今年結成20周年およびデビュー15周年という“ダブルアニバーサリーイヤー”を迎えたTHE BAWDIES。彼らが5月から開催していた「POPCORN TOUR 2024」は最新アルバム「POPCORN」のレコ発と周年の2つを兼ねたツアーで、新旧の楽曲を満遍なく織り交ぜた充実のセットリストが用意された。
“四位一体”のパフォーマンスにZepp Shinjuku熱狂
フロアを埋め尽くす観客の1人ひとりから熱気が立ち上る中、THE BAWDIESのライブでおなじみのウィルソン・ピケット「ダンス天国」が爆音で流れ始める。それを合図にROY(Vo, B)、TAXMAN(G, Vo)、JIM(G)、MARCY(Dr)がステージに現れ、待ってましたとばかりに地鳴りのような歓声がライブハウスにこだました。SEをかき消すように高らかにシャウトしたROYは「準備はできてますか? ポップコーンのように弾け飛べますか?」と煽り「GIMME GIMME」でライブの口火を切る。すると、JIMが手綱を離された馬のようにフロアに突っ込まんばかりの勢いでステージの前方に飛び出し、TAXMANはROYとともに絶妙な掛け合いを見せ、その後ろではMARCYがタイトなロックンロールビートを刻む。メンバーチェンジをすることなく20年間ともに過ごしてきた4人の“四位一体”のパフォーマンスにZepp Shinjukuはたちまち興奮の坩堝と化した。
「『POPCORN』とTHE BAWDIESの歴史をすべて楽しんでもらいたいと思います」というROYの宣言に続いたのは、メジャー1stアルバム「THIS IS MY STORY」の収録曲である「EMOTION POTION」。フロントの3人は満面の笑みを浮かべながらそれぞれの楽器をかき鳴らし、オーディエンスのテンションをどこまでも引き上げていく。サウンドの屋台骨を支えるMARCYはその長い前髪ゆえに表情こそ見えないが、高揚感や興奮が伝わってくるようなパワフルなリズムでフロアを揺らし、オーディエンスの笑顔を誘った。
しかし、初期曲ばかりを披露して懐古主義に陥らないのが、今も昔も転がり続けるTHE BAWDIESならでは。モータウン的なアプローチが光るポップチューン「SUGAR PUFF」や、TAXMANがリードボーカルを取るパンキッシュな「DESTINATION IS 1969」、サイケデリックな照明が似合う「GET OUT OF MY WAY」といった「POPCORN」の収録曲でもしっかりと存在感を見せる。さらに自分たちが愛してやまないThe Isley Brothers「THIS OLD HEART OF MINE」もやんちゃなアンサンブルでカバー。10代でThe Sonicsに出会い、ロックンロールの虜になったというエピソードを持つTHE BAWDIESのメンバーたち。愛とリスペクトをたっぷり込めたパフォーマンスは、どこかで在りし日の少年時代の4人の姿を想起させた。
THE BAWDIESは永久に不滅です!
