SUPER★DRAGON、9人の個性と強い結び付きで見せた「MIXTURE」というアイデンティティ

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SUPER★DRAGONが、7月29日に神奈川・神奈川県民ホールでツアー「SUPER★DRAGON LIVE TOUR 2024『MIXTURE』」の最終公演を行った。

SUPER★DRAGON(撮影:笹森健一)

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始めようぜ、MIXTURE

SUPER★DRAGON(撮影:笹森健一)

SUPER★DRAGON(撮影:笹森健一)[拡大]

3月にメジャーデビューを果たしたスパドラ。全国5都市を巡った「SUPER★DRAGON LIVE TOUR 2024『MIXTURE』」は、彼らにとってメジャーデビュー後初めての全国ツアーとなった。ミクスチャーユニットを標榜する9人にとって、「MIXTURE」は9年前のデビュー当時から切っても切り離せない言葉。直球なツアータイトルのもと、9人はこの「MIXTURE」という言葉を多角的に捉えながら自分たちのアイデンティティを改めて提示するステージを披露し、集まったBLUE(SUPER★DRAGON)とともに熱狂の空間を作り上げた。

池田彪馬(撮影:笹森健一)

池田彪馬(撮影:笹森健一)[拡大]

メンバー紹介のオープニングVTRののち、ステージ奥のLEDパネルに映し出された重厚な鉄扉が開くと、その奥には9つのシルエット。グループカラーのブルーのシャツにナロータイという揃いのスタイルでBLUEの前に姿を見せたメンバーは、メジャーデビュー曲「New Rise」を1曲目に投下しライブの幕を開ける。歌声に、ラップの応酬に、身振りの1つひとつに熱を込める彼らのパフォーマンスに会場の熱がじわじわと高まっていく中、古川毅は「腕を振れもっと」というフレーズに力を込めて客席を鼓舞した。ステージ上段からBLUEの目前へと進んだ彼らが2曲目に届けたのは、「すべては混ざり合うのさ」というフレーズがライブタイトルとシンクロする「X」。このフレーズを高らかに歌い上げた池田彪馬の声がまっすぐに会場を貫くと、ジャン海渡は「始めようぜ、MIXTURE」と狼煙を上げた。

柴崎楽(撮影:笹森健一)

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ジャンの誘いに古川の咆哮が轟くと「Tap tap tap!」へ。緩急自在に暴れるロックサウンドを乗りこなしてBLUEたちのクラップを誘発した9人は曲終わりで順に自己紹介を行い、池田は「まだまだ足りないんじゃないですか? OK、楽しませてやるよ」と宣言して大きな歓声を集める。そして「Hey, girl」でライブが次のシーンへと進むと、9人は可動式のライトバーを自在に操りながら歌い踊る幻想的なパフォーマンスでオーディエンスを魅了。田中洸希は観衆の眼前に出現した“光の森”を縫うように歩き、艶やかな歌声を響かせた。続くバラードナンバー「Remedy For Love」では古川と池田が激情的に歌声を重ねる中で柴崎楽がコンテンポラリーダンスを踊り、繊細な仕草や表情で楽曲の世界観を表現。ミステリアスな佇まいから漂わせるどこか退廃的な美しさで、観る者を釘付けにした。

異なる魅力を持つ9人の融合体

松村和哉(撮影:笹森健一)

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ジャン海渡(撮影:笹森健一)

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柴崎のソロを皮切りに、スパドラはここからメンバーそれぞれの個性とスキルにフィーチャーしたパフォーマンスの連投で、スパドラが異なる魅力を持つ9人の融合体であることを観衆に知らしめていく。松村和哉はソロアーティストとしての名義・Cuegeeとしてステージに立ち、8月14日にリリースされる1st EP「九似」から「Darkhero」をドロップ。スパドラのMCとして磨き上げてきた持ち味である明快な語り口の高速ラップは彼が胸に宿す炎をよどみなく放出する独白にも似て、言葉が重なるたびにリスナーを深みへと誘うような高い集中力と求心力でBLUEを引き込んでいく。すると、jjeanとして松村と同様ソロ活動を始動させたジャンは、未発表曲「Shooting star」をここでお披露目。ゲームサウンドのようにカラフルなビートが楽しいトラックの上、Cuegeeと対をなすように開放的なフロウと振る舞いで客席を晴れやかに掌握。BLUEと一体となるハンズアップの波を巻き起こした。

志村玲於(撮影:笹森健一)

