念願の志摩スペイン村公演ついに開催
2020年3月に志摩スペイン村でワンマンライブを企画するも、新型コロナウイルス感染拡大の影響により延期ののち、やむなく中止したヤバT。ライブバンドのヤバTにとってコロナ禍は大きな痛手だったが、彼らは感染防止のガイドラインと向き合い試行錯誤しながらライブ活動を続けてきた。
バンドの結成10周年と志摩スペイン村の30周年という、お互いにとってベストなタイミングで今回のワンマンライブが実現することとなったが、開催1週間前にして2日間合計で用意された1万2000枚のチケットのうち、2日目のチケットが1600枚余ってしまうというピンチが到来。同日に大型フェスの開催、アクセスの悪さ、翌日が平日などさまざまな要因があり、完売は難しいかと思われたが本人たちや仲間のバンド、顧客(ヤバTファンの呼称)による懸命なプロモーションのおかげで見事2日目のチケットもソールドアウトし、満員御礼の2日間で 1万2000人を動員した。
ヤバT、パレードのフロートに乗って登場
パークは10時からオープンし、来場した顧客たちはコラボアトラクションやメンバー個人のプログラム、コラボフードなどを楽しみながらライブの開演を待つ。ヤバT自身も園内に出没して顧客とコミュニケーションを図るなど、パークを満喫しながらライブまでの時間を過ごした。開演時刻になるとシベレス広場に組まれた特設会場に志摩スペイン村のパレードソング「ブエンビアへ」が流れ出し、巨大なフロートに乗ったヤバTが登場。志摩スペイン村のキャラクターたちも勢揃いしたところでこやまたくや(G, Vo)は「さあ! ヤバイTシャツ屋さんスペインのひみつ解明ワンマンショー、みんなでリベンジするぞ!」と意気込み、パークのテーマソング「きっとパルケエスパーニャ」のカバーでライブをスタートさせた。
「志摩スペイン村をでっかいライブハウスにしようぜ!」。こやまはそう叫んだが、客席エリアでは1曲目からモッシュやダイブがいたるところで発生し、会場は瞬く間にライブハウスさながらの熱気が立ち込める。「あつまれ!パーティーピーポー」や「Tank-top of the world」など、序盤から惜しむことなくライブアンセムを投下したこやまは、遠くまで人でぎっしりと埋め尽くされた客席エリアを見渡し、「この景色は志摩スペイン村史上初やろ、絶対!」と胸を張った。
ダンサーたちも集結!志摩スペイン村公演ならではのステージ
シャボン玉が“ファンタジー”な雰囲気を演出した「げんきもりもり!モーリーファンタジー」が終わると、ステージには志摩スペイン村のダンサーたちが集合。こやまの提案でヤバTと顧客たちはダンサーたちが踊る高度なショーダンスを見よう見まねで踊ったあと、ヤバTは「グラシアス! アミーゴ! オラ!」と思いつく限りのスペイン語でダンサーを見送った。
子連れに優しい“家族チケット”専用の客席エリアが設けられた本公演には、ちびっこも多数参加。ヤバTはテレビアニメ「もっと!まじめにふまじめ かいけつゾロリ」のために書き下ろした「ZORORI ROCK!!!」や動物紹介ソング「ざつにどうぶつしょうかい」を演奏して子供たちを喜ばせる。「ざつにどうぶつしょうかい」ではありぼぼ(B, Vo)が「パエリャおいしい!」と歌詞を志摩スペイン村仕様にして歌う場面もあった。
大きいライブハウスのつもりでやってる
壮大なロックバラード「肩 have a good day -2018 ver.-」では、もりもりもと(Dr, Cho)が朗々と口笛を吹き、こやまがアカペラで熱唱。そして顧客の力強いシンガロングを受けてこみ上げてしまったこやまがステージを去ろうとするとありぼぼが引き止めるというヤバTらしい小芝居も繰り広げられた。
代表曲の1つである「かわE」でも盛大なシンガロングを巻き起こし、「よくできましたー!」とご満悦なこやま。彼はコロナ禍以降、ヤバTの思い描くライブ環境がなかなか実現できなかったことへの思いを吐露し、今回のライブで参加者それぞれが希望するエリアで好きなスタイルで観られるようにするべく、当初設けていたブロック制を解除させてくれた志摩スペイン村へ感謝した。そして「今日は大きいライブハウスのつもりでやってるので、ごめん! 俺らの意向汲んでください! 志摩スペイン村さんがこれでいいって言ってくれてるんで、思う存分やってもらってもいいですか?」と前置きし、新曲の「k.r.k.r.」を初披露。顧客をキャッチーかつヘヴィなサウンドで圧倒し、フロアにモッシュを巻き起こした。
巨大なライブハウスで鳴らす「サークルバンドに光を」
志摩スペイン村公演を行うきっかけになったシングル「スペインのひみつ」より「癒着☆NIGHT」を披露したあと、こやまは「ヤバイTシャツ屋さんみたいなふざけたバンドが一番信念を持って、プライドを持って、ライブをやっているということを世間はいつになったら気付いてくれるんでしょうか? でも今日来てくれているみんながわかってくれてるんやったらもうそれでいい」と真摯に語る。そしてバンドサークルで結成し、愚直に活動し続けてきたヤバTというバンドの信念を込めた「サークルバンドに光を」を熱唱した。
終盤の「無線LANばり便利」ではこやまが「もっと来いよ!」「4年分やろう」と煽ると、盛大なシンガロングとモッシュ、ダイブが巻き起こり、シベレス広場が巨大なライブハウスのフロアと化す。その後披露された「ヤバみ」は「4年間待った甲斐がありました」というこやまの感想の通りこの日一番の盛り上がりとなった。本編最後は志摩スペイン村のダンサーとキャラクターも集まって「ハッピーウェディング前ソング」。金テープが発射され、祝祭感あふれる中で幕を閉じた。
結局スペインのひみつってなんやったん?
