「LOVE PHANTOM」で幕開け
「Pleasure」ツアーは歴代の楽曲の中から選りすぐりのセットリストが組まれるライブシリーズで、開催は2018年の「B'z LIVE-GYM Pleasure 2018 -HINOTORI-」以来約5年ぶり。サポートメンバーはYUKIHIDE “YT” TAKIYAMA(G)、青山英樹(Dr)、川村ケン(Key)、 清(B)が務めた。
空がオレンジ色に染まり、初秋の風が心地よく吹き込む中、オープニングムービーを経てライブがスタート。「Pleasure」ツアーらしく、1曲目はいきなりB'zの代表曲「LOVE PHANTOM」だ。稲葉浩志(Vo)はさっそく雄叫びを上げ、松本孝弘(G)も右手を突き上げ来場者を歓迎する。青山の刻むどっしりとしたビートに乗せて「FIREBALL」をパフォーマンスしたあと、稲葉は「B'zの……」とお決まりのフレーズでライブの開始を告げる。かと思いきや「B'zは……」と言い直し、さらに「B'zに?」「B'zが?」「B'zも?」「B'zと?」と連呼し、事態はあらぬ方向に。松本が「もうええよ!」と関西弁でツッコんだところで、稲葉は「B'zのLIVE-GYMにようこそ!」と、今度こそいつもの発音でフレーズを言い放った。
「RUN」では過去のB'zのライブ映像がバックスクリーンに映し出される中、2人は横に並んでパフォーマンス。35年経っても変わらぬ固い絆を見せる。さらに1989年発売の2ndアルバム「OFF THE LOCK」の収録曲で、ライブで演奏されるのはひさびさという超レア曲「夜にふられても」を披露してファンを喜ばせる。また「恋心 (KOI-GOKORO)」では観客全員が同じ振付を踊り、スタジアムは一体感に包まれた。
ひさしぶりに“ギターキッズ”へ回帰
「35年分の感謝と愛情を込めて演奏するので、皆さんゆっくり、たっぷり、自由に楽しんでください」という稲葉の挨拶を経て、川村の奏でるピアノから「イチブトゼンブ」がスタート。序盤は大胆にテンポを落としたソウルフルなアレンジだったが、ワンコーラスを終えたところで残りの楽器隊が加わり、一気にバンドサウンドへ。1曲でまったく異なる2つの表情を届けてオーディエンスを楽しませる。清のスラップベースが炸裂した「NATIVE DANCE」のあと、暗転を挟んで始まったのは「GUITAR KIDS RHAPSODY」。アコースティックギターを抱えた稲葉と、松本、YTが横に並び、“ギターキッズ”のように楽しそうにギターをかき鳴らす。この曲では稲葉が「ストラト離さなかった あの頃」の歌詞を「レスポール」に変えて歌い、松本の黒光りするレスポールがスクリーンに大きく映し出される演出でもファンを楽しませた。なお、この曲が披露されるのもひさしぶりだ。
マイクを通さず地声で「聞こえてますかー?」と稲葉が問いかけ、しばしコール&レスポンスが行われたのち、「Calling」へ。観客も「wow wow wow wow」を大合唱し、力強い歌声がスタジアムを包み込む。続く「太陽のKomachi Angel」で稲葉は陽気に歌い踊り、「LADY NAVIGATION」ではマラカスを片手にステージを動き回る。曲中にはバックスクリーンに映し出された2人の似顔絵が徐々に上昇。顔が見切れたところでイラストと同じ巨大オブジェがスクリーン上部に登場し、見る者の度肝を抜いた。
ようやく叶った稲葉の願い
再び暗転ののち、ステージ端にはバーカウンターが出現。2人は乾杯したあと、カウンターに置かれたファンクラブ会報の第1号やプロモーション用のカセットテープなど、貴重なアイテムを手に取り思い出話に花を咲かせる。このトークでは、松本がファンクラブ会員1番、稲葉が2番で、現在もそれが続いていることが明かされた。そのままハイチェアに腰掛けながら「BIG」がスタート。稲葉はブルースハープを吹きながら「勢いだけで35年」「大阪にも何回来たんだろう」など、歌詞にアレンジを加えて艶のある歌声を届けた。
メンバー紹介で松本は「1988年9月21日にデビューしてから世の中的にも個人的にも変化がありました。35年経った今でもB'zとしてこんなすごいステージに立っていられるとは夢にも思いませんでした。これもひとえに皆さんのおかげです。これからもできる限り作品を作ってツアーを回りたいと思いますので、よろしくお願いします」と挨拶。稲葉に「どうですか? ヤンマースタジアムの皆さんは?」と聞かれると、「ウルトラスイートやんけ」と言って顔をほころばせた。
