7月1日に北海道・真駒内セキスイハイムアイスアリーナで開幕し、大阪、広島、沖縄、愛知、宮城公演を経て、過去最長となる神宮球場4DAYSでフィナーレを迎えたこのツアー。最終の4日間では計15万2000人を動員した。また今年1、2期生が全員卒業し、世代交代した乃木坂46にとって、3~5期生のみで初めて行う全国ツアーとなった。
影ナレを担当したのは賀喜遥香と田村真佑の仲良しコンビ。注意事項を読み上げた2人に続き、ケガの治療のため東京公演を欠席した5期生の川崎桜が影ナレに加わりファンを喜ばせた。「楽しんでください!」という川崎の言葉に続いて、マンガの中にメンバーが迷い込んだようなオープニング映像が始まり、客席では大きなコールが巻き起こる。そしてコスメボックスのようなフロート2つとセンターステージに分かれて、真っ赤な衣装を身に着けたメンバーが登場。井上和の「最終日、盛り上がっていくぞー!」という咆哮とともに、夏らしいナンバー「裸足でSummer」でライブがスタートした。続く「ジコチューで行こう!」では遠藤さくらが与田祐希の要望に応えて頬にキスをして会場を沸かせた。
5曲を連続で披露したのち、乃木坂46は観客に挨拶。キャプテン梅澤美波は「ついにファイナルとなりましたが、なんと今日も晴れております!」と視線を暮れ始めた空へ。乃木坂46の神宮球場公演では雨がお決まりとなっていたが、今年は全日好天に恵まれた喜びをファンと分かち合った。ツアーを振り返った金川紗耶は「不安とか大変さもありましたが、全国でお客さんの楽しんでいる顔をたくさん見られて、やっぱり今の乃木坂46も最強だなと思いました!」と力強くコメント。与田は遠藤の髪型、そして先ほどのキスに触れて「ポニーテールとチューは、かなりレア日だね」といたずらっぽい笑顔を浮かべた。
遠藤が部屋や海辺で夏を楽しむVTRを経て、乃木坂46はユニット曲を披露。「意外BREAK」では遠藤を中心に据えたメンバーたちがブラックの衣装でクールな表情を見せ、「Am I Loving?」では制服姿の筒井あやめが「彼女にしてください!」という愛の告白のセリフを口にし、割れんばかりの歓声を浴びた。その後も次々にアッパーチューンを披露しながら、ステージを隅々まで使ったり、トロッコに乗ったりして会場中のファンとコミュニケーションを取った乃木坂46。すっかり空が暗くなった頃、ステージに集合したメンバーは「僕は僕を好きになる」「夜明けまで強がらなくてもいい」でしなやかな群舞を繰り広げる。さらに松尾美佑がセンターに立って披露されるスタイリッシュなアンダー楽曲に、場内は大いに盛り上がった。
その後、プロ野球チームのユニフォームを身に着けたメンバーが登場。久保史緒里が東北楽天ゴールデンイーグルス、向井葉月が埼玉西武ライオンズ、金川が北海道日本ハムファイターズ、黒見明香がオリックス・バファローズ、柴田柚菜が千葉ロッテマリーンズ、梅澤が横浜DeNAベイスターズ、山下美月が読売ジャイアンツ、与田が福岡ソフトバンクホークス、遠藤が中日ドラゴンズ、五百城茉央が阪神タイガース、賀喜が東京ヤクルトスワローズ、弓木奈於が広島東洋カープのユニフォーム姿で「Never say never」をにぎやかに届けた。続いて、キャンドルのやわらかい光が灯り、久保を起点にアコースティックアレンジの「シンクロニシティ」が披露されると、会場は感動的なムードに一変。井上が観客にペンライトの消灯を依頼し「大切な人を思いながら聞いてください」と伝えたバラードナンバー「誰かの肩」では、一部のメンバーの目に涙がきらりと輝いた。
次に梅澤、山下、与田がトークを展開。4日間の天気を改めて振り返り「晴れの神宮という歴史を刻んじゃったね」「誰かWikipediaに書いておいてください!」と和やかに語り合った。期別曲パートを経て、梅澤はツアーを通して感じたことをそれぞれの代ヘ伝えていく。5期生について「度胸と才能と団結力が武器の、いつもひたむきな5期生なら、乃木坂46をまだ見たことのない場所へと導いてくれる気がします」、4期生について「優しさと謙虚さ、そして誰よりも思いやりがあるみんなは乃木坂46らしさをまっすぐ受け継いでくれました。心から尊敬しているみんなの先輩になれたことを誇りに思います」、そして3期生について「歯を食いしばってきた日々も今思えば宝物に思えます。みんなと一緒だからここまでがんばってこれました」と感極まりながらも真摯に伝えた梅澤。続けて「歴史のあるこの場所から、新たな夢へと歩き出します」と決意を語った彼女は、全員メンバー歌唱楽曲「設定温度」へとつないだ。
