STUTSが武道館を経てバンドの新たな魅力見せた東名阪ツアー、自身のルーツやジャズ曲のカバーも披露

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STUTSが11月7日から15日にかけて東名阪ツアー「“90 Degrees” TOUR 2023」を開催した。

フリースタイルセッションの様子。(Photo by Daiki Miura)

フリースタイルセッションの様子。(Photo by Daiki Miura)

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武道館とは異なる表現に挑戦

STUTS「“90 Degrees” TOUR 2023」東京・Zepp DiverCity(TOKYO)公演の様子。(Photo by Daiki Miura)

STUTS「“90 Degrees” TOUR 2023」東京・Zepp DiverCity(TOKYO)公演の様子。(Photo by Daiki Miura)[拡大]

6月に自身初となる東京・日本武道館での単独公演を成功させたSTUTS。武道館公演にも出演した岩見継吾(B)、仰木亮彦(G / 在日ファンク)、TAIHEI(Key / Suchmos、賽)、高橋佑成(Key)、吉良創太(Dr)、武嶋聡(Sax, Flute)を迎えたバンド編成でツアーを開催し、11月7日に愛知・DIAMOND HALL、8日に大阪・なんばHatch、15日に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)でライブを行った。この記事では事前にアナウンスされていたJJJ、KID FRESINO、BIMに加えて、多数のサプライズゲストが出演し、ABEMAで生中継も行われた東京・Zepp DiverCity(TOKYO)公演の模様をレポートする。

STUTS「“90 Degrees” TOUR 2023」東京・Zepp DiverCity(TOKYO)公演の様子。(Photo by Daiki Miura)

STUTS「“90 Degrees” TOUR 2023」東京・Zepp DiverCity(TOKYO)公演の様子。(Photo by Daiki Miura)[拡大]

チケットはソールドアウトとなり、観客で埋め尽くされた約2000人キャパのZepp DiverCity。開演時刻の19:00を迎え、波の音とともにステージの幕が左右にゆっくり開くと、薄暗いステージにスタンバイしたバンドメンバーが現れ、歓声を受けながらSTUTSも姿を見せる。ライブの幕開けを告げる穏やかで心地いいセッションを経て、その静けさを打ち破るようにストリングスのループが響けば「One」がスタート。STUTSはMPCを叩きながら歌い、マイクを握るとステージの前方に歩み出てフロアを波打たせた。

STUTS(Photo by renzo)

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STUTSは最初の挨拶でこの「90 Degrees」がバンドセットをテーマにしたライブであることを説明し、バンドメンバーを1人ひとり紹介。今回は武道館で表現しきれなかったことを見せたいと語ると「Back & Forth」「Pursuit」のインスト2曲でバンドとのグルーヴィなセッションをじっくりと聴かせ、「Summer Situation」では今回出演しないSIKK-Oのヴァースをラップしてみせた。

中3の頃に聞いていた思い出の曲

Kaneee(Photo by Daiki Miura)

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このライブで1人目のゲストとして登場したのは、事前に発表されていなかった新鋭ラッパーのKaneee。オーディション番組「ラップスタア誕生」で脱落するも、STUTSにフックアップされて武道館のステージにも立った彼は、STUTSプロデュースのデビュー曲「Canvas」でメロディアスなフロウを聴かせた。インスト曲「Conflicted」に続けて披露された「Mirrors」では歓声を浴びながら鎮座DOPENESSが登場し、「Sticky Step」でCampanellaも合流。巧みなスキルで知られるサプライズゲスト2人がフリーキーなラップで火花を散らす中、仰木のギターも唸りを上げた。

左から鎮座DOPENESS、STUTS、Campanella。(Photo by Daiki Miura)

左から鎮座DOPENESS、STUTS、Campanella。(Photo by Daiki Miura)[拡大]

ここでSTUTSは自身がヒップホップにハマった中学3年生の頃に試聴機で聴いた思い出のナンバーだというA Tribe Called Questのカバーを披露。岩見が演奏するウッドベースにSTUTSがMPCでドラムを重ね、鎮座DOPENESSとCampanellaが即興のラップを繰り広げる中、武嶋もアドリブでサックスを吹き鳴らした。

ジャズのスタンダードナンバーをカバー

KID FRESINO(Photo by Daiki Miura)

KID FRESINO(Photo by Daiki Miura)[拡大]

自身の楽曲「Indigo」のフロウをバンドセットで届けたCampanellaに代わって、ステージに現れたのはKID FRESINO。「Above the Clouds」「アンバー」の2曲を飛び跳ねるようなリズミカルなフロウで乗りこなし、オーディエンスを魅了した。

STUTS(Photo by renzo)

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次々に客演を迎えるブロックがここで終わると、STUTSが演奏したのは「Vapor」。この曲はSTUTSが初めて自身でボーカルを務めた楽曲で、2020年開催の「90 Degrees」初回では、インストを流す形でライブ初披露された。今回STUTSはバンドメンバーとの生演奏にチャレンジ。難易度の高いパフォーマンスに緊張した様子を見せつつも、観客の温かい声援を受けながら、MPCを懸命に叩いて歌い、最後までしっかりとやり遂げた。

またバンドメンバーのバックグラウンドにジャズがあることに触れたSTUTSは、ジャズのエモーショナルでダンサブルなグルーヴをこのバンドにも取り入れていきたいと語ると、ジャズのスタンダードナンバーであるジョン・コルトレーン「Giant Steps」をカバー。手数の多いドラムを得意とする吉良をはじめ、各メンバーが迫力のある演奏を繰り広げる中、STUTSもエネルギッシュにMPCを叩き、観客を惹き付けた。

怒涛の客演ラッシュ

北里彰久(Photo by Daiki Miura)

