「マジカル・バスルーム」はあいみょん史上最大公演数となったツアー。4月の神奈川・よこすか芸術劇場公演を皮切りに、追加公演「Additional Show」と合わせて全40公演が行われた。
開演前の注意事項アナウンスに続いて流れ始めたのは、何やら聞き覚えのあるメロディ。お湯張り完了の通知音として有名な楽曲「人形の夢と目覚め」、そして「お風呂が沸きました」というアナウンスが鳴り響き、公演タイトルの“バスルーム”を観客に意識させる。しばらくして漏れ聞こえてきたのは、あいみょんとバンドメンバーの掛け声。ファンは舞台裏に向けて拍手を送り、開演前から会場は大いに温まった。
ライブは「貴方解剖純愛歌~死ね~」で華々しくスタート。あいみょんは6人のサポートミュージシャンとともに姿を現し、アコースティックギターを掻き鳴らして歌う。「ふたりの世界」でファンに手を振りながらステージを右へ左へと駆け回ったのち、この日がハロウィン当日だったことに触れて「ハッピーハロウィン! みんな渋谷とか行かんくて大丈夫やったん?(笑)」と問いかけた。彼女は溌剌とした様子で「ほんまに長いツアーやった! マジで終わらんと思ってた。3月からリハーサルやって、4月からツアーがスタートして。この1年はほんまにこのツアーでできてるんですよ。セミファイナルがやってきたということで、みんなが会場を出たときに、来てよかったなと思えるライブを今日も見せられたら」と語る。赤と紫のライトで不気味に彩られた「愛を伝えたいだとか」を経て、「3636」「空の青さを知る人よ」では場内が朗らかな空気で満たされた。
恒例の双眼鏡が登場するとあいみょんはレンズを覗き込み、客席を丁寧に見回していく。ツアーTシャツを着た兄弟、コアラの被り物をした女性2人組、ライブに来るのは10回目だという母とその娘、大声でアピールする父とその息子など、バリエーションに富んだファンがバックスクリーンに映し出される。親子客が多いことについてあいみょんは「あたし、親御さんキラーやねん」とうれしそうな表情を浮かべた。続いて披露された「皐月」ではギターを下ろし全身でパフォーマンス。観客は軽快な8ビートに大きな手拍子を重ねた。
「ハルノヒ」でカラッと乾いたアコギのストロークが響いたのち、あいみょんは「声出し解禁のツアーが始まって安心した。前回までのツアーではみんなに我慢してもらいながら、私はライブを続けさせてもらってた」とコロナ禍中のライブを回顧。「この3年間、世の中が危うくなってしまったときも、私はひたすら曲を作りました。この曲をシングルでリリースして、そのおかげで出会ってくれた方もたくさんいると思う。きっと自分の音楽人生の中で、特別であり続ける曲」という言葉に続いて「裸の心」が情感たっぷりに歌われる。「強くなっちゃったんだ、ブルー」のアンニュイな雰囲気は、激しいドラムソロで一変。そのまま「ペルソナの記憶」へとなだれ込んだ。
ここであいみょんは最近話題になっている「クレヨンしんちゃん」の声真似を披露。「オラ、野原しんのすけだゾ」という自己紹介に続き「オラはにんきもの」をアカペラで歌い上げる。クオリティの高さに大歓声が沸き上がる中、バンドメンバーたちから「歌がうまい(笑)」と指摘されたあいみょんは「歌うましんのすけやっちゃったね」と照れ笑いをした。
ラストスパートは「彼氏有無」からスタート。「マシマロ」「夢追いベンガル」が畳みかけられ、場内のボルテージは急上昇していく。「マリーゴールド」では無数の黄色いライトがあいみょんを照らし、彼女のTシャツをより一層黄色く染め上げた。NHK連続テレビ小説「らんまん」の主題歌「愛の花」を歌い終えたあいみょんは「人生一度きりやん? 朝ドラの主題歌ができるなんてさ」としみじみコメント。続いて「今回のツアー、みんなの声を聞けることが自分にとっての一番のご褒美やと思う。みんなも私も、3年間我慢してきました。甲子園でもみんなと一緒に歌いたかった。ようやくこういう日が戻ってきたので、一緒に歌ってくれたらうれしいです!」とファンに語りかけた。
「君はロックを聴かない」が始まり、大きな手拍子が巻き起こる。満を持してシンガロングパートに差しかかるとあいみょんはイヤモニを外し、この日一番の大合唱に耳を澄ました。4月から約半年間続いたツアーについて彼女は「お風呂嫌いやねん、私。あえて嫌いなものをタイトルに付けようと思って『マジカル・バスルーム』っていう名前にしました。でもちょっとお風呂好きになってるかも。最近は湯船の中に携帯を持ち込んで、みんなの写真を見てます。ハッシュタグ追いかけてます(笑)」とはにかむ。「このツアーはあと1本で終わるかもしれへんけど、七夕の願いごとに“毎年ライブツアーができますように”と書いたので!」と今後のライブ活動にも意欲的な姿を見せたのち、観客にラストナンバーのタイトルコールを依頼。「みんな私の新曲のタイトル言えますか? 大丈夫?(笑)」という言葉に続き「ノット・オーケー」という曲名がホールに響き渡る。和やかな空気の中で最新曲を届けたあいみょんは「“よいお年を”とか言っちゃいそうなんですが、まだまだ新曲も出ますので、今年も最後まで、みんなと楽しいことができたらと思っております! また会いましょう!」と告げた。
あいみょん「AIMYON TOUR 2023 -マジカル・バスルーム- Additional Show」2023年10月31日 東京ガーデンシアター セットリスト
01. 貴方解剖純愛歌~死ね~
02. ふたりの世界
03. 初恋が泣いている
04. 愛を伝えたいだとか
05. ら、のはなし
06. 3636
07. 空の青さを知る人よ
08. 皐月
09. ミニスカートとハイライト
10. ハルノヒ
11. 二人だけの国
12. 裸の心
13. 風のささやき
14. ポプリの葉
15. 強くなっちゃったんだ、ブルー
16. ペルソナの記憶
17. 彼氏有無
18. マシマロ
19. 夢追いベンガル
20. マリーゴールド
21. 愛の花
22. 君はロックを聴かない
23. GOOD NIGHT BABY
24. 姿
25. ノット・オーケー
※記事初出時、見出しの一部に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
まくみょん🦭 @makubexgod
あいみょん、史上最大公演数ツアーでファンとシンガロング「みんなの声を聞けることが一番のご褒美」(ライブレポート / 写真10枚) - 音楽ナタリー https://t.co/S9QnFT7DAP