2016年より毎年各メンバーの誕生日前後にソロライブを行っているエビ中。小林のソロライブ「ぽーランド」は、彼女が自身のニックネーム「ぽーちゃん」にちなんで名付けた架空の夢の国がテーマとなっている。公演当日に23歳の誕生日を迎えた小林は、ソロライブの開催と同時に初の写真集「わたし。」をリリース。多くのエビ中ファミリー(私立恵比寿中学ファンの呼称)が、小林の誕生日と写真集発売を祝福するべく会場に足を運んだ。
今年で8回目の開催となった「ぽーランド」。ステージ中央には重厚感のある赤いソファーが鎮座し、右端には「スナック歌穂」の看板が灯る。ステージ後方のスクリーンに彼女の描いたイラストを用いたオープニング映像が上映されたのち、黒のチュールワンピースに身を包んだ小林がステージに姿を現した。彼女はエビ中のナンバー「23回目のサマーナイト」でポップにライブをスタートさせると、「『スナック歌穂』が開店しましたー!」と高らかに宣言。この曲のレコーディング時はまだ10代だったことに触れたあと、「ついにね……私も23歳に到達しました」とにこやかに語り、歌唱中にスクリーンに映し出されていたスライドショーが中山莉子の撮影によるものであることを明かした。
続いて小林が歌唱したのは、自身に向けて歌いたい歌詞があり選曲したというAimerの「カタオモイ」。小林は特に歌いたかったという「たった一度の たった一人の生まれてきた幸せ味わってるんだよ」のパートに差しかかると会場中を見渡し、柔らかな笑みを浮かべた。
写真集について「まだ買ってねえぞ!っていう人いない?」と会場に問いかけた小林は、撮影に向けて「形から挑もう!」と決意し、サラダとプロテインを食べて過ごしていたことを語る。さらにスキンケアも「がんばった!」と熱弁した彼女は、突然「あー! ニキビできた!」と叫ぶと、思春期の思いを歌ったエビ中のナンバー「面皰」を歌い出す。唐突な歌い出しに、ぽーランドの国民(観客)は笑いながらも手に持ったサイリウムを振り、ステージに立つ小林の姿を見守った。和やかな空気を一転させるように歌われたのは、小林のソロ曲「ぐらりぐら想い」。小林はこの曲を華麗なダンスとクールな表情で艶やかに披露した。
「ニキビって突然できるじゃない? だから突然歌ってみました」と茶目っ気たっぷりに話した小林は、ツイッター上で事前に開催されていた、彼女のアクリルキーホルダーを使ったフォトコンテスト「#小林生誕アクキー選手権」で、特に自分に刺さった写真の投稿者3名に“小林賞”を贈呈することに。実際に会場に訪れていた受賞者3名とコミュニケーションを取りつつ、自分に刺さったポイントを楽しそうに解説した。その後、「続いては、このコーナーにいきたいと思います!」と宣言した彼女は、ウクレレを手に赤いソファに腰掛け、今年で3回目となるウクレレコーナーへ。「こんなに続くと思ってなくて……でもウクレレをゲットしたからには続けないわけにはいかないよね?」と客席に笑いかけると、やや苦戦しつつもウクレレをチューニングする。このコーナーで披露されたのは、越路吹雪「愛の讃歌」、七尾旅人「サーカスナイト」、椎名林檎「丸の内サディスティック」の3曲。それぞれがオリジナルとはひと味違った素朴なサウンドと、彼女の持つ温かみのある歌声で届けられた。
「残り少ない時間ではございますが、皆さんぜひゆっくりと『ぽーランド8!!!!!!!!』に浸ってもらえたらなと思います」という呼びかけから歌われたのは、しっとりとしたミディアムチューン「曇天」とバラードソング「宇宙は砂時計」。曲中にはミラーボールがきらめき、会場が幻想的なムードに包み込まれる。そしてラストに披露されたのは2015年に発表されたアルバム「金八」の収録曲「PLAYBACK」だ。この曲の最後にはステージ後方のスクリーンに、エビ中ファミリーの幸せを願う小林の直筆メッセージが映し出された。
同世代に社会人が増えたことから、急に大人になった感覚があると切り出した小林は「私らしく、のほほんと大人になっていきたいなと思っております」と話し、今後の目標として「また個展を開きたい」と思いを明かす。さらに「私引きこもりなんでございますけど……ちょっとずつ外の世界に出て、太陽の光を浴びて、アクティブな生活をしたいなと思ってます」と23歳の抱負を語って、「ぽーランド8!!!!!!!!」の本編を締めくくった。
アンコールは、エビ中ファミリーの悩みに答える「お悩み相談コーナー」でスタート。「お悩み相談コーナー」は、会場入り口のボックスに入れられたエビ中ファミリーからのお悩みや質問1つひとつに対し、小林が答えを出していくというもの。時に真剣に、時に笑いを交えながら展開されたこのコーナーでは、最初に「お誕生日おめでとう」と連絡をくれたメンバーが真山りかであること、さらに文面ではなく音声メッセージでバースデーソングが贈られてきたことが明かされた。ここで小林は、ぽーランドの“国歌”として定められているエビ中の「ゼッテーアナーキー」の合唱を国民に要求。合唱が終わると客席に向けて金テープが吹き出し、ぽーランドをにぎやかに彩った。
「これをさ、やりにきてるようなものじゃん!」と声出しでの国歌斉唱に満面の笑みを浮かべた小林は、最後にシャボン玉が噴き出すハンドガンを手に、自身のソロ曲「日記」を軽やかに歌い上げる。改めてファンへの感謝を告げた小林は、深く頭を下げると、シャボン玉を客席に向けて噴出しながらステージをあとにした。
小林歌穂生誕ソロライブ「ぽーランド8!!!!!!!!」2023年6月12日 KT Zepp Yokohama セットリスト
01. 23回目のサマーナイト
02. カタオモイ(オリジナル:Aimer)
03. 面皰
04. ぐらりぐら想い
05. 愛の讃歌(オリジナル:越路吹雪)
06. サーカスナイト(オリジナル:七尾旅人)
07. 丸の内サディスティック(オリジナル:椎名林檎)
08. 曇天
09. 宇宙は砂時計
10. PLAYBACK
<アンコール>
11. 日記
ぺろ太郎 @ken19770626
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