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対照的なソロパフォーマンスでオーディエンスを楽しませた松村とジャンがステージ上で手を固く握り合うと、今度は田中を加えた3MC体制で「Set It Off」へ。3人は衝動のままに熱いフロウを叩き付けるラップリレーでオーディエンスを圧倒する。それぞれのスキルが遺憾無く発揮されるパフォーマンスリレーは、田中のヒューマンビートボックスコーナーへ。体の芯に響くような重たいベースから軽やかに刻むスネア。変幻自在の音色を鮮やかに繰り出して聴衆の体を揺らしてみせた田中はパフォーマンスを終えるとひと言「疲れた(笑)」とつぶやいて会場を和ませるのも忘れない。さらに、後半にはスパドラ屈指のダンススキルを持つ志村玲於を呼び込んでのセッションを披露。田中の“ムチャ振り”な高速ビートに対応してステップを刻みまくる志村の対応力に会場中が沸き立つ中、最後に2人は熱いハグを交わしてお互いを称え合った。

飯島颯(撮影:笹森健一)

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「Sawage! Sawage! Sawage! 国内外」を合言葉にダンサーメンバーの志村、飯島颯、伊藤壮吾、柴崎が“どんちゃん騒ぎ”をを繰り広げるスパドラ随一の異色パーティチューン「SAWAGE!!!!」によって狂騒空間が形成され、9人の思惑どおりの大騒ぎで個々にフィーチャーするパートはいったん締めくくられる。ステージに再集結したメンバーは英詞曲「Breakdown Anthem」をスタイリッシュに歌い踊ってライブを次のシーンへと進め、「Reach The Sky」で客席通路へと飛び出した。

ファイヤーとサンダー、魂込めた演奏

古川毅(撮影:笹森健一)

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松村やジャン、田中がソロパフォーマンスの感想を語ったMCののち、飯島は「僕らと言えば派生ユニット。ファイヤードラゴンとサンダードラゴン、2組によるパフォーマンスを見せられたら」と予告する。志村、古川、ジャン、飯島からなる年長ユニットのファイヤードラゴンが選曲したのは「Drive Me Crazy」。スタンドマイクの前に立つ古川とジャンは艶やかな歌声を重ね、志村と飯島はそのすぐそばで2人の歌声に身を委ね、甘く洒脱な楽曲の世界観を雄弁なダンスで表現した。すると、後攻を取った伊藤、田中、池田、松村、柴崎による年少ユニットのサンダードラゴンは、チルなダンスナンバー「真冬の熱帯夜」でファイヤーに対抗。湿度を感じる歌声とダンスで、年上の意中の人へ思いを伝える艶やかなラブソングをBLUEへと送った。

田中洸希(撮影:笹森健一)

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ピンク色の傘を差した9人が客席を進みながらグルーヴィに歌声を響かせた「相合傘」を経て、「-Tweedia-」は伊藤がキーボード演奏を務める特別なアレンジで届けられた。力強くも優しいタッチで鍵盤を叩く伊藤の伴奏に声を重ねるメンバーのボーカルにも熱がこもり、ステージのセンターでミラーボールの光に照らされる田中は美しいファルセットボイスを響かせる。のちのMCで、キーボード演奏について「魂込めて演奏しました。悔いなくすべて届けきれたのでよかった」と語った伊藤。その言葉に違わぬ渾身のパフォーマンスに、BLUEは静かに耳を傾けていた。

新曲「Legend」披露の後半戦

SUPER★DRAGON(撮影:笹森健一)

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イエローとブラックの衣装に着替えた9人によるダンスセクションが披露されるとライブも佳境。ここで披露されたのは、田中が主演を務めるドラマ「シュガードッグライフ」の主題歌に決まった新曲の「Sweets」だ。にっこりと笑みを浮かべた田中のルダハートを合図に始まったこの曲は、甘やかでスタイリッシュなナンバー。アグレッシブなミクスチャーロックが代名詞のスパドラだが、この曲では柔らかで愛らしい表情を全開にしてBLUEの黄色い歓声を何度も集めてみせた。エッジーでミステリアスなサウンドの「Gotta Keep It Going On」では、ステージに出現した長テーブルに座った9人が息の合った動きで作り出すアーティスティックなポージングやフォーメーションに会場が沸き立つ。アグレッシブな姿勢を緩めない9人が続けて投下したのは「Legend」という名の新曲。高速BPMのパワフルなサウンドを乗りこなすジャンと松村のラップ、メロパートで響くボーカル陣の艶やかな歌声、ボーカルレスのドロップで見る者を圧倒する9人のダイナミックな躍動。スパドラの武器を大いに詰め込んだパフォーマンスはBLUEの熱狂を加速させ、ステージ上の9人もまた、自らを鼓舞するような熱いテンションで楽曲と向き合っていた。

