anoツアー追加公演で満員のファンと見た景色「悔しい思いもするけど、僕は僕のまま変わらずいたい」

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anoが9月29日に大阪・GORILLA HALL OSAKA、10月1日に神奈川・KT Zepp Yokohamaでワンマンライブ「お手お座りでハイ♡報酬」を開催した。これらのライブは、6月から7月にかけて行われたanoとしての初の全国ツアー「トキメキ偏愛♡復讐ツアー」が各地で盛況だったことを受けて追加公演として企画されたもの。ツアーで同エリアの会場だった東京・LIQUIDROOM、大阪・Shangri-Laと比べると、追加公演の会場はいずれもキャパは倍以上になったが、ともにチケットは完売し、会場にはたくさんのファンが詰めかけた。この記事ではKT Zepp Yokohama公演の様子をレポートする。

ano(撮影:鳥居洋介)

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ツアーのセトリにはなかった新曲も

ano(撮影:鳥居洋介)

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SEが鳴りサポートメンバーが爆音を響かせる中で登場したanoは、1曲目「デリート」からテンションはマックス。歌い終えると「anoです! よろしゅう! ブチ上がっていくぞ!」と、がなるように大声で叫びながらジャンプした。「トキメキ偏愛♡復讐ツアー」のセットリストと同様に前半はロックテイストの楽曲で固められ、広いステージを自由に動き回りながら「ンーィテンブセ」「アパシー」を歌った。「Peek a boo」では儚げな声とドスの効いたグロウルの対比でフロアを圧倒。レーザー光線やスクリーンに映る映像など、追加公演で格段にパワーアップした演出が曲の世界観を一層際立たせていた。

ano(撮影:鳥居洋介)

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数曲ごとに合間にトークが挟まれたが、彼女は「MCは本当に苦手なんですよ」「しゃべりは下手なんでこっち見ないで」と苦笑。しかしそんな本人の自覚とは関係なく、歯に衣着せぬ物言いでフロアに笑いが起きる。こうしたMCでは、アグレッシブなライブパフォーマンスで魅せる「ano」とは違った、お茶の間の人気者となった「あのちゃん」としての一面も感じさせられたが、彼女は「『テレビで見たあのちゃんだ!』という眼差しも感じるんですけど、今日はそういう傍観者じゃなくて、一緒に参加して楽しんでいきたいので何卒よろしく」と観客に呼びかけた。

「普変」を歌うano。(撮影:鳥居洋介)

「普変」を歌うano。(撮影:鳥居洋介)[拡大]

彼女はその後、「トキメキ偏愛♡復讐ツアー」でもセットリストに入っていない新曲「swim in 睡眠 Tokyo」を初披露。この曲や続く「AIDA」では、浮遊感のあるギターとヘビーなドラムが鳴り響く中で、anoは全身を使って曲に込めた思いを表現していた。の子(神聖かまってちゃん)が楽曲提供した「涙くん、今日もおはようっ」では、“神聖かまってちゃん節”が随所に感じられるポップチューンを、anoはうれしそうに笑いながら歌唱。サビでは彼女と一緒に会場中のオーディエンスが一斉に腕を振った。続いて「普変」が始まると、スクリーンに流れる歌詞を背にしてanoはステージから降り、最前エリアの観客の上に立ったまま熱唱。歌詞に込められた苛立ちを吐き捨てるように、エモーショナルなパフォーマンスが繰り広げられた。

巨大なブルーチーズに乗って観客の上を漂いながら

ブルーチーズを模したビーチフロートに乗って観客の上を進むano。(撮影:鳥居洋介)

ブルーチーズを模したビーチフロートに乗って観客の上を進むano。(撮影:鳥居洋介)[拡大]

anoやサポートメンバーが一旦ステージを去り、代わりにスクリーンに登場したのはパンツを被って嘔吐する、ニャンオェちゃんという声の低い猫。anoがデザインしたこのキャラクターが、観客とのコール&レスポンスで場をつないだ。そして、巨大なマクドナルドの袋を突き破って再登場したanoが、女性ダンサー4人を引き連れて「スマイルあげない」を歌唱。ロックチューン中心の前半から雰囲気を変えて、ここからダンサブルなポップチューン中心の後半戦に突入する。「スマイルあげない」のアウトロでブルーチーズを模した三角形の大きなビーチフロートが持ち込まれ、anoはそれに乗ってフロアに突入。観客の頭上を漂うように移動しながら「イート・スリープ・エスケープ」を楽しげに歌った。

