クレフェスこと「908 FESTIVAL」は2012年より恒例となっているKREVA主催のイベント。コロナ禍により2020年は無観客配信ライブ、2021年は翌年2月に延期した上で、2マンライブ3DAYSとYouTube Liveという形となり、2022年は無歓声での開催となっていたが、今年はコロナ前同様に“有観客有歓声”での開催となった。通算12回目となる今回は、KREVAとKREBandの白根佳尚(Dr)、柿崎洋一郎(Key)、近藤潔人(G)、大神田智彦(B)、熊井吾郎(MPC+DJ)、
オープニング
オフィシャルグッズのTシャツを着たファンがアリーナに集い、クレフェスのロゴのオブジェがステージに置かれた日本武道館。開演時刻の18:30を迎えるとオープニングムービーが流れ、KREBandの演奏開始と同時に、主催者KREVAがポップアップでステージに現れる。何本ものレーザーが放たれる中、「武道館なら皆勤賞」という一節もある「クラフト」を1曲目に披露したKREVAが「ド頭から紹介していいですか!」と盟友の三浦を呼び込むと「Fall in Love Again」へ。この曲はコロナ禍を乗り越えて再会しようという思いが込められたラブソングだ。KREVAと三浦は、再会の喜びを噛み締めるようにパフォーマンスし、「みんなの愛を確かめてみよう!」とKREVAが呼びかければ、観客も「Fall in Love Again!」と力強く合唱。“有観客有歓声”ならではの盛り上がりでクレフェスは幕を開けた。
AKLO
カラーの異なるゲストが集結し、次々にライブを繰り広げるクレフェス。KREVAと三浦に呼び込まれた実力派ラッパーのAKLOは、不穏なビートの「Dirty Work」でライブを始め、会場をドープな雰囲気に一変させる。彼はKREVAから「元気? 14日暇?」とフランクに出演を誘われたことを明かしつつ、「カマす or Die」「COUNT ON ME」でKREVAも一目置くラップスキルを誇示。さらに「百千万」を観客にシンガロングさせたAKLOが「RGTO」になだれ込むと、フックを歌いながらKREVAが現れる。ステージに並び立ったKREVAとAKLOは、コラボ曲「Catch Me If You Can」を数年ぶりに披露。バンドの演奏に背中を押されながら、気迫みなぎるラップをぶつけ合った。
石川さゆり
AKLO退場後、KREVAが「なんか寂しくなってきちゃった。でも大丈夫。今年はみんなが歌っていい年だから」と語って歌い始めたのは「くればいいのに」。オリジナルバージョンではスピッツの草野マサムネが歌うサビを観客に合唱させる。さらに「今年はこの人を紹介できることをうれしく思います」というKREVAの呼び込みでステージに現れたのは石川。鮮やかな赤い着物姿の彼女は、こぶしを効かせた演歌スタイルで「くればいいのに」を歌い上げ、大きな拍手を集めた。続けてKREVAとのコラボ曲「愛されるために君は生まれた」を歌った石川は自身の代表曲「天城越え」も披露。日本人なら誰もが知る名曲の生パフォーマンスにより、会場は異様な興奮に包まれた。
KICK THE CAN CREW
石川の熱唱の余韻が残る中、黒い衣装でそろえた KICK THE CAN CREWは「千%」でライブの口火を切り、テンポのいいマイクリレーで一気にフロアの熱量を引き上げる。息の合ったMCを交えつつ、3人は「住所」「マルシェ」とアッパーチューンを連発。武道館にパーティムードが広がる中、勢いよく銀テープも放たれ、客席は大いに沸き上がった。最後に3人は観客に着席を促すと、NHK Eテレ「みんなのうた~ひろがれ!いろとりどり」とのタイアップ曲「カメとピューマとフラミンゴ」をライブ初披露。1人ひとりの個性を尊重するリリックとそれを優しく表現するアニメーション映像で観客の心を打った。
ライミング予備校
ここで突如チャイムの音が鳴ると、ステージには教室のセットが登場。始まったのはKREVAファンにはお馴染みのコーナー「ライミング予備校」だ。これはKREVAが小芝居を交えながらゲストに韻を教えるクレフェスの恒例企画。最後に行われたのは2018年のクレフェスであり、約5年ぶりの復活となった。
白衣を着て登場したKREVAは、牛乳瓶の底メガネをかけ、「全速力!」と言いながら遅刻してきた三浦や彼にちょっかいを出すAKLOとのコミカルなやり取りで笑いを起こしつつ、6月に発表した自身の楽曲「ラッセーラ」を解説。この曲はKREVAが出生地である青森のために制作した楽曲であり、彼は「青森を象徴する曲になってほしい」と語るが、「あの曲があるからなあ」と悔しげな様子を見せる。そこにポップアップで現れたのは“新入生”の石川。KREVA、三浦、AKLOの3人が見守る中、青森を舞台とする大ヒット曲「津軽海峡・冬景色」を歌い上げた。
