「舟を編む ~私、辞書つくります~」は、三浦しをんの小説「舟を編む」を原作とした作品。池田演じる主人公・岸辺みどりは、人気ファッション誌の編集部員だったが、雑誌の廃刊が決まり、辞書編集部に異動することに。野田演じる生真面目な上司・馬締光也らに翻弄されながらも、1冊の辞書を作るために十数年におよぶ時間と手間をかける根気と熱意に触発され、次第に自らも“言葉”の魅力を発見していく。
こんなに面白い脚本があるんだ
会見には池田、野田、そして制作統括の高明希(AX-ON)、演出の塚本連平が登壇した。約3年半ぶりに芝居に挑んだ野田は「3年半前から僕は演技に向いてないのかなと思いながら、ともかく音楽をやろうと、なんとか必死に音楽と向き合ってきたんですけども、昨年に高さんからお話をいただいて、脚本を読ませてもらって、『あ、こんなに面白い脚本があるんだ』と衝撃を受けました」とオファーがきたときの心境を振り返る。そして「俳優だろうが音楽だろうが、どんな形であれ、この作品の一部になりたいなと強く思ったのはすごく覚えています」と述べ、「昨日クランクアップで撮影を終えたんですけれども、自分の直感は正しかったなと思いましたし、一生忘れない体験ができたなと思います」としみじみと語った。
野田は自身の役柄である辞書編集部主任の馬締について「僕も普段言葉を紡ぐ者として、馬締の言葉をまったく他人の言葉のようには思えませんでした。どうやったらもっと言葉を深く届けられるんだろうか、どうやったら自分の気持ちに近い言葉として届けられるだろうかというのを常に考えながら歌詞を書いていて。顔も知れない、目も見れない相手に届けなきゃいけなくて、届けたくて。ひたすら『言葉というものはなんなんだろう?』『自分だけの言葉って、どうやったら獲得できるんだろう?』というのを考えながら、歌をつなげていた20年だったので、馬締の言葉に対する姿勢は本当に自分の分身のように思えて、『これは絶対俺がやりたい』と強く思わされました」と思い入れたっぷりに話す。言葉を取り扱うドラマのため、通常の作品と比べて各出演者の台詞量が多かったそうで、野田は「ワンシーンが20ページあって。僕はドラマをやるのが2回目だったので、こういうものなのかなと思ったんですが、周りの出演者の方が『異常だ』という話をしていて。けっこう異常な台本だったみたいです」と笑いながら述べた。
すごく丁寧な関係だった気がします
池田と野田が共演するのは今回が初めてだが、2人は以前から知り合いだったという。「普段の野田洋次郎さんと馬締さんはそう遠くない」と池田が話すと、馬締が曲者キャラということもあり、野田から思わず「俺、あんな感じですか?」という言葉が。池田は「言葉に対して真摯に向き合ってるという姿勢は、すごく馬締さんと似ているところなので」と理由を付け加え、「心を大切にお芝居をされてる方なので、どちらかが映ってないときも、なるべく野田さんの視界に入るならば環境は整えて、映ってなくても全身全霊でお芝居して向き合いたいなと思わせてくれる方。すごく丁寧な関係だった気がします」と語った。
野田は「現場自体、無理に盛り上げようという空気ではなくて。たくさんの書物に囲まれてるので、そこに身を置いていると、少し厳かな空気が流れていて。出演者同士の温かな空気と、ほどよい緊張感もありました」と撮影を振り返る。そして彼が「エライザさんも僕は昔から知ってはいましたけど、こんなに凛として仕事をする人なんだというのを僕も初めて知りました」と池田の現場での様子を賞賛すると、池田が茶目っ気たっぷりにピースして報道陣を笑わせる場面もあった。
辞書との思い出
会見終盤、辞書とのこれまでの付き合い方を問われた野田は「中学から進学校に通っていて。国語辞書と字典を両方買わなきゃいけない学校だったので、すごく重たくて嫌で。なるべくカバンをぺちゃんこにして学校に行きたい、思春期の学生だったので。辞書を引くときは5秒以内に引けるようにしろという体育会の学校で、ちょっとトラウマ的なところもあったんですけど……」と苦笑い。しかし、「今回、学生以来こんなにめくるかというぐらい毎日毎日たくさん辞書をめくっていて、そうすると思いがけない出会いがあった。だいたい見開き2ページで必ず1個はあるんです。この前も『ラッコって語源はアイヌ語らしいよ』『ええ!?』ってみんなで盛り上がって。辞書って実は堅苦しいものではなくて、僕らが当たり前に会話するように、当たり前にそこに気付きをもたらしてくれるものなんだなということを改めて思いました」と辞書の魅力を熱く語り、会見を締めくくった。
番組情報
NHK BS「舟を編む ~私、辞書つくります~」
初回放送:2024年2月18日(日)22:00~22:49
※以降毎週日曜日22:00~22:49に放送(全10回)
真珠 @mieko__0606
RADWIMPS野田洋次郎、3年半ぶりドラマの台本はワンシーン20ページ「けっこう異常だったみたい」 https://t.co/1YTiWlD8I5