セトリや演出は川瀬自ら考案
2015年に桜エビ~ずとしてグループが結成されたときからのオリジナルメンバーで、2021年からはukkaのリーダーとして活動してきた川瀬。高い歌唱力を誇り、約8年半にわたってグループを牽引してきた彼女だが、「ukkaとしての活動をすべてやりきった」という思いからukkaを卒業し、所属事務所のスターダストプロモーションからも退所することを決断した。
卒業公演はセットリスト、演出、衣装すべて川瀬が自らプロデュース。登場SE「We are…」とともに川瀬のこれまでの歩みをたどる映像が流れたのち、紅色の衣装に身を包んでステージに上がったメンバーは、12月20日にリリースしたメジャー1stフルアルバム「青春小節~音楽紀行~」の収録曲「Rising dream」でライブの幕を開けた。夢を追いかける人を鼓舞する爽快なロックナンバーであるこの曲を皮切りに、「みしてかしてさわらして」「オスグッド・コミュニケーション」とアッパーチューンが連続。燦爛としたティアラを頭に乗せ、いつも通り力強いパフォーマンスを届ける川瀬に会場のファンは惜しみない声援を送った。
いつも以上に際立つ伸びやかな歌声
「214」では曲中に客席通路を歩き、湿っぽい雰囲気を漂わせることなく笑顔でファンとコミュニケーションを図るukka。しかし「時間。光り輝く螺旋の球。」「AM0805の交差点」などのエモーショナルな楽曲が披露されると、川瀬のアイドルとしての最後の勇姿を見届けるため、観客はステージの光景をじっくりと目に焼き付けた。スタッフやメンバー、家族からの川瀬に対する“タレコミ”を紹介するコーナー「あやめちゃんって実はこんな人!川瀬あやめタレコミ情報」で会場の空気を和ませつつ、その後も6人はまっすぐにパフォーマンスを届けていく。ライブ中盤には「ねぇ、ローファー。」「おねがいよ」などのしっとりとした空気感の楽曲が続き、川瀬の伸びやかな歌声がより一層際立つ。メンバーはステージ上の階段に腰かけたり、マイクスタンドを使ったりと、多彩なステージングで楽曲が持つ世界観を会場全体に浸透させた。
アルバム「青春小節~音楽紀行~」に収録されているバラードナンバー「カノープス」で壮大に始まったラストスパートでは、「リンドバーグ」「それは月曜日の9時のように」とライブの鉄板曲が惜しみなく披露され、ここでも川瀬の芯のある歌声が会場後方まで突き抜けていく。本編ラストは川瀬の「出会いと別れを繰り返しながら、uuka、そして私は未来に向かって進んでいきます。何年後かにukkaのことを思い出したときに、この6人が少しでも皆さんの記憶に残っていますように」という言葉から最新アルバムのリード曲「つなぐ」へ。旅立ちを描いた歌詞が、新たな道へ進む川瀬と今後もukkaとして邁進するほかの5人の行く先を照らすように響き、「そばにいたいよ だけどサヨナラ 約束しよう いつかまた会おう 信じてる」という言葉が観客の胸に染み渡る。ここまで笑顔でステージに立っていたメンバーだが、曲中には思わず感極まった結城りなが涙で声を詰まらせていた。
「できることはすべてやりきった」
ファンの声に応えてライブがアンコールに突入すると、きらびやかな水色のドレスを身にまとった川瀬が1人でステージへ。彼女はグループの軌跡を振り返りつつ、その時々に感じていた自身の思いを吐露し、「武道館とか横アリでワンマンライブがしたかったなとか、トロッコに乗って客席を回りたかったなとか、イヤモニの回線を1人1つずつにしたかったなとか、今でも自分の中で叶えたかった夢がたくさんあります。だけど、私がグループのためにできることはすべてやりきったと思っています」と晴れ晴れとした表情を浮かべる。そして「ももクロ(ももいろクローバーZ)にはなれなかったけど、スターダストじゃないとできなかったこと、ももクロちゃんの後輩じゃないとできなかったとこと、たくさんありました。みんなからも一生分の愛をもらったよ。私は超幸せ者です。見つけてくれて、出会ってくれてありがとう」とファンに対する感謝の思いを言葉に紡いだ。
川瀬が挨拶を終えると「さいしょのさいしょ」が披露され、ステージに合流したメンバーは川瀬のもとへ駆け寄って抱き合う。曲中メンバーの目に涙が光る場面もありつつ、さらにukkaはライブの盛り上がり曲「エビ・バディ・ワナ・ビー」、川瀬をフィーチャーした楽曲「ファンファーレ」を駆け抜けるようにしてパフォーマンス。「ファンファーレ」では、川瀬の旅立ちを祝福するように金色のテープが客席に盛大に放たれた。
アイドルとして歌う最後の曲は
2021年に加入した後輩メンバー、結城と葵るりが涙ながらに挨拶を述べるMCを挟み、公演の最後に披露されたのはライブの人気曲の1つ「タリルリラ」。2番冒頭の川瀬のパートが始まる前には、会場のファンが「お前が一番! お前が一番! お前が一番! あやめ!」と力いっぱい声をそろえる。その光景を幸せそうに眺めていた川瀬は曲が終わり、ほかのメンバーが退場するとステージを降りて客席通路へ。観客の近くをゆっくりと歩き、8年半分の感謝を込めて笑顔で別れを告げた。
なお、ukkaにはスタプラ研究生として活動していた宮沢友と若菜こはるが新メンバーとして加入。1月21日に東京・LIQUIDROOMで新体制のお披露目公演「New Chapter “7”」を行う。
セットリスト
ukka「川瀬あやめ卒業公演~次のストーリー~」2023年12月30日 ヒューリックホール東京
SE. We are…
01. Rising dream
02. みしてかしてさわらして
03. オスグッド・コミュニケーション
04. TAiLWiND
05. こころ予報
06. 214
07. 時間。光り輝く螺旋の球。
08. AM0805の交差点
09. せつないや
10. ねぇ、ローファー。
11. おねがいよ
12. ラブパレード
13. カノープス
14. リンドバーグ
15. それは月曜日の9時のように
16. つなぐ
<アンコール>
17. さいしょのさいしょ
18. エビ・バディ・ワナ・ビー
19. ファンファーレ
20. タリルリラ
ライブ情報
New Chapter “7”
2024年1月21日(日)東京都 LIQUIDROOM
自転車来てるよスーパーけんちゃん @_ai6
ukka川瀬あやめ、8年半で受け取った一生分の愛 卒業公演を経て“次のストーリー”へ - 音楽ナタリー
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