アトラクションのように緩急の激しいライブ展開
東北産の活動拠点である宮城でスタートし、その後大阪を経て東京でファイナルを迎えた「2024春ツアー TOHOKU-SAN EXPO」。ツアータイトルの通り、このツアーは「万国博覧会(万博)」がテーマで、世界各国のパビリオンのように東北産のさまざまな魅力が提示された。
オープニングではステージ上の紗幕に4月6日にリリースされた3rdアルバム「東北産万博」の新ビジュアルが映し出され、メンバーの姿が1人ひとり投影されるたびに客席から大きな声援が上がる。パビリオンガールをイメージしたピンクの衣装に身を包んでステージに登場した東北産は「Let's シンガソング」でライブをスタートさせ、客席を埋め尽くすカラフルなペンライトの輝きを目の前にして笑顔に。ステージ上を漂うスモークやシャボン玉の演出も交えながら「TOHOKU-SAN EXPO」が華やかに幕を開けた。
続いて披露されたのは、TikTokで大きな広がりを見せた「わざとあざとエキスパート」の曲調を継承する“あざとかわいい”楽曲の第2弾で、これまたTikTokで話題となっている「沼れ!マイラバー」。メンバーはステージから四方八方にキュートな歌声や笑顔を届けると、律月ひかるの「皆さま、本日は『TOHOKU-SAN EXPO』にようこそ。こちらにはさまざまなパビリオンがございます。まずはじめにご案内させていただくのは、無限に広がる“宇宙”でーす」という案内を合図に「宇宙に行こう!」のパフォーマンスへと移る。衣装に合わせたピンクのショルダーバッグや“案内板”を手にしたパビリオンガールたちがにぎやかな“宇宙”へと誘ったと思えば、伊達花彩のアカペラで始まる「恋愛フィルター」では凛としたパフォーマンスが繰り広げられた。
アトラクションのように緩急を付けた、エンタテインメント性の高いライブで観客を惹き付けていく東北産。「BUBBLE POPPIN」では安杜羽加の「おい、豊洲! 四の五の言わずに暴れるよー!」という煽りを受け、コールや“振りコピ”を繰り出す皆産(いぎなり東北産ファンの呼称)の熱気がますます上昇し、春の軽やかな風を感じさせる「桜プロミス」でも会場が大いに盛り上がった。
種々様々な初ユニット曲
「TOHOKU-SAN EXPO」スタート前からファンの間で話題になっていたのが、ツアーに合わせて用意された初のユニット曲の存在。東北産はお腹を露出させた新衣装へとチェンジし、アルバム「東北産万博」に収録されているユニット曲を次々に披露していく。「トーホク・ラブ・ストーリー ~恋はいつも突然に~」は、藤谷美海演じる“みうおくん”、葉月結菜演じる“ユナちゃん”、安杜演じる“ギャル杜”の三角関係を描いたミュージカル調の楽曲。隠れギャル好き属性の“みうおくん”を待ち受ける運命に対し、客席の各所から笑いが起こった。
伊達と桜ひなののユニット曲「轟」は、「メタハンマー」「結び」といった東北産の楽曲を手がけてきた園田健太郎の提供作品。グループを歌唱面で引っ張る伊達と桜のボーカリストとしての一面にフォーカスし、観客の目と耳を満足させるパフォーマンスが展開された。かわいさと美しさの両方を前面に押し出したのは、吉瀬真珠と北美梨寧による「イヤギハジャ」。北美が心酔するK-POPのテイストをふんだんに取り入れたサウンド、男の子をパーティに誘う様を表現する2人のキュートな仕草と歌声を受け、ペンライトを振ることを忘れてステージに視線が釘付けになる皆産の姿も見られた。
王道アイドルの橘花怜と独自の世界観を持つ律月のユニット曲「ぱんださん」では、2人が白と黒のパーティションを挟んでパフォーマンス。ぱんださん」は東北産史上初の“ガチ恋口上推奨曲”で、皆産の一体感のある声が盛大に響きわたる。この曲を象徴する「私はアイドルだ」というフレーズを歌い、スポットライトを浴びて輝く2人に観客の熱量が重なり、ここでも大きな盛り上がりが生まれた。
「東京アレルギー」で表現された東北産の覚悟
会場には10台以上のカメラが用意され、常に東北産メンバーの姿を捉えていたが、この映像演出が最も効果的に用いられたのが「真っ直ぐに、明日がある」。桜から順番に歌いつないでいく構成のこの曲では、ステージを覆う紗幕に映像を投影しつつ、ステージ上のメンバーに照明を当てて紗幕を透過させることで、歌詞に込められたメッセージがより一層強調された。このほか、マイクスタンドを使って歌う「Trophy Girl」、律月が作詞、大森靖子が作曲を手がけた“最狂”のラブソング「狂くるどっかーん♡」などで会場の熱気がさらに増していった。
