perfumeのアニバーサリーを祝ってDJが来てくれるってカッコいい」と同意。イベント中は会場内でアルコールを購入して飲めるとのことで、あ~ちゃんは「爆音で曲を聴きながら、お酒を飲みながら踊りたいじゃないですか(※編集部注:ジャンプを伴うダンスは会場の都合上NG)。それが実現するのはうれしいです。そういう本物のクラブ状態って、私たちはあんまりやったことがないから」と興奮気味に話していた。なお、現在発表されている出演者以外のDJは8月中旬に発表されるとのことだが、今後もまだ豪華なラインナップを調整中とのことだ。
いつも担当してくれてる人のセンスと愛情が、自分で体験してよくわかった
展覧会の会場では、これまでPerfumeといろいろ場面をともにしてきた200足を超える歴代のハイヒールも展示されている。これについて記者から聞かれると、かしゆかは「最初に企画を聞いたときに、使い古したしわしわの靴で大丈夫?と思ったんですけど(笑)、すごくきれいにしてくださってました」と笑いつつ、「靴の中に番号が書いてあるんですけど、その数だけ積み重ねて履いてきたよという歴史でもあるので、中も覗いてみてください。あんまり近くで見てほしくないけど(笑)。歴代のヒール、実はこの約5倍はあるんです!」と注目ポイントを明かした。
続いて別の記者から、初のオリジナルアルバムのタイトルが「GAME」だったことと、のっちがゲーム好きであることから「Perfumeとゲームとの関わり」について質問が。のっちはアルバム「GAME」からイメージする挑戦心と、自分のただの趣味のゲームは違うと前置きしつつ、「ゲーム好きの私として、今回の展覧会で面白いなと思ったのが最後の『IMA IMA IMA』の展示。ステージの周りにコンソールがあって、そのボタンを押すと画面で踊っている私たちを撮るカメラをスイッチングしたり、レーザーを自由に変えたりできるんです。そうやって自分を操ってる感じがゲームみたいでした」と説明。あ~ちゃんとかしゆかもこの展示を体験したが、なかなかカッコよくステージ演出ができなかったようで「めっちゃセンスが出るなと思った」「誰がやってもいいわけじゃない技術」「いつも担当してくれてる人がどれだけセンスと愛情をもってやってくれてるのか、自分で体験してよくわかった」と口々に感想を述べていた。
これまで「2000年結成」と公言してきたが、展覧会用の年表を作っているときに実は1999年結成だったことが発覚した、と直前の記者発表会で語っていたPerfumeの3人。この話を踏まえて記者から「これまでの活動を振り返ることが増えてきた中で、ほかにも新しく気付いた発見はあるか」と問われると、かしゆかが今回の展示に過去の振付の解析をしている部屋があることを説明。この展示では歌詞、ビート、メロディのどこを拾って振付にしているのかが可視化されており、また近いポーズを取っている別の曲の情報も見ることができるため、すべての振付をMIKIKOが担当してきたからこその面白さ、長い歴史があるからこその面白さを感じたという。ちなみにこの展示を見て、MIKIKOは恥ずかしがっていたとのこと。
無理してたら続かないし、これがベストな型だった
ちなみに結成日が本当は1999年だった件については、実はあ~ちゃんも薄々変だと思っていたという。当時3人が通っていたアクターズスクール広島では、ユニットオーディションに合格した2組が発表会に出られることになっていたが、彼女たちはユニットオーディションには落ち、“イベントガール”という枠で初めて観客のいるステージに立った。それが2000年5月だったため、結成自体は1999年の年末だったが「2000年結成」と誰かが言い始めたのではないか、とあ~ちゃんは推測しているようだ。
