EGO-WRAPPIN'のホール公演「HALL LOTTA LOVE ~ホールに溢れる愛を~」が開催されるのは4年ぶり。彼らはこれまでに何度も中野サンプラザでワンマンライブを開催してきたが、同会場は今年7月に閉館することが発表されているため、今回が最後のステージとなった。
場内が暗転すると、むせび泣くようなソプラノサックスの音色が鳴り響く。哀愁漂うサックスの調べにドラムがさりげなくビートを重ね、やがてステージ前方の幕がゆっくりと上がっていくと、そこにはサポートメンバーを従えた
この日が2023年の初ライブだというEGO-WRAPPIN'であったが、エキゾチックなギターリフが印象的な「Arab no Yuki」、メロウかつグルーヴィな「Shine Shine」、ニューウェイブ調のコズミックな「human beat」、シンプルなアンサンブルに乗せて中納が囁くように歌う「on this bridge」など、持ち前の多彩なサウンドで観客を楽曲の世界に引き込んでいった。TUCKERがハモンドオルガンで甘美な音色を奏でると、中納は「愛の逃飛行、行ってまいります」とチャーミングに敬礼して、「a love song」を歌唱。ロックステディの心地よくゆったりとしたリズムがフロアを揺らした。
穏やかなサイケデリアをたたえた「Fall」の演奏が終わると、サポートメンバーが一旦退場。中納と森の弾き語りコーナーに。1曲目に届けられたのは「Finger」。「自宅で演奏する感じで」と語ると森はギターのボリュームを少し絞り、おもむろにアルペジオを奏で、そこに中納が透明感漂う歌声を重ねる。2人が紡ぐ繊細なサウンドに観客たちは静かに耳を傾けていた。「懐かしい曲やりますか?」という中納の言葉でスタートしたのは1999年に発表されたミニアルバム「His choice of shoes is ill!」に収録された「アマイカゲ」。暗闇の中、ステージ後方のピンライトが2人の姿を幻想的に照らし出す。続く「admire」では瑞々しいギターの旋律とともにドリーミーなムードが場内を満たしていった。
「色彩のブルース」は中納のアカペラでスタート。リバーブの効いた森のギターが情感ほとばしる中納の歌声に寄り添い、各プレイヤーが奏でるジャジーな音色が淡い色彩を重ねていく。中納が最後の一節を歌い上げると自然発生的に大きな拍手が沸き起こった。不穏なベースのフレーズが鳴り響き「Nervous Breakdown」がスタートすると、ライブはピークタイムに突入。「CAPTURE」「くちばしにチェリー」「GO ACTION」といったEGO-WRAPPIN'きってのキラーチューンが怒涛のテンションで次々繰り出され、フロアは狂騒的な盛り上がりを見せた。
アンコールに応えメンバーが再び登場すると、声出し解禁となった客席から「今日も最高! ありがとう!」など大きな声援が飛ぶ。アンコール1曲目は、ルーディなスカのリズムで疾走する「The Hunter」。続く「サニーサイドメロディー」では、中納の呼びかけで観客が「ラララ」というコーラスを大合唱した。ハッピーなムードが会場いっぱいに広がり、メンバーが笑顔でステージを去り大団円、と思いきや、ステージに1人残ったTUCKERが突然、激しいブギピアノを弾き始める。アグレッシブな旋律に呼び戻されるように再登場したメンバーは「サイコアナルシス」を演奏。爆発的な演奏でフロアを盛り上げ、ツアータイトル通り“ホールに溢れる愛”を目一杯届けて、最後の中野サンプラザワンマンの幕を下ろした。
「EGO-WRAPPIN' “HALL LOTTA LOVE ~ホールに溢れる愛を~”」2023年4月9日 中野サンプラザホール セットリスト
01. かつて..。
02. Neon Sign Stomp
03. Arab no Yuki
04. Shine Shine
05. human beat
06. on this bridge
07. a love song
08. Fall
09. Finger
10. アマイカゲ
11. admire
12. 色彩のブルース
13. Nervous Breakdown
14. CAPTURE
15. くちばしにチェリー
16. GO ACTION
<アンコール>
17. The Hunter
18. サニーサイドメロディー
19. サイコアナルシス
リンク
EGO-WRAPPIN' @EGO_WRAPPIN_JP
“HALL LOTTA LOVE ~ホールに溢れる愛を~”
のライブレビューが音楽ナタリーに掲載されました。
是非ご覧ください!
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