ヒトリエが思い出の地でメジャーデビュー9周年ライブ、レア曲連発しさらなる“更新”誓う

ヒトリエのメジャーデビュー9周年を記念したワンマンライブ「HITORI-ESCAPE 2023 SHIMOKITA 9」が、1月23日に東京・下北沢シャングリラで開催された。

下北沢シャングリラはかつての会場名の下北沢GARDEN時代から、ヒトリエがさまざまなイベントを行ってきた縁のある場所。メンバーたちは思い出深い場所に集結した超満員のファンに向け、9年間の集大成とも言える熱いパフォーマンスを披露した。

ライブはメジャーデビューシングル「センスレス・ワンダー」の鮮烈なサウンドで幕を開け、さらにこのシングルのカップリング曲「さらってほしいの」「darasta」へと続く。「darasta」が3人体制のライブで披露されたのは今回が初。オーディエンスは意外な選曲に驚きつつ、3人が届けるトリッキーなアンサンブルに翻弄されるかのように体を揺らしていた。

シノダ（Vo, G）は「9年もメジャーでバンドやってます、ヒトリエです」と挨拶し、フロアを埋め尽くしたファンに向けて「みんなの面構えを見てたらわかるよ、今日は気合いが違うって（笑）。悪いけど俺もそうなんだ。全力でぶつかり合って、最終的には木っ端微塵になって終わろうぜ！」と呼びかけて大きな拍手を浴びる。「SLEEPWALK」でオーディエンスがジャンプを繰り返したあとは「アレとコレと、女の子」へ。イガラシ（B）とゆーまお（Dr）が刻む心地よいビートが会場を包み込んだ。

ライブ中盤のMCで、シノダは今回の会場で行ってきたイベントでの思い出、対バン相手のエピソードを振り返り「更新していくしかないよね。俺らにはまだまだ勝たねばならんバンドがいますから」とさらなる前進を誓う。そして「ちょっと懐かしい曲を」という言葉に続き、「(W)HERE」を丁寧に届けた。その後は最新アルバム「PHARMACY」から「Neon Beauty」を披露。浮遊感に満ちたアンサンブルで会場の雰囲気を変えていった。

「いろんな曲を作ってきましたが、ゆーまおが作ったいい曲をやりたいと思います」というシノダの紹介のあと披露されたのは「風、花」。ポップなサウンドをフロアに届けると、シノダは間髪をいれず「今やった曲に対抗して俺が作った曲をやります！（笑）」と宣言して観客の笑いを誘った。ここで演奏されたのは「undo」。オーディエンスはリズムを刻みつつ、シノダが歌う哀切なメロディに聞き入る。その後は「トーキーダンス」「アンノウン・マザーグース」「シャッタードール」と、キラーチューンが次々と連投された。

「『俺が歌います』ってなってからずっと大事に歌おうとがんばっている曲」とシノダが語った「青」、フロアを再び熱狂へ導いた「ハイゲイン」が終わると、シノダは「お前らが何考えてるか当ててやろうか？ 『ヒトリエって超カッコいい』って思ってるだろ」と不敵に微笑む。そして「カッコいいと思ってライブで聴いてもらえる、それだけでいいです。みんなの視線が熱すぎる、それだけでこの先10年も11年も12年もやっていけると思っています」と語り、大喝采を浴びた。本編最後の曲は「ポラリス」。3人の熱演に応え、オーディエンスも力強く拳を挙げ続けた。

アンコールで再びステージに現れたメンバーたちは、メジャーデビューから9年を迎えた心境をそれぞれ語った。ゆーまおが「こんなに続くとは思ってなかったよね？ 『続けたい』とは思っていたけど」と話すと、シノダも「その瞬間その瞬間でやってきてたから、9年や10年なんて考えてなかった」と同意する。一方、この日のセットリストに関してはシノダが「まさか『darasta』にまで手を出すとは（笑）。セットリストはイガラシくんが考えるんですけど、俺が弾きながら歌えるかとかはまったく考えてくれない……演奏しながら『てんてこ舞いってこういうことなんだ』って思った（笑）」とステージ上での心境を告白。その背後に立つイガラシは我関せずとばかりにカメラマンの西槇太一から写真を撮ってもらっており、彼のマイペースっぷりにフロアからは笑いが起こった。

そんなイガラシは2019年、7日連続で開催したメジャーデビュー5周年イベントを振り返る。途中でwowakaやシノダがインフルエンザに感染し、途中から内容の変更を余儀なくされたこのイベントについてイガラシは「メンバーがどんどん脱落していって（自分が）しゃべらざるを得なくなって。あのとき『次は10周年ですね』と言っていたのに、毎年周年を祝うバンドになってしまいました」と苦笑い。しかし「でも毎年多幸感のあるライブができるのはうれしいですね」と、ファンと毎年を祝える現在の状況を喜び、感謝の思いを明かした。

アンコールで披露されたのは「僕たちヒトリエの始まりを象徴する曲」とシノダが語ったナンバー「カラノワレモノ」。シノダの「跳べ！」という煽りに応えてオーディエンスは全力のジャンプを繰り返し、ヒトリエのアニバーサリーを祝福した。