「お手お座りでハイ♡報酬」KT Zepp Yokohama公演の様子。(撮影:鳥居洋介)

「お手お座りでハイ♡報酬」KT Zepp Yokohama公演の様子。(撮影:鳥居洋介)[拡大]

Chinozoとの共作曲「コミュ賞センセーション」や、ツアーのセットリストには入っていなかった初披露のディスコチューン「Tell Me Why」など、さまざまなタイプの曲で自らの新たな魅力をアピールしていくano。彼女は「こんなにいろんなジャンルの曲があると思わなかったでしょ?」と観客に問いかけ、「ライブだとこういうリリースしていない曲も歌えるので、僕もすごく楽しいです」と満足そうにしていた。

ano(撮影:鳥居洋介)

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ライブが終盤に差し掛かると、ここからは畳み掛けるようにキラーチューンを連発する展開に。存在感のあるギターによりライブならではの勢いが加わった「絶対小悪魔コーデ」で、会場は興奮の坩堝と化した。そしてその盛り上がりのピークを更新するように、彼女は「ちゅ、多様性。」「F Wonderful World」でオーディエンスを熱狂に導いた。

僕が僕のままでいるのは悔しい思いもするけど、変わらずずっといたい

ano(撮影:鳥居洋介)

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そして息を切らしながらアコースティックギターを構えたanoは「やっぱりライブができるってことがうれしい」と、この1年間で激動した自らの状況を踏まえながらゆっくりと語り始めた。

ano(撮影:鳥居洋介)

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「環境もいろいろ変わったりして、不安にさせることとかもいっぱいあったと思うんですよ。発言がネットニュースになったり。誹謗中傷されるのはいつものことなんで全然いいんですけど、僕のせいで『こんな子のファンやってる人たちがかわいそう』みたいに書かれてるのを見て、『みんなはどう思ってんのかな?』と気になってたので、こうやって同じ時間を共有できてうれしい」

「別に『応援してください』なんて思ってないし、励ましの言葉が欲しいわけじゃなくて。ただ、しんどいときに僕の音楽を聴いてくれるだけでいい。ライブに会いに来てくれたら僕はステージに立っていつでも待ってますから、必要なときに必要としてくれたらいいです」

「正直『僕が僕のままでいる』っていうのは、すごく悔しい思いをするんですよ。やっぱりバカにされるし。めちゃくちゃナメられてるから。だから悔しいなーって思うんですけど、でも僕は僕のまま変わらずずっといたいし、これからもいるから。それでついてこれるならついてきてください。一緒にもっともっといろんな景色を見ましょう」

ano(撮影:鳥居洋介)

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話し終えたanoはギターを弾きながら、ツアーではアンコールで披露していた「SWEETSIDE SUICIDE」を歌唱。胸の思いをすべて吐き出すように熱く歌い上げた。そして今回代わりにアンコール曲となったのは、10月13日公開の主演映画「鯨の骨」の主題歌として自ら作詞作曲した新曲「鯨の骨」。海の底のような神秘的な雰囲気の中でこの曲を歌い終えた彼女は、観客に笑顔を振りまきながら「次に会うときまでは生きてください」と挨拶した。

anoが退場したのち、2024年2月に東名阪Zeppツアー「猫吐極楽つあー ~何&卒よろしゅう~」が行われることがスクリーンで告知された。1stアルバム「猫猫吐吐」を携えて行われるこのツアーは、大阪公演と愛知公演には対バンアーティストが出演予定で、東京公演はワンマンライブとして実施される。

セットリスト

ano 1st TOUR追加公演「お手お座りでハイ♡報酬」2023年10月1日 KT Zepp Yokohama

01. デリート
02. ンーィテンブセ
03. アパシー
04. Peek a boo
05. swim in 睡眠 Tokyo
06. AIDA
07. 涙くん、今日もおはようっ
08. 普変
09. スマイルあげない
10. イート・スリープ・エスケープ
11. コミュ賞センセーション
12. Tell Me Why
13. 絶対小悪魔コーデ
14. ちゅ、多様性。
15. F Wonderful World
16. SWEETSIDE SUICIDE
<アンコール>
17. 鯨の骨

ツアー情報

ano 1st Album Release TOUR「猫吐極楽つあー ~何&卒よろしゅう~」

2024年2月7日(水)大阪府 Zepp Osaka Bayside
2024年2月13日(火)愛知県 Zepp Nagoya
2024年2月22日(木)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)

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からすん @k696

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