顔を寄せ合う田中洸希と池田彪馬。(撮影:笹森健一)

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たくましい体躯から繰り出される飯島のダイナミックなダンスソロが決まると、「Monster!」でライブはクライマックスへ。この曲を皮切りに怒涛のメドレーへと突入すると、BLUEによる「まだまだ行けるぜSUPER★DRAGON!」という熱いコールが9人を鼓舞した「Mada' Mada'」、グループの揺るがないアティチュードを池田のハイトーンボーカルで高らかに歌い上げるセルフタイトルトラック「SUPER★DRAGON」というキラーチューンが会場の熱を一気に高めていく。そして、必殺のアンセム「Untouchable MAX」でホールの興奮は最高潮に。客席の熱気を受け取った古川がラストサビの歌唱をBLUEに委ねると、県民ホールには力強いシンガロングの声が響き、アウトロで怒涛のダンスを見せる9人の勢いを確かに加速させていた。

今、一番仲いいっす!

伊藤壮吾(撮影:笹森健一)

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「我々もうすぐ10年目なんですけど、10年やってれば紆余曲折、いろんなことがあって」。本編ラストの曲を前にそう切り出した古川は「ポジティブでいられないタイミングもあったけど、そういうのを超えて、9人で前を向いていて、今、一番仲いいっす!」と、9周年のスパドラが立つ現在地を明快にBLUEに伝えた。言葉に充実感をにじませる彼は「このタイミングで『MIXTURE』というツアー、そして次に披露するこの曲ができたのも運命、必然のように思っていて」と続ける。そんな言葉ののちに9人が届けた楽曲は「Younger Forevermore」という新曲。「少しでも優しい世界になったら」という願いを込めたというこの曲で、メンバーは1つの円になったり、ファイヤーとサンダーに分かれたのちにハイタッチを交わしたり、温かく軽快なサウンドの上で確かなブラザーフッドをオーディエンスに提示する。心地よい高揚感の中で曲が結ばれると、田中は「まだまだ俺らは止まること知らないんで、待っててくださいね」と告げてステージをあとにした。

アンコールを求めるBLUEの大きな声に応え、客席から姿を見せたメンバーは「ワチャ-ガチャ!」でパフォーマンスを再開させる。アッパーに振り切れたテンションの9人は2階席、3階席まで会場を駆け抜け、BLUEのすぐそばで再び一体感を高めていった。そして「これからの俺らが“Pop star”になるところ見届けられますか!?」というジャンの呼びかけにBLUEの大きな歓声が上がると「Pop star」へ。グループの歩みをリリックの中に軽やかに編み込んだこの曲を終始笑顔で、自由に楽しんだSUPER★DRAGON。9人と同じ動きでリズムに乗るBLUEをうれしそうに見つめ、彼らはラストナンバーのパフォーマンスを終える。最後にラインナップすると、池田は「楽しくできることが一番だって、9人全員が思っていることなんで。みんなで手を取り合って一緒に駆け上がっていきたいなと思ってます。また会いましょう!」と約束。古川は名残惜しさを引きずるように「まだまだ俺たち遊び足りてねえぞ!」と言い残してステージをあとにした。

セットリスト

「SUPER★DRAGON LIVE TOUR 2024『MIXTURE』」2024年7月29日 神奈川県民ホール

01. New Rise
02. X
03. Tap tap tap!
04. Hey, girl
05. Remedy For Love
06. Darkhero
07. Shooting star
08. Set It Off
09. ヒューマンビートボックス×Dance / 田中洸希、志村玲於
10. SAWAGE!!!!
11. Breakdown Anthem
12. Reach The Sky
13. Drive Me Crazy
14. 真冬の熱帯夜
15. 相合傘
16. -Tweedia-
17. Sweets
18. Gotta Keep It Going On
19. Legend
20. Monster!~Mada' Mada'~SUPER★DRAGON~Untouchable Max
21. Younger Forevermore
<アンコール>
22. ワチャ-ガチャ!
23. Pop star

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Manoj Sharma @manoj33103

@natalie_mu SUPER★DRAGONのライブレポートでは、9人の個性と強い結びつきが「MIXTURE」というアイデンティティを際立たせたようです。古川毅さんが「9人で前を向いていて、今、一番仲いいっす!」とコメントしているのも、グループの結束力を感じさせます。独占カットや詳細なレポートは、公式サイトや関連メディ… https://t.co/ocucqhC4CJ

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