キレのあるソロダンスでライブが開幕
佐々木は2013年にハロプロ研修生のメンバーとなり、翌2014年、アンジュルムへ改名する前のスマイレージ時代にグループに加入。パワフルなダンス、情緒的な歌声、天真爛漫なキャラクターで男女ともにファンから支持され、長年にわたりグループの中心メンバーとして活躍してきたが、「グループのメンバーとしての活動に区切りをつけ、1人で何ができるか、どこまでできるか、自分の可能性を自らで感じ、挑戦していきたい」という思いから卒業を決断した。本日の横浜アリーナ公演は、4月にスタートした春のライブツアー「アンジュルム concert tour 2024 spring『Secret secret』」のファイナル。会場に集まった約1万2千人のほか、CSテレ朝チャンネル1での生中継の視聴者、全国の映画館で実施されたライブビューイングの観客も含め、大勢のファンが佐々木の門出を目に焼き付けた。
開演前にはハロプロの新グループであるロージークロニクルがオープニングアクトとして登場。先日グループ名が発表されたばかりの9人がフレッシュなパフォーマンスで会場を温めたのち、いよいよコンサートの幕が開ける。公演冒頭はスパンコールがあしらわれた真っ赤な衣装を着た佐々木が1人でステージに姿を現し、切れ味抜群のソロダンスを披露。場内は彼女のメンバーカラーである黄色のペンライトの光と盛大な歓声で満たされた。そしてこのコンサートの幕開けを飾った楽曲は、佐々木にとってのデビューシングル「大器晩成」。全員赤の衣装でステージにそろったアンジュルムはファンキーなサウンドに合わせて躍動し、楽曲終盤で観客とシンガロングを繰り広げた。
気仙沼公演で語られた故郷への思い
その後、レーザーや火花の演出を交えながら迫力満点のパフォーマンスを繰り広げていくアンジュルム。6月12日リリースされた34thシングルの収録曲の1つ「美々たる一撃」も披露され、挑発的な表情とともに力強い歌とダンスが繰り出された。このライブ最初のMCに入ると、佐々木は「楽しい! 今日を迎えるまで寝れなかったの……!」と興奮をあらわに。「攻め攻めのセトリになっていますので、誰1人後悔させない時間を作っていきたいと思います!」と観客の期待を煽った。
続くブロックでは最新シングル曲の1つで、アーバンなムード漂うミドルチューン「うわさのナルシー」を皮切りに大人びた楽曲が続き、メンバーはセンターステージや外周通路を駆使しながら観る者の心を鷲づかみに。幕間には5月に宮城・気仙沼市民館で行われた佐々木の凱旋公演の映像が上映され、感動的な空気が場内に漂った。小学生の頃にローカルアイドル・SCK GIRLSとして活動していた佐々木が13年ぶりに故郷のステージに立ち、気仙沼への思いを声に出して丁寧に紡ぐ。その言葉1つひとつに会場のファンはじっと耳を傾けた。
「交差点」の曲中に流れたひと筋の涙
ライブ中盤、ポップな色合いの衣装に着替えたアンジュルムは佐々木を主役に据えて数組のユニットに分かれ、スマイレージ時代の楽曲をメドレーで歌唱。往年のファンを喜ばせたかと思えば、続いて別れと旅立ちをつづった「交差点」を歌い、観客の胸を打つ。銀の紙吹雪が舞うセンターステージで円を描き、その中央に立つ佐々木に向けて歌声を届けるメンバーたち。苦楽をともにしてきた仲間との絆を噛み締めたのか、佐々木の頬にひと筋の涙が伝った。
「Forever Friend」では佐々木が客席に向けて「ずっと友達だよー!」と呼びかける。メンバーと観客が三三七拍子に合わせて「莉佳子が大好きだー!」と声をそろえる場面もあり、相思相愛の一体感がアリーナに広がっていった。ラストスパートでは「次々続々」「46億年LOVE」などの人気曲を通して会場のボルテージが高まり、サマーチューン「夏将軍」でライブ本編がフィニッシュ。会場全体で勢いよくタオルを振り回すことで、ステージと客席の垣根がより一層取り払われた。
「皆さんが照らしてくれるからこそ生きられる、ひまわり」
「莉佳子!」コールを合図にアンコールへ突入すると、天使をイメージさせる白いドレスを身にまとった佐々木がステージへ。涙を交えつつ、2017年発表の楽曲「君だけじゃないさ…friends」を今回のコンサート用にリアレンジしたバージョンで伸びやかに歌い上げた。曲の最後には佐々木の背後のスクリーンにアンジュルムメンバーの写真が。佐々木の同期であるOGの室田瑞希と相川茉穂の姿も映し出されると、客席から感激の声が漏れた。
ソロ歌唱を終えると、佐々木は手紙を取り出し、地元・気仙沼で経験した2011年3月11日、そしてその日をきっかけに始まった自身のアイドル人生を振り返る。メンバーに対して「自分で選んだことだけれど、やっぱりみんなのことが愛おしくてたまらないよ」「私は、過去も未来もどんな形であれ愛し続けます。先を作るのは目の前にある今です。最高で最強なみんならしく、みんなの色でこれからのアンジュルムを作り上げていってね?」と語りかけ、ファンに対しては「私は皆さんを照らす太陽であり、皆さんが照らしてくれるからこそ生きられる、ひまわりだと思っています」とメッセージを送る佐々木。彼女は「『宇宙一のトップアイドルになります!』そう言って地元・気仙沼を飛び出した当時の私へ。今の私の日常には笑顔があふれていて、今、私は横浜アリーナのステージに立っているよ。信じられないよね……。過去もすべて今を作った大切な時間。大きな夢を掲げて突っ走ってきた11年間。自分の選択に悔いはありません」と晴れやかな笑顔を浮かべると、「今日は愛情の世界を一緒に作ってくれてありがとうございました」と感謝の思いを口にした。
その後、佐々木はメンバーとともに「旅立ちの春が来た」をさわやかに歌い届ける。メンバー1人ひとりの言葉を順に受け止めたあとは、「これからのアンジュルムが本当に楽しみで仕方ないんですね」と声を弾ませ、「私のアイドル人生に一片の悔いなしです!」とピースサインを掲げた。そして最後の最後までステージ上に後悔を残さないよう、佐々木が胸の内を伝えきったところで、ついにコンサートはフィナーレへ。11人は肩を寄せ合いながら、「大器晩成」を手がけた中島卓偉が作詞作曲した卒業ソング「THANK YOU, HELLO GOOD BYE」を歌唱。ラストは友情を描いた「友よ」が高らかに響きわたり、佐々木の卒業を祝福するようにきらびやかな銀テープが場内を舞った。
佐々木莉佳子 手紙全文 / セットリスト
関連商品
イガ IGA 身体研究家&地を這うダンサー @iga11moon11wave
手紙が良すぎて... https://t.co/uZdbImzx21