昨年5月から、
志磨から呼び込みを受けると、小西は「志磨遼平の父でございます。今日は大いに歌います」と語りながらステージに登場。彼は“レアグルーヴバンド”Q.A.S.B.を率い、自身が手がけてきたナンバーを幅広く披露した。前半では「サンキュー」「これは恋ではない」とピチカート・ファイヴ名義で発表した楽曲を中心にプレイ。原曲から大胆にアレンジされたジャジーなサウンドに、深みあふれる歌声を重ね合わせていく。そんな中MCでは、小西がピチカート・ファイヴ初期のエピソードを語るという貴重な場面もあった。後半では小西とa.yu.mi.(Vo)が息ピッタリの掛け合いを繰り広げた「遊び。」を挟み、今年2月に亡くなったアートディレクター信藤三雄が所属していたバンド、ザ・スクーターズに提供した「かなしいうわさ」をカバー。最後は「マジック・カーペット・ライド」で穏やかなひとときを演出し、心地よい余韻を残して出番を終えた。
二番手のドレスコーズは最新アルバム「戀愛大全」の1曲「ラストナイト」でライブの火蓋を切り、「Mary Lou」「Lily」とムーディな趣きの楽曲を届けていく。合間のMCで志磨は渋谷系カルチャーから大きな影響を受けたことを明かしつつ、信藤三雄が手がけたCDアートワークの魅力について話題にした。信藤はドレスコーズや毛皮のマリーズのアートワークも制作したことがあり、生前志磨には「いつか小西(康陽)くんに会わせたい」と語っていたとのこと。今回のツーマンで小西とともにライブイベントを行うことができ、志磨は「お会いできて光栄です。今日はうれしいな」と喜びを滲ませた。
「小西さんへのお礼のつもりで曲を選びました」という志磨の説明通り、この日ドレスコーズはディスコチューン「ヒッピーズ」、スウィンギンなピアノのフレーズを前面に押し出した「やりすぎた天使」など、ポップかつジャンルレスな楽曲群で観客たちを楽しませた。きらびやかな東京の魅力を凝縮した「弦楽四重奏曲第9番ホ長調『東京』」で本編を終えたのち、アンコールでは“きみ”との別れをドラマチックに表現した新曲「最低なともだち」を披露。アルバム「戀愛大全」から発展させた新基軸をいち早く示してみせた。そしてラストナンバー「愛に気をつけてね」がスタートすると、オーディエンスがフロア最前列へと一気に密集。コロナ禍以前を彷彿とさせる盛大なフィナーレとなった。
なおドレスコーズがこのライブで披露した新曲「最低なともだち」は本日5月11日に配信リリースされた。ジャケットアートワークにはマンガ家・不吉霊二のイラストが使用されている。
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「ドレスコーズ+小西康陽」2023年5月10日 渋谷CLUB QUATTRO セットリスト
小西康陽とQ.A.S.B.
01. 東京上空3000フィート
02. サンキュー
03. これは恋ではない
04. これから逢いに行くよ。
05. 遊び。
06. 陽の当たる大通り
07. かなしいうわさ
08. マジック・カーペット・ライド
ドレスコーズ
01. ラストナイト
02. Mary Lou
03. 聖者
04. Lily
05. ヒッピーズ
06. エロイーズ
07. やりすぎた天使
08. ビューティフル
09. 弦楽四重奏曲第9番ホ長調「東京」
<アンコール>
10. 最低なともだち(新曲)
11. 愛に気をつけてね
リンク
志磨遼平(ドレスコーズ) @thedresscodes
【ライブレポート】昨夜のライブレポートが公開に。森好弘くんによる写真も掲載。ぼくはこの日のことをずっと忘れないでしょう。お越しになれなかった方もぜひお読みください。 https://t.co/Z7KPVZsF7B