Corneliusが圧巻のパフォーマンスで大トリ飾った福岡「CIRCLE」2日目
2023年5月26日 21:01
19 音楽ナタリー編集部
5月20日と21日に福岡・海の中道海浜公園 野外劇場で野外フェス「CIRCLE '23」が開催された。本稿では21日公演の模様をレポートする。
君島大空
2日目のスタートを飾ったのは君島大空。君島は前年の「CIRCLE」に吉澤嘉代子のサポートギタリストとして参加したが、ソロとしては今回が初登場となる。「air vent(avissiniyon)」でゆったりと演奏をスタートすると、アシッドフォーク風の「扉の夏」、さまざまなサウンドエフェクトを施した「装置」など独創的なサウンドで観客を自らの歌の世界に引き込んでいった。「最高です。帰りたくないな」と呟いた君島は「都合」に続けて、当初セットリストに入っていなかったという「遠視のコントラルト」を演奏。名残惜しそうにKOAGARI STAGEをあとにした。
羊文学
CIRCLE STAGEの1番手として登場した羊文学はミドルチューン「光るとき」でライブを開始。疾走感あふれる「永遠のブルー」でギアを上げると、3曲目の「FOOL」でラウドなギターサウンドを轟かせた。強い日差しが照り付ける会場を見渡した塩塚モエカ(Vo, G)は「少し涼しくなるかなと思って。冬の曲を2曲やっていいですか?」と前置きして「1999」「あいまいでいいよ」を演奏。羊文学の持ち味である、みずみずしくも凛としたロックサウンドに観客たちは気持ちよさそうに体を揺らす。3人は最後に「ワンダー」をアグレッシブにプレイ。爽やかな余韻を残してライブを終えた。
青葉市子
昼下がりのKOAGARI STAGEに登場した青葉市子は曲ごとにアコースティックギターとピアノで弾き語りを披露。まずはアコギを手にすると「Porcelain」「Sagu Palm’s Song」といった楽曲を演奏していく。また中盤では、リリースされたばかりの新曲「Space Orphans」がピアノの弾き語りによって披露された。この日のライブでは、幻想的なメロディと彼女の繊細な歌声に、遠くから聞こえてくる鳥のさえずりや子供の笑い声などが混ざり合い、あたかも白昼夢のような独特な雰囲気が作り上げられていった。
落日飛車 Sunset Rollercoaster
落日飛車 Sunset Rollercoasterがリハーサルを始めると多くの観客がCIRCLE STAGEに移動し始める。アメリカの音楽フェス「Coachella Valley Music and Arts Festival」に出演を果たすなど今や台湾を代表する人気バンドとなった彼ら。この日のライブでも、爽快なサウンドが心地いいAOR「Summum Bonum」、80'sフレイバーをちりばめたバラード「Burgundy Red」、アーバンメロウなR&B「Greedy」など世界中の音楽ファンを虜にする独自のシティポップサウンドで観客を魅了していた。
七尾旅人
「湘南が遠くなっていく」で静かにライブをスタートさせた七尾旅人。彼はその後、「Wonderful Life」や「入管の歌」といった現代社会の問題をテーマにしたメッセージ性の強い楽曲をじっくりと歌い届けていった。終盤ではゲストとして青葉市子が登場。1番を青葉、2番を七尾が歌うスタイルで「サーカスナイト」が披露された。さらに七尾はステージに君島青空を呼び込み、君島が弾くギターに乗せて青葉と「Rollin' Rollin'」をデュエット。出番前に声をかけたという突発的なコラボを見事に成功させて会場を沸かせていた。
ハナレグミ
レゲエアレンジを施した「光と影」でCIRCLE STAGEにリラキシンな雰囲気を生み出したハナレグミ。12弦ギターをかき鳴らし「My California」を歌唱したのち、マイク片手に「独自のLIFE」を伸びやかに歌唱したハナレグミは続けて、原田郁子(クラムボン)、オオヤユウスケ(Polaris)とのユニットohanaのナンバー「オハナレゲエ」を披露。レアな選曲で会場を沸かせた。杏里「オリビアを聴きながら」のカバーでは、観客が「出逢った頃は~」というサビのリリックを大合唱。切なさと高揚感がない混ぜになったエモーショナルな雰囲気が場内を包み込んだ。親子連れ客が多数集った場内を見て、ハナレグミは「ファミリーで来るにはぴったりなイベントだよね」と語りかけて、「家族の風景」を情感たっぷりに歌唱。最後は「Quiet Light」で静かにステージを終えた。