一方の稲葉は「今から数年前、世の中がパンデミックのときに、完成したらぜひライブで皆さんとでかい声で歌いたいと思って作った曲です」と言って「YES YES YES」を紹介。これまでもライブでは披露しているものの、マスク着用や声出しNGだったことを受け、「やっとこの状態までたどり着きました。人と一緒に歌う。こんなシンプルな喜びを感じながらやりたいと思います」と続ける。その言葉を体現するように稲葉はステージを降り、トロッコに乗ってグラウンドを1周しながらファンとともに歌える幸せを噛み締めた。
「ultra soul」で大ジャンプ3連発
真っ暗なスタジアムにまっすぐレーザーが伸び、イントロのオリエンタルなストリングスが鳴った瞬間に手拍子が始まる。言わずと知れたB'z最大のヒット曲「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」だ。オーディエンスの大合唱を耳にした稲葉は「We love you 大阪ー!」と感情をはじけさせる。そして松本の印象的なリフから「ultra soul」に突入するとスタジアムの興奮も最高潮に。途中、シームレスに「BAD COMMUNICATION」に移行するもファンはもちろんついていき、稲葉は思わず「すげー」とこぼす。そして再び「ultra soul」に戻り、ラストにスタジアム全体で大ジャンプ3連発を決めた。
そのまま「IT'S SHOWTIME!!」になだれ込み、爆音のバンドサウンドが狂騒を生み出す。「君の中で踊りたい 2023」でも勢いはとどまることを知らず、ラストの「兵、走る」では花火が打ち上がり、盛大にフィナーレを彩った。
ダイヤモンドより世界遺産より美しい光景
アンコールでステージに戻った稲葉は、7月にリリースされた最新シングル「STARS」について話し始める。活動35年を振り返って最初に浮かんだ光景がステージから見るファンの顔だったそうで、「本当にキラキラしていて、星みたいだなと思った」と語る。「僕たちの曲に合わせて歌ったり踊ったり、その輝きがなかったら僕ら35年も活動できてなかったと思います。HEROって誰かに希望を与えられる人だと思うんですけど、皆さんこそがB'zにとって最大のHEROなんです。35年にわたってエネルギー、勇気、希望を与えてもらいました」と率直な思いを口にし、万雷の拍手を浴びる。「ステージにいる我々も輝いて見えるでしょ、わりかし」とおどけてみせた稲葉は「皆さんの輝きの照り返しですよ。マジで」と真剣な表情で語り、「STARS」を披露。曲中では普段のLIVE-GYMではあまり行われることのない、稲葉の呼びかけによる演出への参加を観客に促し、スタジアムにいる全員がスマホのライトをつけ、幻想的な光景を作り出す。スクリーンには笑顔で一緒に歌う“STARS”の顔が映し出され、稲葉は「大阪、もう最高や!」「ダイヤモンドよりも世界遺産よりも美しい光景を見せてもらいました。ありがとう!」と喜びを爆発させた。
最後は「Pleasure」ツアーを締めくくる定番曲「Pleasure ’91 ~人生の快楽~」の2023年版でフィニッシュ。万感胸に迫ったような表情の2人だったが、ラストは「おつかれー!」と笑顔で大団円を迎えた。
セットリスト
「B'z LIVE-GYM Pleasure 2023 -STARS-」2023年9月24日 ヤンマースタジアム長居(長居陸上競技場)
01. LOVE PHANTOM
02. FIREBALL
03. RUN
04. 夜にふられても
05. 恋心 (KOI-GOKORO)
06. イチブトゼンブ
07. NATIVE DANCE
08. GUITAR KIDS RHAPSODY
09. Calling
10. 太陽のKomachi Angel
11. LADY NAVIGATION
12. BIG
13. JAP THE RIPPER
14. YES YES YES
15. 愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない
16. ultra soul ~ BAD COMMUNICATION ~ ultra soul
17. IT'S SHOWTIME!!
18. 君の中で踊りたい 2023
19. 兵、走る
<アンコール>
20. STARS
21. Pleasure 2023 ~人生の快楽~
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ナタリー:B’z LIVE-GYM Pleasure 2023 -STARS- ライブレポート
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