結成以来グループを牽引してきた2人
2012年にハロプロ研修生として活動を開始して以来、約11年間ハロー!プロジェクトのメンバーとして活動してきた山岸と岸本。2人はハロプロ研修生内ユニットとして、2015年4月に結成されたつばきファクトリーのオリジナルメンバーであり、山岸が結成以来グループのリーダーを務めてきた一方、岸本はハロー!プロジェクトでも屈指の歌唱力でグループを牽引してきた。そんな2人のつばきファクトリーとしての最後の姿を見届けるべく、武道館には約8000人の観客が集い、ライブの模様はCSテレ朝チャンネルおよび全国の映画館に加えて台湾と香港でも生中継された。なお本公演は10月から行われてきた秋ツアー「可惜夜」の最終公演であり、「可惜夜」とは明けてしまうのが惜しい夜を意味する言葉だ。
オープニングアクトのOCHA NORMAのライブ後、「りこちゃん! ゆめの!」というコールが巻き起こり、観客が手にしたペンライトにより、2人のメンバーカラーであるライトグリーンとイエローに染まる武道館。そこに現れた岸本は豫風瑠乃とともに伸びやかで芯の通った歌声を響かせ、山岸は秋山眞緒とキレのあるダンスパフォーマンスを披露。そしてメンバー全員で息の合ったダンスをキメると、11人は最新シングル曲「妄想だけならフリーダム」で勢いよくライブを開始する。岸本は適応障害により6月から10月頭にかけて活動を休止しており、最新シングルにも参加できなかったが、秋ツアーではしっかりと自身のパートを歌い上げ、楽曲をより迫力あるものにした。
2人のアイドル人生を詰め込んだ卒業スッぺシャルメドレー
「妄想だけならフリーダム」に続けて「最上級Story」「三回目のデート神話」の2曲を気迫みなぎる様子で歌ったあと、岸本は「もう卒業とか卒業じゃないとか関係なく、いつも通り私は必死に挑戦したいと思います!」、山岸は「今日11人でそろってステージに立ててることが本当に幸せに思います! がんばります!」と意気込み、研修生時代の映像も流れる中、それぞれのアイドル人生の思い出を詰め込んだ“卒業スッぺシャルメドレー”を披露していく。
まずは全員で思い出深いハロプロ研修生曲「おへその国からこんにちは」を歌ったあと、山岸が研修生時代にコンサートに帯同した
過去映像が流れる中、山岸、岸本、新沼、谷本のオリジナルメンバー4人でインディーズシングル曲「青春まんまんなか!」をパフォーマンスしたあと、今度は岸本が研修生の頃から憧れてきた
メドレーコーナーを締めくくったのは、山岸と岸本が歌うBerryz工房×℃-uteの「超HAPPY SONG」。会場中央のサブステージに立った2人はキュートな掛け合いを繰り広げると元気にハイタッチし、曲タイトル通りの“超HAPPY”なムードを武道館に生み出した。その後2021年に加入した河西、八木、福田、豫風の4人を除く7人で届けたメジャーデビューシングル曲「Just Try!」、11人全員で歌った「間違いじゃない 泣いたりしない」を経て、山岸と岸本はメドレーの感想をコメント。岸本は「私たちはつばき“ファクトリー”なのでBerryz工房はもちろんですけど、いろんな先輩の刺激も受けつつ、つばきファクトリーというオリジナルをこれからも大事にしていきたいと思います」と語った。
切なくも力強いグループの人気曲を次々と披露
岸本の言葉通り、つばきファクトリーは切ない乙女心を力強く歌うグループの個性があふれた「弱さじゃないよ、恋は」「低温火傷」「抱きしめられてみたい」といった人気曲を次々と届け、ファンはステージに向けて声を振り絞る。11人が「可能性のコンチェルト」をパワフルに歌い終えると、山岸と岸本をほかのメンバーが送り出す楽しげなパーティの様子を収めたVTRが上映され、VTR後の「足りないもの埋めてゆく旅」では、グループに残る9人のメンバーが1人ずつ山岸と岸本に感謝の思いを伝えていった。
