9月1日にデビュー50周年を迎えたランちゃんこと
1973年9月1日にスー(田中好子)、ミキ(藤村美樹)とともに
デビュー50周年という大きな節目を飾るアニバーサリーライブには、佐藤準(音楽監督、Key)、そうる透(Dr)、是永巧一(G)、笹井BJ克彦(B)、notch(Per)、鈴木正則(Trumpet)、竹野昌邦(Sax)、渡部沙智子(Cho)、高柳千野(Cho)という手練れのバンドメンバーたちが参加し、伊藤のパフォーマンスを支えた。以下、本稿には現在開催中のツアーの一部ネタバレが含まれているため、今後の公演への参加を予定している人はご注意を。
ホールを埋め尽くす観客が、手持ちのペンライトをランちゃんのメンバーカラーである赤に灯す中で始まったこの日の公演。まずはバンドメンバーが、キャンディーズのラストステージ「ファイナルカーニバル」のオープニングナンバーでもある「OPEN SESAME」を奏で、華々しくライブの幕開けを飾る。迫力あるアンサンブルに観客が聴き惚れていると、ステージに銀色のラメをあしらったロングコートに身を包んだ伊藤が登場し、Earth, Wind&Fire「JUPITER」をソウルフルに熱唱。デビュー時と変わらないみずみずしさに加え、年を重ねたことで力強さを増したボーカルをホール中にたっぷりと響かせた。「ファイナルカーニバル」を踏襲するというこの公演限りの演出を経て、伊藤はアシンメトリーな裾が目を引く、グレーと黄色のコントラストが特徴のワンピースに早着替え。盛大な「ランちゃん」コールを浴びながら、1976年にリリースされたキャンディーズの「春一番」をコーラスの2人とパフォーマンス。在りし日のランちゃん、スーちゃん、ミキちゃんの歌声を思わせるそのみずみずしいハーモニーが、会場の時を1970年代に巻き戻した。
「50年前の昨日デビューいたしました。あれから50年が経ったなんて……怖い。でも実感はないんです」とデビューから半世紀を迎えた心境を明かした伊藤。会場内に設けられたキャンディーズの衣装展コーナーについて「懐かしい」とコメントしつつ、自身の新しい扉を開いてくれたという最新アルバム「LEVEL 9.9」からの収録曲を丁寧な解説を交えながら次々と披露していく。途中で伊藤のレギュラーラジオ番組「伊藤蘭 RAN To You」で人生相談コーナーを担当する“マダム蘭”も登場し、伊藤は蘭ママになりきり「ランちゃん、あの頼りない感じで50年やってるのよねえ。やっぱりご主人がいいんじゃない? おうちに刑事さんがいるって心強いじゃな~い?」と伴侶である水谷豊の功績についても笑いを交えながら紹介して会場を盛り上げた。
最新の“歌手・伊藤蘭”の魅力を存分にアピールしたあとは、スクリーンにキャンディーズのデビューから解散までを追った映像が映し出され、再び観客のノスタルジーを誘う。そんな演出をきっかけに突入した、キャンディーズの楽曲のみで構成されたブロック。膝丈の赤いワンピースに着替えた伊藤はデビュー曲である「あなたに夢中」をはじめ、「年下の男の子」「微笑がえし」など一世を風靡した楽曲をコーラス隊の2人と一緒に当時の振付を再現しながら次々とパフォーマンス。「あの頃の曲をこんなに時間が経ってから歌うとは思ってなかった。1978年4月4日、(キャンディーズの)ラストステージの光景は忘れることができません。美しい思い出のまま、すべてを刻むことができました」「スーさん、ミキさんの2人と出会えたことで人生が豊かになりました。誇りでもあり自慢でもあります。ありがとうキャンディーズ。今もその存在を大切にしてくれる皆様には心から感謝しています」と輝かしい日々に思いを馳せた。
アンコールを含め25曲を歌い上げ、2時間以上におよぶライブを完走した伊藤は、優しいほほえみをたたえて「皆さんの声を3年ぶりに聞けて最高でした。すごく楽しかった」と充実感をにじませる。そして「また会いましょうね」と観客1人ひとりと再会を約束して、名残惜しそうにステージをあとにした。
なおこの日の公演の模様は、WOWOWにて11月に放送・配信されることが決定。詳細は追ってアナウンスされる。
伊藤 蘭 50th Anniversary Tour ~Started from Candies~(※終了分は割愛)
2023年9月7日(木)愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール
2023年9月9日(土)大阪府 フェスティバルホール
2023年9月30日(土)福岡県 キャナルシティ劇場
2023年10月21日(土)東京都 日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)
輿水泰弘 @koshimizu221b
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