記者発表会の中で「何も変わらずに今まで活動してきた」と話していたことについて、振り返ってみて本当に変わっていないと思ったのはどこかと記者から聞かれると、かしゆかは展覧会に展示された、メンバーの形にくり抜かれたパネルを挙げて、「この形だけで誰が誰なのかわかるっていうのはすごいことだなと思います。25年も過ごしてきた人間が、こんなに形が変わらないだなんて」と回答。あ~ちゃんも「激太りした人も1人もいないしね。昔の衣装を今でも着れるし」と同意した。さらにあ~ちゃんが「早い段階から『これがのっち』『これがかしゆか』」という、ベストな型を発見してたのもすごいよね」と付け加えると、のっちも「無理してたら続かないし、ベストな型だったんだね」と納得。しかしあ~ちゃんはかしゆかの髪を指して「いや、これは無理してると思います(笑)。最初の頃よりどんどん長くなってますし、2週間に1回は美容院に行ってますから。彼女はそういうとこ真面目なので、無理してるかもしれません。ありがたいです」と笑い、かしゆかも「私たちはデータに合わせて生きてますから(笑)。それこそがPerfumeの財産なので」と胸を張った。
海外でのライブ活動を経て何か変わったことはあるかという質問に対しては、かしゆかが「このあいだのアジアツアーで香港が12年ぶり、上海が5年ぶりのライブだったんですけど、どの地域の方にも『そんなに空けないで』って言われたんですよ。だからもう『よっこいしょ』で海外に行くんじゃなくて、もっとフランクに頻繁にライブしに行こうという気持ちを持ちました。ワールドツアーなんて銘打たなくても、普通のツアーで海外にも行くみたいな」と宣言。あ~ちゃんが「日本語を特別に思ってくれる人が海外にいて、日本語の美しさや繊細さ、奥ゆかしさみたいな部分に気付かされました。例えば英語も、カタカナ英語として発音することをユニークと思ってくれる存在を知って、『カタカナってかわいいんだ』って感覚がわかったり、言葉に興味を持つようになりました」と話すと、のっちも「その土地土地の言葉のかわいさってあるよね。スペインも発音がかわいらしかったし」と同意しつつ、「あとはコミュニケーションの取り方がやっとわかってきました。昔は、言葉が通じるかもわからないし、探り探りコミュニケーションしていたところもあったけど、今はもう安心して『どんなことをしゃべろう?』みたいに楽しみになってます」と自身の成長を明かした。
ずっと3人でいて楽しかったのは奇跡だと思う
最後に記者から「四半世紀を一緒に過ごしてきたほかのメンバーに改めて伝えたい言葉は?」と問われると、のっちは「ほんっとうにかわいい。ビックリします」としみじみ。「このあいだ『IMA IMA IMA』の撮影をしたときも、声に出して『かわいい』って言っちゃう」と言いながら笑顔になった。あ~ちゃんは「25年続けるって本当にすごいと思うんです。自分たちでアーティストって名乗ってたとしても、それだけでなく支持され続けてないとできないこと」と語り始め、2人に対して「ゆかちゃんは真面目すぎるゆえに、続けることに邁進して自分を追い詰めてしまう性格だと思うのに、それでもよく続けてくれたねって言いたい」「のっちは続けるのが苦手で何もかもやめる人なのに(笑)、それでもよく飽きずに続けてくれたねって言いたい」と言って称えた。
そしてかしゆかは「25年一緒にいたこともそうですけど、変わらずに健康でいてくれて本当にありがとう。苦しい思いも、やめたくなるくらいの緊張感とか、自分たちで解決できない悩みとかもある中、ずっと3人でいて楽しかったのは奇跡だと思うんですよね。Perfumeは3人のうち1人が休養になったら活動できないので、ずっと健康なままで、今まで一度もライブを欠席したりツアーに穴を開けることもなく走ってこれて、2人の体に感謝です」と、いつまでも元気でいるありがたみを噛み締めていた。
展覧会「Perfume Disco-Graphy 25年の軌跡と奇跡」の会期は10月14日まで。チケットは展覧会の特設サイトにて販売中。
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Perfumeが25年一緒にいたメンバーに伝えたいこと「ライブも欠席せず健康でいてくれてありがとう」 https://t.co/X5F9GPBjtJ