“夢中夢”の世界へ
「Cornelius 夢中夢 Tour 2023」は、Corneliusが今年6月に6年ぶりのオリジナルアルバム「夢中夢 -Dream In Dream-」をリリースしたことを記念したツアー。Corneliusが活動再開後に初めて主催するツアーということもあり、彼の復帰を心待ちにしていた多くのファンが会場に詰めかけた。
定刻を少し過ぎた頃、客電が少しずつ落ち始めると、ステージを覆う紗幕に投影された鳥たちが次々と煙へと変化。まるで“夢中夢”の世界に引き込まれるような映像演出の中、紗幕に
煙の中、忽然と消える
クールかつ緻密な音の世界に観客が息を飲む中、Corneliusはその緊張を断ち切るように、小山田と堀江によるツインギターがハードなサウンドを生む「Count Five or Six」を演奏。続く「Smoke」でその混沌ぶりは深度を増していき、オールシッティングの公演ながらも観客は体を大きく揺らして演奏を楽しんだ。また、この日のライブは過去曲を交えたセットリストながらも、前述したオープニング映像など「夢中夢 -Dream In Dream-」の世界観を盛り込んだステージが繰り広げられた。中でもアンビエントナンバー「霧中夢」では、Corneliusが紡ぐ幻想的なサウンド、いたるところに照射されたレーザービーム、2階席までも包むスモークといった異なる要素の重なりがドリーミーな空気感を生み、小山田がアルバムの中で描いた“多重世界 / 夢の中の夢”という実際には触れることのできないイメージの断片を視覚的、肉体的に感じ取ることができた。
ライブ終盤、Corneliusは敬愛するYellow Magic Orchestraの楽曲「Cue」のカバーや、自身が作詞作曲を手がけたMETAFIVEの楽曲「環境と心理」のセルフカバー、坂本慎太郎が作詞した「あなたがいるなら」を続けて観客を魅了する。本編ラストに披露されたのは、アルバムのエンディングを飾るミディアムナンバー「無常の世界」。観客が小山田と大野の穏やかなボーカルのかけ合いに耳を傾けていると、ステージ全体を大量のスモークが包み始める。そして演奏が終わり立ち込めるスモークが晴れる頃には、この日のライブが夢だったかのようにステージからはメンバー4人の姿が忽然と消えていた。
「いつかどこかで」
強烈なアンコールを受けて再びステージに登場したCorneliusは、メンバー紹介を経て「Breezin'」を演奏。小山田がかき鳴らすアコースティックギターの温かな音色に、浮遊感のあるエレクトロサウンドを重ねてスペーシーな空間を作り上げた。そして最後に演奏された「続きを」では、ここまでほぼMCなしのストイックなステージを展開してきた小山田が「今日はどうもありがとうございました。またこうやって演奏することができてうれしいです。それではいつかどこかで」と客席に向けてひと言。彼は自身の復帰を辛抱強く待ち続けていたファンへ思いを届けるように「続きを(あなたと) / 続きを(もっと見たい) / 続きを(最後まで) / 続きを(見届けたい)」と歌い上げ、充実した表情でステージをあとにした。
セットリスト
「Cornelius 夢中夢 Tour 2023」2023年10月31日 Zepp Haneda(TOKYO)
01. Opening
02. 火花 - Sparks
03. 変わる消える - Change and Vanish
04. TOO PURE
05. Point of View Point
06. Audio Architecture
07. Helix / Spiral
08. Another View Point
09. Count Five or Six
10. Smoke
11. Wataridori
12. 夢の中で
13. 蜃気楼 - Mirage
14. 霧中夢 - Dream in the Mist
15. いつか / どこか
16. Cue
17. 環境と心理 - Environmental
18. あなたがいるなら
19. 無常の世界 - All Things Must Pass
<アンコール>
20. Breezin'
21. 未来の人へ
22. 続きを
Cornelius @corneliusjapan
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