「まほうがつかえる」は、羊文学が毎年12月に開催しているクリスマスライブ。チケットが即日完売となった東京公演は、最新アルバム「12 hugs (like butterflies)」のリリース直後のワンマンということもあり、場内はこの日を心待ちにしていたオーディエンスの熱気で満ちていた。ライブは塩塚モエカ(Vo, G)が語りかけるように歌う短尺の弾き語りナンバー「Hug.m4a」で幕開け。儚げなボーカルでメランコリックな空気を生み出すと、羊文学はそのムードを消し去るように「Addiction」「FOOL」を爆音で演奏。フクダヒロア(Dr)の力強いドラムでハンドクラップを促すと、軽やかなロックナンバー「変身」を勢いのままにパフォーマンスした。
塩塚は満員の客席に向けて「いつものライブはシーンっとして儀式みたいなんだけど、今日はパーティだから自由に楽しんでください(笑)」と呼びかけると、独自のグルーヴ感とコーラスワークが印象的な「GO!!!」でライブを再開。その後は最新アルバムから「永遠のブルー」「深呼吸」「honestly」などタイプの異なる楽曲を次々と繰り出し、羊文学というバンドの振り幅の広さを感じさせるステージを展開した。
中盤のMCでは、塩塚と河西ゆりか(B)が「12 hugs (like butterflies)」の制作の日々を振り返る。その中で塩塚は「羊文学が今までやってきたことを全部手放すくらいの構想を2人が受け入れてくれて。結局その通りにはならなかったけど、その構想を生かしたまま私たちらしさをプラスすることができました。私たちが何をやっても、私たちらしくなるから大丈夫。だからこれからも2人をブンブン振り回していこうと思うの(笑)」と、アルバム制作を経て“羊文学らしさ”を発見したことを笑顔で語った。
羊文学はライブ終盤、塩塚が“隠れクリスマスの曲”だと語る「キャロル」や、クラブミュージックの要素などバンドの新機軸を感じさせる「more than words」、壮大な楽曲展開がドラマチックなムードを生む「光るとき」などの人気ナンバーを続けて会場の熱気をじわじわと高めると、そのエネルギーを一気に爆発させるかのようにクリスマスソング「1999」を披露。最後は「パーティーはすぐそこ」でエモーショナルな演奏を届け、会場に深い余韻を残してステージをあとにした。
鳴り止まないアンコールに応えて再びステージに登場した羊文学は、「あいまいでいいよ」「ワンダー」を演奏。4月21日に神奈川・横浜アリーナで開催されるキャリア最大規模のワンマンライブ「羊文学 LIVE 2024 “III”」での再会をファンと誓い、大盛況の中で「まほうがつかえる2023」東京公演の幕を降ろした。
セットリスト
羊文学「まほうがつかえる2023」東京公演 2023年12月14日 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
01. Hug.m4a
02. Addiction
03. FOOL
04. 変身
05. GO!!!
06. 永遠のブルー
07. 深呼吸
08. honestly
09. マヨイガ
10. マフラー
11. 人魚
12. キャロル
13. more than words
14. 光るとき
15. つづく
16. 1999
17. パーティーはすぐそこ
<アンコール>
18. あいまいでいいよ
19. ワンダー
公演情報
羊文学 LIVE 2024 “III”
2024年4月21日(日)神奈川県 横浜アリーナ
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Takeshi Urayama @urayama
【ライブレポート】今年も大盛況!羊文学がクリスマスライブ「まほうがつかえる」東京公演で鳴らした珠玉の19曲https://t.co/q2AqbIto8B