ダンスパートを挟み、ライブはいよいよ終盤へ。乃木坂46は「ごめんねFingers crossed」「Actually…」「逃げ水」といったバラエティ豊かな楽曲を情熱的に、ときにクールにパフォーマンスする。「僕が手を叩く方へ」のラストでは、メンバーと会場の観客約3万8000人がハンドクラップで一体となった。「皆さん楽しんでいただけていますでしょうか?」と観客に語りかけた井上は、とあるエピソードを語り出す。尊敬する先輩からもらった「私は身近な人に尊敬してもらえるような人になることが目標」「和ちゃんにもそうなってほしい」という言葉を大切にしていること、このツアーを振り返って理想の人物像になれなかったと感じていることを吐露した彼女は「もっと期待に応えたいし、希望を与えられる人になりたいです。そしてこの乃木坂46が誰かのがんばる理由になるよう、がんばります」と凛々しい表情で語った。その後披露されたのは、彼女がセンターを務めた最新シングル表題曲「おひとりさま天国」。恒例の花火が夜空に打ち上がり、彼女たちの華やかなパフォーマンスを彩った。
アンコールを求める観客の「乃木坂!46!」の声に応え、彼女たちはツアーTシャツを身に着け再登場。「夏のFree&Easy」「ダンケシェーン」などを歌いながら会場中にちらばり、サインボールを客席に投げ込んだ。このツアーでグループへの思いがさらに強くなったという山下は、ツアーを牽引した井上、アンダーセンターの松尾、キャプテン梅澤らを労うとともに大いに称え、ファンやあらゆる関係者へ感謝を伝える。五百城は先輩たちに向け「ライブ中にいろいろなことを背中で教えてくださって」「精一杯付いていくので、これからもよろしくお願いします!」と頭を下げた。「いろいろ込み上げてきますね」と涙をにじませた松尾は「私は4期生で多分一番背が高くて丈夫なので、先輩方の盾になれるくらい強くなりたい」と自分の思いを伝えた。最後に歌われた楽曲は「乃木坂の詩」。梅澤は達成感であふれ出る涙を隠さず「私たちにも4日間乗り越えられました! 怖さや不安もあったけど、確実に私たちの成長につながりました。今、先輩たちのあとをしっかり受け継げたと、証明できたと思います。私たちが乃木坂46です! 過去も今も未来も全部まとめて愛して、みんなで前へ進んで行きます!」と決意表明し、約2カ月にわたるツアーを締めくくった。
「乃木坂46 真夏の全国ツアー2023」2023年8月28日 明治神宮野球場 セットリスト
00. OVERTURE
01. 裸足でSummer
02. ジコチューで行こう!
03. 好きというのはロックだぜ!
04. 太陽ノック
05. ガールズルール
06. 意外BREAK
07. Am I Loving?
08. 自惚れビーチ
09. 空扉
10. 他人のそら似
11. 君に叱られた
12. 僕は僕を好きになる
13. 夜明けまで強がらなくてもいい
14. 踏んでしまった
15. 錆びたコンパス
16. Hard to say
17. Never say never
18. シンクロニシティ
19. 誰かの肩
20. 絶望の一秒前
21. 4番目の光
22. 三番目の風
23. 設定温度
24. ごめんねFingers crossed
25. Actually…
26. 逃げ水
27. バンドエイド剥がすような別れ方
28. I see…
29. 僕が手を叩く方へ
30. おひとりさま天国
<アンコール>
31. 夏のFree&Easy
32. ダンケシェーン
33. 僕だけの光
34. 人は夢を二度見る
35. 乃木坂の詩
※川崎桜の「崎」はたつさきが正式表記。
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