昨年10月公開の「キリエのうた」は岩井監督と小林武史が「リリイ・シュシュのすべて」以来約22年ぶりにタッグを組んだ音楽映画。歌うことでしか声を出せない路上ミュージシャン・キリエを軸に、彼女の音楽がつなぐ13年におよぶ壮大な愛の物語が描かれ、大きな反響を呼んだ。本作ではキリエをアイナ、姿を消したフィアンセを探す青年・夏彦を
「キリエのうた」撮影終了後の初期編集版をもとに岩井監督自らが編集し全10話、5時間半を超えるドラマに再構成されたのが「路上のルカ」。この作品にはキリエによる楽曲「幻影」の歌唱シーンや夏彦が逡巡するシーンなど映画の未公開映像が加えられる。
「キリエのうた」を完成させ、すぐに「路上のルカ」の制作に取りかかったという岩井監督は「もとの小説を250ページぐらい書いちゃったので通常の映画の尺では収まらないんですよ。自分が考えた話をそのまま出したら5時間超えの尺になりました。自分が考えたことがそのまま作品になるって、なかなかないと思います」とコメント。タイトル決定の経緯について「もともとは映画が『路上のルカ』というタイトルだったんですよね。自分にとってタイトルは、お客さんとの約束というか契約というか。タイトルと中身が違って感じると面白かった映画も面白くなくなってしまう。だからタイトルを決めるときはホントに吟味するんですけど、『キリエのうた』のほうが映画には合ってるよなと思って選択して。ドラマは『路上のルカ』だなって。その違いを楽しんでほしいです」と明かす。
「キリエのうた」で本格的な芝居に初挑戦したアイナは「脚本の厚みもセリフを言うタイミングもわからず現場に入ったんですけど、広瀬すずちゃんが『こんなに分厚い台本は見たことない』と言ってて。台本の厚さは岩井さんの親指1本ぐらい。まさか『路上のルカ』として5時間バージョンが世に出るとは思わなくて、すごくうれしいです」と喜びをあらわに。また、司会者から松村とのエピソードを聞かれたアイナが「『キリエのうた』の共演をきっかけに、松村さんの『ガラス花』という曲を制作させていただきました。松村さんに華を添える形で、後悔のない作品にできたと思います」と話すと、岩井監督は「お互いに刺激し合ってるのがほほえましいなと思いながら眺めてました」と目を細めた。
引き続きアイナは完成した「キリエのうた」「路上のルカ」にまつわるトークを展開。「撮影は2年前とかなので、ちょっとずつキリエの人格を忘れていて。でも『路上のルカ』を観て、スタッフやチームの皆さんが私に少女の心を宿してくださってたんだなと、まず思い出しました。歌唱シーンも……あの歌は二度と歌えない。すずちゃんと岩井監督と松村さんがいてくれたから歌えました」と役への強い思いを語り、「映画のキャンペーン期間は慣れないバラエティとかも出てたんですけど、うまくしゃべれないんですよ。ホントの自分がわからなくなるくらい、心がキリエになっていました」とキリエが憑依していた時期を懐かしんだ。
「路上のルカ」の追加シーンの話題になると、岩井監督は「『キリエ・憐れみの讃歌』という曲を歌うシーンはドラマではフル尺ですからね。あと、映画には入りきらなかった北斗くんとアイナさんのデートシーンもドラマでは追加されています」と話す。アイナはドラマならではの注目シーンについて「岩井さんは夕日を操る天才だと思っていて。『路上のルカ』では日の光がきれいに入るシーンがでたくさん使われています。私は自然光で美しく撮る岩井さんが大好きです」と岩井監督へのリスペクトを込めて語った。
そして、司会者から「アイナさんはどんな女優ですか?」と聞かれた岩井監督は「僕がここ数年で一番リスペクトしてる日本の表現者です。歌に踊りに作詞作曲……なんでもやってしまうんですけど、そこにアイナ・ジ・エンドという唯一無二の世界がある。これからもどんどん飛躍して世界を驚かせてほしいなと思いますし、ぜひまた一緒に映画作れたらなと思います」とほほえむ。するとアイナはうれしさのあまり両手で顔を覆った。最後にアイナは「『キリエのうた』ではエンドロールが一番好きだったんですけど、『路上のルカ』では皆さんがどのシーンが好きだったか報告してください。なんでも待ってます」とにっこり笑った。
日本映画専門チャンネル「路上のルカ」(全10話)
2024年7月28日(日)18:30~
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アイナ・ジ・エンドは岩井俊二監督にとってどんな女優か - 音楽ナタリー
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