「東北産masterは誰だ?もっと深堀りパビリオン」と題した企画コーナーで場内が和んだあとは、ニューアルバム「東北産万博」に収録されているロックチューン「東京アレルギー」がライブ初披露された。それまで無邪気な笑顔を浮かべていたメンバーは、楽曲のイントロが流れるとスイッチが切り替わったかのように鋭い眼差しに。地方出身者が抱く東京への憧れの気持ち、そして東京・日本武道館のステージを目指している東北産の覚悟が楽曲を通して表現された。なお、YouTubeではこの日の「東京アレルギー」のライブ映像が公開されている。
その後「NIWAKA」「メタハンマー」「天下一品」など、キラーチューンを惜しみなく連発した東北産。「飛ぶぞ!」の冒頭では橘が「高く高く、人生で一番飛ぶぞ!」と力の限り叫び、伊達も「これがラストの曲だ! 一緒に飛んで盛り上がろうな!」と煽る。客席の皆産は勢いよくタオルを振り回し、彼女たちの声に応えた。
「夢を叶えるなら東北産と皆産とがいい」
アンコールに突入すると、ライブの鉄板曲「わざとあざとエキスパート」で再び場内が興奮で渦巻く。そして、東北産のさまざまな魅力を発信してきた「TOHOKU-SAN EXPO」を締めくくったのは、彼女たちの故郷について歌ったナンバー「ワンダフル東北」。豊洲PITがこの日一番の一体感で満たされた。
最後のMCでは葉月が「このツアーで、みんなのことがもっともっと大好きになりました」と語り、安杜は「私自身もユニット曲とか観ていて、このメンバーすごいな、強いなって誇りに思うことがあったので、そんな“つよつよ”な東北産の一面をもっと全面に出して、私たちらしいエンタメを皆さんにお届けできたらと思います」と挨拶。リーダーの橘は「私は、東北産と皆産と一緒にいると、『あ、もう幸せ』って思うときがあるんですよ。そう思える人に出会えたこと、すごくうれしいなと思うし、夢を叶えるなら東北産と皆産とがいいので、これからも夢の先を一緒に描いていけるようにがんばっていきます」と意気込みを言葉にして伝えた。
いぎなり東北産は7月26日に東京・かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホールにて「東京ワンマンライブ~年末への前哨戦~」と題した単独公演を行う。12月29日に開催する神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホール公演のソールドアウトを目指して邁進していく。
いぎなり東北産「東京アレルギー」2024春ツアー TOHOKU-SAN EXPO
セットリスト
いぎなり東北産「2024春ツアー TOHOKU-SAN EXPO」2024年4月6日 豊洲PIT
01. Let's シンガソング
02. 沼れ!マイラバー
03. 宇宙に行こう!
04. 恋愛フィルター
05. BUBBLE POPPIN
06. 桜プロミス
07. トーホク・ラブ・ストーリー ~恋はいつも突然に~
08. 轟
09. イヤギハジャ
10. ぱんださん
11. 真っ直ぐに、明日がある
12. Trophy Girl
13. うぢらとおめだづ
14. 狂くるどっかーん♡
15. 東京アレルギー
16. NIWAKA
17. メタハンマー
18. 天下一品 ~みちのく革命~ 2020ver.
19. いただきランチャー
20. 飛ぶぞ!
<アンコール>
21. 出囃子
22. わざとあざとエキスパート
23. ワンダフル東北
ライブ情報
A LIVE SENDAI Vol.2
2024年6月29日(土)宮城県 SENDAI GIGS
<出演者>
東京ワンマンライブ~年末への前哨戦~
2024年7月26日(金)東京都 かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
パシフィコ横浜 ワンマンライブ
2024年12月29日(日)神奈川県 パシフィコ横浜 国立大ホール
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