アンコールではヤバTがライブタイトル「スペインのひみつ解明 ONE-MAN SHOW」についてタンクトップくんに「結局スペインのひみつってなんやったん?」と詰め寄る場面も。ありぼぼから「実は解明するものなんてなかったとか?」と言われるとタンクトップくんが「ギクッ!」とわかりやすくリアクションしてからステージを去った。ヤバTは「喜志駅周辺なんもない」で再びここでライブをするべく志摩スペイン村に媚を売りまくり、最後は「NO MONEY DANCE」でフィニッシュ。1日目の公演を終えた。
1曲目からフルボルテージで始まった2日目
「きっとパルケエスパーニャ」が流れる中、1日目と同じようにフロートで登場したヤバT。この日は1日目のハイライトとなった「ヤバみ」でライブの口火を切り、瞬く間にフロアを焚きつける。「志摩スペイン村にようこそ!」と歓迎したヤバTは「とりあえず噛む」「KOKYAKU満足度1位」「ウェイウェイ大学生」と人気曲を連投し、フルボルテージのパフォーマンスを早速展開していく。熱量の高いステージを受けて客席エリアには至るところでダイバーが発生し、肩を組んでヘッドバンギングをする顧客の姿も見られた。
「おかいつ」ソングからチルナンバーまで
「この場を借りてやりたいことがあるんですけど……」と観客をしゃがませたありぼぼ。何をやりたいのかと思えば、しゃがんだところから「オレ!」と言いながらジャンプする“スペインジャンプ”を最後列から最前列まで1列ずつ行うという謎のイベントで顧客たちの連帯感を高めた。夏ソング「ちらばれ!サマーピーポー」では巨大なサークルモッシュが起こる。あまりライブで披露されることのないサマーミッドレゲエナンバー「君はクプアス」、もりもとがスペイン語バージョンでカウントを入れた初期曲「天王寺に住んでる女の子」などを演奏したあと、ライブはダンスタイムへ。初日と同じく志摩スペイン村のダンサーが踊る高度なショーダンスをヤバTと観客は見よう見まねで踊ったが、2日連続で参加している人も多いためか初日よりも少し完成度が高いように見えた。
2日目のちびっこ向けソングのコーナーではNHK「おかあさんといっしょ」のエンディング曲「スプラッピ スプラッパ」のカバーが演奏され、客席エリア前方の顧客だけではなく、家族エリアの子供たちもくるくると回っていた。「L・O・V・E タオル」ではタオルを片手に楽しみ、「ダックスフンドにシンパシー」では「ワンワン」と吠え、「ハッピーウェディング前ソング」では“キッスからの入籍コール”を繰り出した顧客たち。ヤバTの小芝居を挟んで始まった「dabscription」では、チルなサウンドに身を委ねて手を左右に振り、ヤバTにしかできない、変幻自在なパフォーマンスにしっかりと順応していた。
志摩スペイン村公演をどうしても完売させたかった理由
「タンクトップ祭りが始まるよー!」というこやまの宣言からヤバTは「Tank-top of the world」「Tank-top in your heart」「Tank-top Festival 2019」「Blooming the Tank-top」とアルバムをリリースするごとに発表してきた、ヤバTの真骨頂である“Tank-top”を冠したロックチューンを4曲連続で披露。そしてこやまはここで、「絶対にまたやりたい。絶対次につなげたいやん」と2日目のチケットを売り切りたかった理由を語り始めた。「なんならどんどん大きくしていきたいし、できることならいろんな人を呼んでフェスとかにもしたい。そのためには2日間ヤバTだけでちゃんと成功させられるっていう実績を残さへんと俺らなんも言えないんですよ。ヤバTが『京都大作戦』(10-FEETが京都で開催しているフェス)みたいなことをしたいと思ったらここ(志摩スペイン村)しかないと思う」と今後も志摩スペイン村でイベントを開催するべく、完売を目指したことを明かす。「テーマパークもバンドも同じエンタメ、苦しい時間が続いたけど、今日で一旦ケリを付けたいと思います」と告げ、ヤバTは「Give me the Tank-top」をプレイ。「無線LANばり便利」でラストスパートをかけ、代表曲「あつまれ!パーティーピーポー」で本編を終えた。
サプライズで「スペインのひみつ2」リリースを発表