「新入生はポップアップで登場してスモーク焚かないから」とツッコミを入れつつ、彼女を迎え入れたKREVAは講義を再開。「ラッセーラ」のフックに隠された韻をレクチャーしてから実演し、観客に韻を踏む気持ちよさを体感させた。また講義後にはAKLO、LITTE、MCU、KREVAのラッパー4人がサイファーを披露。それぞれの個性あふれるライミングで会場を盛り上げた。
三浦大知
イベントのトリ前に登場したのはクレフェス常連の三浦だ。ダンサーを従えて現れた彼は「Backwards」でライブを始めると、キレのあるダンスパフォーマンスで観客を圧倒。続けて新曲「能動」を披露し、激しく動きながらも、一切乱れることのない芯の通った歌声を武道館に響かせる。クレフェスで毎回KREVAの楽曲をカバーしている三浦は今回「人生」を完璧にカバーしたあと、メロウなミディアムナンバー「Your Love」でKREVAとコラボ。「この瞬間は当たり前じゃない」とクレフェスに出演できる喜びを語ると、「この場所でまたみんなと会うぞという気持ちを込めて歌います」という言葉からバラードナンバー「いつしか」を情感豊かに歌い上げて出番を終えた。
KREVA
イベントのラストを飾るのは、もちろん主催者KREVAのライブだ。三浦と入れ替わりで登場したKREVAは、怒涛のラップを繰り出す「神の領域」で卓越したスキルを見せつけると、SONOMIをフィーチャーした「って」を皮切りにコラボ曲を連発。MCUとLITTLEを迎えた「挑め」、AKLOとコラボした「想い出の向こう側」で会場を沸かせつつ、東日本大震災後に発表したメッセージソング「EGAO」をスタンドマイクでしっかりと歌い上げる。その後KREVAは火柱が上がる中、「火事と喧嘩は江戸の華」を石川とデュエットし、三浦を迎えた「全速力」でアグレッシブなパフォーマンスを披露。「全力出したけどまだ出せそう」と笑うKREVAは、メロディアスなラップを聴かせる最新曲「Expert」をライブ初披露し、そのままアンコールを始めると「All Right」で穏やかにライブを締めくくった。パフォーマンスを終えたKREVAはゲスト陣を迎え入れるとクレフェスのテーマソングを歌い、「908FES 音楽の祭り2023これにて終了!」と挨拶。武道館が大きな拍手に包まれる中、偶然にも時計は21:08を指していた。
セットリスト
KREVA
01. クラフト~Short Ver.~
02. Fall in Love Again feat. 三浦大知
AKLO
03. Dirty Work
04. カマす Or Die
05. Count On Me
06. 百千万
07. RGTO feat. KREVA
08. Catch Me if You Can feat. KREVA
石川さゆり
09. くればいいのに feat. KREVA
10. 愛されるために君は生まれた(with KREVA)
11. 天城越え
KICK THE CAN CREW
12. 千%
13. 住所
14. マルシェ
15. カメとピューマとフラミンゴ
企画コーナー:ライミング予備校
16. 津軽海峡・冬景色
17. ラッセーラ
18. サイファー(LITTLE, MCU, AKLO +KREVA)
三浦大知
19. Backwards
20. 能動
21. 人生(オリジナル:KREVA)
22. Your Love feat. KREVA
23. いつしか
KREVA
24. 神の領域
25. って feat. SONOMI
27. 挑め feat. MCU & LITTLE(908fes2023 ver.)
28. 想い出の向こう側 feat. AKLO(908fes2023 ver.)
29. EGAO
30. 火事と喧嘩は江戸の華(石川さゆり)(908fes2023 ver.)
31. 全速力 feat. 三浦大知
32. Expert
<アンコール>
33. All Right
白根 佳尚 / 𝒀𝒐𝒔𝒉𝒊𝒕𝒂𝒌𝒂 𝑺𝒉𝒊𝒓𝒂𝒏𝒆 @DrShirane
そうだ。記事にあるけど、ライブが終わったその瞬間が「9:08」だったんだ😳
奇跡過ぎる!
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