中には涙するメンバーもおり、武道館は感傷的なムードに包まれるが、「アドレナリン・ダメ」を皮切りとして、11人は涙を振り払うようにアッパーチューンを連発していく。エネルギッシュにタオルを振り回す「断捨ISM」で会場をヒートアップさせた彼女たちは、その勢いのまま、児玉雨子が作詞、星部ショウが作曲を手がけた新曲「アタシリズム」を初披露。ほかに代わりのいない自分自身を信じ認めようというポジティブな歌詞を堂々と歌い上げる。熱狂的なムードの中、11人は「マサユメ」でさらにテンションを引き上げると、グループ屈指の人気曲「今夜だけ浮かれたかった」を畳みかけ、ライブ本編のラストナンバーとして、メジャーデビューシングル曲「初恋サンライズ」を歌唱。悔いを残さないように力を振り絞るメンバーの熱演で会場の盛り上がりは最高潮を迎えた。
2人がソロで歌ったのは
開演前同様「りこちゃん! ゆめの!」のコールが響きわたり、ライトグリーンとイエローの光で満たされる武道館。そこに黒いパンツスタイルで現れた岸本は、ハロー!プロジェクトでの11年間を支えてくれた人々への感謝の思いを語りつつ、「つばきファクトリーと、理子ちゃんと、私岸本ゆめのの物語はこれからも続いていくもので、私はこの先もたくさん歌を歌って生きていきたいです。その中でまたあなたに会えることを願っています」と呼びかける。出会ったすべての人への愛と感謝の気持ちを込め、岸本が歌い始めたのは、Berryz工房のバラードナンバー「BE」。この曲で彼女は類い稀な歌唱力を存分に発揮し、観客の心を大きく揺さぶった。
そこから一転して、ハイテンションなモベキマスの楽曲「かっちょ良い歌」が流れ出すと、白とパステルカラーを基調とするドレスに身を包んだ山岸が登場。拳を振り上げ、アグレッシブなパフォーマンスを見せた彼女は、「ハロー!プロジェクトのコンサートでバックダンサーをやりたい」という理由で研修生となり、つばきファクトリーではプレッシャーに襲われながらリーダーを務めてきた過去を振り返りつつ、支えてくれたメンバーやファンへの感謝を伝える。つばきファクトリーのメンバーのことが大好きだという彼女は、メンバー1人ひとりに言葉を送り、「つばきファクトリーでの活動は一生の宝物です」と語った。
残るメンバーが2人に伝えたメッセージ
2人のソロコーナー後、再びステージにそろい、「愛は今、愛を求めてる」をポップに歌った11人は、ここでそれぞれ思いを語っていく。最年少の豫風は「2人は私たちの中で一生輝き続け……」と涙で言葉を詰まらせながらも「本当にありがとうございました!」と伝え、福田は「お二人がつばきファクトリーに注いでくださった愛と思いをがんばって受け継いでいけるように一生懸命“がんばらんば”しますのでぜひずっと見守っていてください。そしてこれからも2人のファンとして……推します!」と宣言。八木は「山岸さんと岸本さんといつも目が合ったり、一緒に歌っているときに元気がもらえることがすっごく多いんですよ。だからこれからもきっと、お二人が卒業しても、その曲を歌ったときとかに『あっ、ここでいつも目が合っていたな』『一緒に歌っていたな』とかきっと元気をもらえることがたくさんあるんだなって思いました。そのときはよろしくお願いします! 元気くださーい!」と語り、「そしてその元気をいつかはメンバーの皆さんに与えられるように、観客の皆さんに与えられるようにがんばりたいと思います!」と意気込んだ。
河西は2人に「改めまして卒業おめでとうございます。お二人、本当におきれいです」と言葉をかけると、ファンに向かって「皆さん、山岸さんと岸本さんに“大好き”を送りましょう」と呼びかけ、「大好き!」と叫ばせる。秋山は「2人が卒業していく寂しさだったり、何かが変わっていく不安というのはいっぱいありますが、つばきはどんな形になっていっても 愛にあふれるグループになっていくんだろうなと改めて感じました」と希望を語り、「りことゆめが引っ張っていってくれた大好きなグループを私もみんなと一緒に守っていけるようにがんばっていきたいと思います。本日は幸せな時間を一緒に作ってくれてありがとうございました」と思いを語った。