初日に解明されなかった“スペインのひみつ”。2日目の解決が期待されたが、「ひみつはね、あるよ。すっごいひみつがあるよ。3人とそして顧客のみんなと力を合わせてこれからも一緒に解明してほしいんだ」と、またしてもタンクトップくんにはぐらかされてしまった。しかし2日目はひみつが解明できなかったという残念なお知らせだけではなく、9月4日にヤバT12枚目のニューシングル「スペインのひみつ2」がリリースされるという朗報も。さらにテレビアニメ「村井の恋」のエンディングテーマとして書き下ろした新曲「すこ。」も初披露されるなど、顧客にとってはうれしいサプライズが連続した。2日間の最後、ヤバTは志摩スペイン村の仲間たちを迎え入れて「かわE」を披露。ステージ上部で花火が打ち上がり、2日間にわたる夢のステージは華々しく締めくくられた。
なお志摩スペイン村では、ヤバイTシャツ屋さんとのコラボイベントを6月23日まで開催中。期間内パークではコラボフードやコラボグッズの販売、ヤバTメンバーの特別アナウンスを楽しめるアトラクションが運行される。
「ヤバイTシャツ屋さん “スペインのひみつ解明 ONE-MAN SHOW” in 志摩スペイン村 ~ザ・リベンジ~」セットリスト
2024年5月11日
01. きっとパルケエスパーニャ
02. あつまれ!パーティーピーポー
03. Tank-top of the world
04. メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲
05. ちらばれ!サマーピーポー
06. 天王寺経由してなんば
07. コンプライアンス
08. 俺の友達が俺の友達と俺抜きで遊ぶ
09. Bluetooth Love
10. げんきもりもり!モーリーファンタジー
~みんなでダンスタイム~
11. ZORORI ROCK!!!
12. ざつにどうぶつしょうかい
13. 肩 have a good day -2018 ver.-
14. sweet memories
15. かわE
16. 鬼POP激キャッチー最強ハイパーウルトラミュージック
17. k.r.k.r.
18. くそ現代っ子ごみかす20代
19. 癒着☆NIGHT
20. サークルバンドに光を
21. Blooming the Tank-top
22. 無線LANばり便利
23. ヤバみ
24. ハッピーウェディング前ソング w/志摩スペイン村の仲間たち
<アンコール>
25. 喜志駅周辺なんもない
26. Universal Serial Bus
27. NO MONEY DANCE
2024年5月12日
01. ヤバみ
02. とりあえず噛む
03. KOKYAKU満足度1位
04. ウェイウェイ大学生
05. NO MONEY DANCE
06. ちらばれ!サマーピーポー
07. 君はクプアス
08. 天王寺に住んでる女の子
09. リセットマラソン
10. 泡 Our Music
~みんなでダンスタイム~
11. スプラッピ スプラッパ
12. ZORORI ROCK!!!
13. L・O・V・E タオル
14. ダックスフンドにシンパシー
15. ハッピーウェディング前ソング
16. dabscription
17. Tank-top of the world
18. Tank-top in your heart
19. Tank-top Festival 2019
20. Blooming the Tank-top
21. Give me the Tank-top
22. 無線LANばり便利
23. あつまれ!パーティーピーポー
<アンコール>
24. きっとパルケエスパーニャ w/志摩スペイン村の仲間たち
25. すこ。
26. ネコ飼いたい
27. かわE w/志摩スペイン村の仲間たち
スペイン語サービスANC 大阪 講師派遣(法人向け語学研修)、翻訳、通訳、オンラインレッスンなど @spanish_info_
【ライブレポート】ヤバイTシャツ屋さん、満員の志摩スペイン村ワンマン大成功!しかしスペインのひみつは解明ならず - 音楽ナタリー https://t.co/WxqgPZLjzy
#スペイン