北里彰久(Photo by Daiki Miura)[拡大]

BIM(Photo by renzo)

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ジャズの名曲カバーに続けて「Orbit」「Never Been」「Wisteria」のインスト3曲がシームレスに演奏され、ライブも後半に差しかかると、メロウな「PRISM」で現れたJJJを皮切りに、再び客演陣が代わる代わる登場。フィナーレに向けた盛り上がりを生み出していく。「Voyage」では畳みかけるようにラップするJJJと、気だるげにラップするBIMが掛け合いを繰り広げ、「Storm」で飛び出してきたKMCは、その勢いのまま激しくスピット。シンガーソングライターの北里彰久は、サックスとフルートで武嶋も参加した資生堂「マキアージュ」のCMソング「パノラマ」をフル尺で初披露し、Alfred Beach Sandal名義でSTUTSと制作した初期曲「Sail Away」もバンドセットで伸びやかに歌い上げる。「マジックアワー」でステージに戻ってきたBIMは、自身の楽曲「ひとつのいのち」とAwichの楽曲「Twinkle Stars」でSTUTSとコラボ。ユーモアあふれるトークでも観客を楽しませた。

「Expressions」の様子。(Photo by Daiki Miura)

「Expressions」の様子。(Photo by Daiki Miura)[拡大]

STUTSとJJJ。(Photo by renzo)

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客演ラッシュは続き、「Expressions」の軽快なイントロが鳴り出すと、Campanella、北里、鎮座DOPENESSの3人がステージへ。疾走感あふれるマイクリレーでフロアを熱狂に導く。ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」の主題歌「Presence」は、意外にもこれがライブ初披露となるKID FRESINOを迎えたバージョン「Presence I」をベースとしつつ、彼がアウトロでラップする「Presence Remix」のヴァースも加えた形で届けられた。さらに人気曲「夜を使いはたして」や、JJJとサプライズゲストのOMSBを迎えた「心」でフロアを沸かせ続けたSTUTSは、JJJをフィーチャーした代表曲「Changes」を最後の曲として披露。晴れやかなムードで会場を満たし、ステージをあとにした。

恒例のフリースタイルセッション

STUTS(Photo by Daiki Miura)

STUTS(Photo by Daiki Miura)[拡大]

その後、観客の拍手に呼び戻されると、「アンコールがあるのに『最後の曲です』と言って申し訳ないです」と人柄がにじみ出た挨拶で笑いを起こすSTUTS。バンドメンバーを改めて呼び込んだ彼は、武嶋に「娘さんが今日誕生日ということでおめでとうございます」と言葉をかけ、ほかのメンバーも即興の演奏で祝福する。そんなハッピーなムードの中、STUTSはインストナンバー「Landscapes」に続けて、自身がMPCを叩きながら歌う「Seasons Pass」をパフォーマンス。観客もクラップで参加し、フロアには一体感が生まれていく。

フリースタイルセッションの様子。(Photo by Daiki Miura)

フリースタイルセッションの様子。(Photo by Daiki Miura)[拡大]

そしてライブのラストを飾ったのは、普段は序盤で披露されることの多い定番曲「Renaissance Beat」。この曲でバンドメンバーそれぞれの鮮やかなソロプレイがフィーチャーされたかと思えば、鎮座DOPENESSが颯爽と現れ、STUTSのワンマンライブではお馴染みとなったフリースタイルセッションが始まる。Campanella、OMSB、JJJ、BIMと出演ラッパーが順にマイクを握り、出演予定のなかったSANTAWORLDVIEWまでも飛び入り参加。Kaneeeに続いて、JJJにMPCを委ねたSTUTSも気迫みなぎるラップでフロアを沸かせた。

こうして東名阪ツアーを終えたSTUTSは、2024年3月4日に東京・Billboard Live TOKYO、3月5日に大阪・Billboard Live OSAKAでもバンドセットでライブを開催。ツアーに参加したメンバーに加えて、佐瀬悠輔(Tp)をバンドメンバーとして迎える。

なおツアー東京公演の模様はABEMAで有料配信されているので、会場に足を運べなかったファンはABEMAをチェックしよう。

セットリスト

STUTS「"90 Degrees" TOUR 2023」2023年11月15日 Zepp DiverCity(TOKYO)

01. 90 Degrees -Intro-
02. One
03. Back & Forth
04. Pursuit
05. Summer Situation
06. Canvas feat. Kaneee
07. Conflicted
08. Mirrors feat. 鎮座DOPENESS
09. Sticky Step feat. Campanella, 鎮座DOPENESS
10. 新曲 feat. Campanella
11. Above The Clouds feat. KID FRESINO
12. アンバー feat. KIDFRESINO
13. Vapor
14. Giant Step
15. Orbit - STUTS Band Session
16. Never Been
17. Wisteria
18. PRISM feat. JJJ
19. Voyage feat. JJJ, BIM
20. Storm feat. KMC
21. パノラマ feat. 北里彰久
22. Sail Away feat. 北里彰久
23. マジックアワー feat. BIM
24. ひとつのいのち feat. BIM
25. Twinkle Stars feat. BIM
26. Presence feat. KID FRESINO
27. Expressions feat. Campanella, 北里彰久, 鎮座DOPENESS
28. 夜を使いはたして
29. 心 feat. JJJ, OMSB
30. Changes feat. JJJ
<アンコール>
31. Landscapes
32. Seasons Pass
33. Renaissance Beat

※記事初出時よりセットリストの追加しました。

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STUTS @STUTS_atik

先日の"90 Degrees" Tour東京公演のライブレポートがナタリーさんにて公開されています。
ぜひご覧下さい。
https://t.co/PE6aypm3rG https://t.co/bPWp25FD1u

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