小野田が「今日卒業するゆめちゃんとりこちゃんはもちろんなんですけど、つばきファクトリーってすごく温かくて優しくて愛のあるメンバーだなって思うんですね。だから私もそんなメンバーになれるようにこれからもがんばるので、これからも応援よろしくお願いします」と呼びかけたあと、小野は勢い余ってマイクを歯にぶつけつつ、「りことゆめとみんなとこの日本武道館に立てたこと、本当にうれしいなって思いますし、皆さんに出会えたことも本当に幸せだなって感じた公演でした。ありがとうございます!」とコメント。「本当に2人はいろんな面からずっとつばきファクトリーを引っ張って来てくれた2人だなって思うから、これからもその2人が引っ張って、守って来てくれたつばきを私たちも守り抜いて行きたいなって思いますし、またこのステージに立てるようにがんばりたいなって思うんですけど、皆さんそのときは会いに来てくれますかー!?」とファンに問いかけ、大きな歓声を集めた。
岸本は「今日は何がなんでもむくみたくないと思って、昨日の夜、バナナ買ったんですよ。カリウムがいいんですって。冷蔵庫に入れてたんだけど、朝急ぎすぎて、大荷物で、バナナ持ってくの忘れてコンビニで買ったんですよ」というエピソードを明かしつつ、「みたいにね、私抜けてるところあるし、人生においての選択とかも間違えるときとかもあったりするんですけど、つばきファクトリーになったことは本当に間違いじゃなかったって、ハロー!プロジェクトに入れて、本当に私が選んだこの道は間違いじゃなかったなって、そんなふうにって思える今日のライブでした」と活動を振り返る。そしてファンに向き合った彼女は「本当に1人ひとりに挨拶して回りたいくらい、みんな笑顔が今日も素敵だったし、大きな声だったし、本当にうれしくて、やっぱりつばきファクトリーのことが大好きだし、つばきファクトリーの周りにいる人みんなのこと大好きだなって、最後の日にもまた再認識できたってのもすごくうれしかったので、私もこれからのつばきを応援していきたいし、また皆さんに会える日に楽しみにしています」と語った。
「皆さん楽しかったですかー!? ゆめ楽しかったー? りこ楽しかったー?」と問いかけた谷本は「最後に2人に『りこちゃん、きしもん卒業おめでとう』って皆さんで伝えましょう」と呼びかけ、「この幸せな空間を一緒に皆さんと過ごすことができてとても楽しかったです」とコメント。新リーダーとなる新沼は「秋ツアーとはガラッと変わったセットリストでお届けしたわけですが、私自身すごく新鮮な気持ちでパフォーマンスに挑むことができました」とライブの感想を述べつつ、卒業する2人に向けて「改めて、りこちゃん、ゆめちゃん卒業おめでとうございます。2人とはハロプロ研修生時代を入れて10年くらい一緒にいるわけですけど、ほぼ毎日、家族よりもたくさんの時間を共有してきたから、やっぱりさみしいなって気持ちはあるんですけど、でも2人の夢は応援したいので、私たちのことも応援してください。これからもずっと私たちのことを一番そばで見守っていってほしいなと思うので、これからもよろしくお願いします」と言葉をかけた。
最後に山岸は「2人同時の卒業ってあんまりなくて、どうなるのかなって私自身も思ってたんですけど、2人だからこそできるセットリストとか今回限りのことをたくさん卒業ライブで挑戦することができて、すごく楽しかったなって思いますし、さっき手紙でも言いましたけど、本当に私はつばきのメンバーとつばきの楽曲大好きなので、これからもずっと、卒業しても見守ってますので安心してください」と呼びかけ、「こんなにたくさんの方に見守ってもらいながら卒業することができて本当に幸せだなと思いました。今日のことは、というか今までのつばきファクトリーでの活動のことは一生の宝物だし、一生忘れません。みんなのことが大好きです」と思いを言葉にした。
名残惜しさを見せつつ、11人は正真正銘のラストナンバーとして、さわやかな最新シングル曲「勇気 It's my Life!」を歌唱。晴れやかなムードが生まれる中、山岸と岸本の門出を祝うように銀テープが勢いよく放たれた。ライブを終えた2人は温かい拍手に包まれながら、ほかのメンバーとともにステージを去るが、鳴り止まない歓声に応じて、もう一度だけ姿を見せ、ファンに感謝を伝えた。今後、山岸は舞台女優の道を進み、岸本はソロで活動していく予定だ。
なおソロコーナーで山岸が歌った「かっちょ良い歌」と岸本が歌った「BE」は、本日11月7日より各種音楽配信サイトで配信されている。
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