会場のすさまじい盛り上がりにTAXMANが「最高だ! この気持ちを高めるためにビールをください!」とスタッフにリクエストし、JIMがちゃっかり「こっちはおかわりいただいていいですか?」とビールの缶をもう1本傾け、その間でROYが白い目で「仕事中よ?」とたしなめるTHE BAWDIESらしい茶番が繰り広げられたライブ後半戦。MARCYは「このツアーめちゃくちゃ楽しくて。今日も最高です……今のところ」とジョークを飛ばしつつ、「これからもTHE BAWDIESをよろしくお願いします」と感謝の思いを観客に伝え、万雷の拍手を浴びた。
そしていよいよ本編のクライマックスというときにROYが口を開く。「この先何年経とうが、何歳になろうが、転がり続けるバンドであり続けます。上を向けない、前に進めないときはTHE BAWDIESを思い出して、THE BAWDIESのライブに来てください。THE BAWDIESは永久に不滅です!」とミスタープロ野球と呼ばれた長嶋茂雄の巨人軍引退セレモニーでの名台詞を引用しつつ、バンドが転がり続けることを宣言。その言葉を体現するように4人は「KEEP ON ROCKIN'」を新宿の一角から高らかに奏でた。
アンコールでは「機動戦士ガンダム」へのオマージュを込めた小芝居「パンダム」が上演され、観客を笑いの渦に巻き込む。ROY扮するパンダムのドックパン風アームに、JIM扮するジムが振りかざした赤い棒がすっぽりとハマり、ホットドッグが誕生したところでキラーチューン「HOT DOG」へ。その後、「JUST BE COOL」の演奏中に豪快にジャンプをしすぎたTAXMANのズボンが破けるという珍事が発生し、会場に再び爆笑が起きる。「最後に汚いものを見せるなよ!」とROYは大笑いしながら、「もう1曲やっていいですか? ロックンロールとともにこれからも転がり続けていきましょう」とひと言。MARCYのカウントを合図に1stシングル「I BEG YOU」を届け、最高の盛り上がりの中で21公演に及んだ「POPCORN TOUR 2024」に幕を下ろした。
ライブの終演後には、10月23 日にリリースされるダブルアニーバーサリーイヤーを記念したアナログ盤「20th & 15th ANNIVERSARY VINYL COLLECTIONS」の詳細も明らかに。今作はインディーズ時代のアルバム「YESTERDAY AND TODAY」から最新アルバム「POPCORN」までのオリジナル楽曲134曲の中から、メンバーセレクトによる20曲とファン投票で選ばれた15曲の全35曲が収録される。THE BAWDIES CLUBおよびVICTOR ONLINE STOREでは数量限定で、オリジナルレコードプレーヤー「20th & 15th ANNIVERSARY VINYL PLAYER」を同梱したLimited Editionを発売。同仕様の購入者限定特典として、スーツ着用のTHE BAWDIESメンバー全員とのフォトセッションイベント「THANKSGIVING!! PHOTO SESSION」が東名阪で行われる。
またTHE BAWDIESは各地の夏フェスを巡りつつ、その合間8月20日に東京・新宿LOFTで行われるライブイベント「ライブナタリー “THE BAWDIES × プッシュプルポット”」に出演。プッシュプルポットを相手に対バンを繰り広げる。さらに周年の締めくくりとして東京と大阪でワンマンライブ「NEVER ENDING STORY」を行う。チケット情報などの詳細はバンドのオフィシャルサイトで確認を。セットリスト
THE BAWDIES「POPCORN TOUR 2024」2024年7月20日 Zepp Shinjuku(TOKYO)
01. GIMME GIMME
02. DO THE BOP!
03. RIDE TOUGH!
04. EMOTION POTION
05. ROCK ME BABY
06. IT'S TOO LATE
07. SUGAR PUFF
08. KEEP YOU HAPPY
09. DESTINATION IS 1969
10. GET OUT OF MY WAY
11. YOU GOTTA DANCE
12. THIS OLD HEART OF MINE
13. I'M IN LOVE WITH YOU
14. RAINY DAY
15. ROCK'N'ROLL MAN
16. STAND!
17. T.Y.I.A.
18. LET'S GO BACK
19. SCREAM
20. POPCORN
21. KEEP ON ROCKIN'
<アンコール>
22. HOT DOG
23. JUST BE COOL
24. I BEG YOU
※記事初出時、本文の一部に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。
関連商品
THE BAWDIES「20th & 15th ANNIVERSARY VINYL COLLECTIONS(Limited Edition)」
[アナログ+写真集+アナログプレイヤー] 2024年10月23日発売 / ビクターエンタテインメント / VOSF-13086
masa🐈 @Euphoria6_6
昨日の 思い出のHOTDOG劇場(小芝居)はパンダムやったのかー。今まで見た中では1番の名作(迷作)だと思うw https://t.co/qyykDmw42i