田島貴男(ORIGINAL LOVE)
リゾネーターギターを携えてKOAGARI STAGEに現れた田島貴男(ORIGINAL LOVE)はボディを叩きリズムを刻みながら「フィエスタ」をプレイ。1曲目から弦が切れてしまうというアクシデントをものともせず、すぐさま替わりのギターを手に取ると「bless You!」を歌唱し、エネルギッシュなパフォーマンスで会場に盛大なハンドクラップを巻き起こした。田島は「ローラー・ブレイド・レース」でスライドギターを披露したのち代表曲「接吻」を歌い上げ艶やかな歌声で観客を魅了。「今日は好き放題やります」と宣言すると、「侵略」「ソウルがある」という新曲を2曲続けて演奏し、鬼気迫るような熱唱で反戦のメッセージを唱えた。
EGO-WRAPPIN'
EGO-WRAPPIN'は1曲目に「Nervous Breakdown」をチョイス。スリリングかつエネルギッシュな演奏で会場のボルテージを一気に引き上げる。陽気なスカチューン「love scene」で会場をチルアウトすると、エゴは野外ライブで映える「a love song」を演奏。ロックステディの心地よいリズムに乗って、中納良恵(Vo)のスウィートな歌声が会場いっぱいに広がっていった。ニューウェイブ風の「human beat」を経て、中納と森雅樹(G)の弾き語りコーナーに。2人は初期曲「満ち汐のロマンス」、黄昏時にマッチした「サニーサイドメロディー」をじっくりと演奏していった。会場上空を旋回するトンビを見た中納の「飛んでいこか?」という問いかけを合図にエゴは「GO ACTION」をプレイ。終盤では「くちばしにチェリー」「サイコアナルシス」といったキラーチューンが畳みかけるようにして届けられ、会場は爆発的な盛り上がりを見せた。
原田郁子(クラムボン)
サウンドチェックで忌野清志郎との共作曲「銀河」をフルで歌いあげた原田郁子(クラムボン)は、そのままクラムボンの楽曲「タイムライン」で本番をスタート。2曲目の「やわらかくて きもちいい風」では、タイトルさながらに海からの心地よい風が吹き抜ける中、伸びやかな歌声を聞かせた。「青い闇をまっさかさまにおちてゆく流れ星を知っている」の歌唱時には、ステージ袖でライブを観ていたハナレグミと青葉市子が動物の鳴き真似やコーラスなど、声のみでライブに参加していた。MCで原田は「今日ここで発表したかった」と6月に15年ぶりのソロアルバム「いま」がリリースされることを告知。詩人の谷川俊太郎と共作した楽曲「いまここ」をアルバムから初披露しライブを終えた。
Cornelius
「CIRCLE'23」の大トリを務めたのはCornelius。オープニングSEの「Mic Check」が鳴り響くと、ステージ前方に張られた紗幕にメンバーのシルエットが浮かび上がる。幕が落ち、小山田圭吾(Vo, G)、堀江博久(Key, G / NEIL and IRAIZA)、大野由美子(B, Vo, Key / Buffalo Daughter)、あらきゆうこ(Dr)が姿を現すと場内から歓声が上がる。「Point of View Point」でライブをスタートしたCorneliusは、続けて新曲「火花」を披露。「Audio Architecture」「Another View Point」では楽曲と完全にシンクロした映像がビジョンに投影され観客の耳目を奪った。「Count Five or Six」「I Hate Hate」でアグレッシブなパフォーマンスを展開したのちCorneliusは「いつか / どこか」で場内に落ち着いたムードを作り上げる。続けてYMOの「Cue」が届けられると大きなどよめきが沸き起こった。METAFIVEのカバー「環境と心理」を経てライブは佳境に突入。人気曲「Star Fruits Surf Rider」で会場をひとしきり盛り上げたのち、4人は最後に坂本慎太郎が歌詞を手がけた「あなたがいるなら」を演奏。終始完成度の高い圧巻のパフォーマンスで「CIRCLE'23」の幕を下ろした。
撮影:ハラエリ、勝村祐紀、chiyori
Cornelius @corneliusjapan
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