Sanoは昨年11月にリリースした最新ミニアルバムのタイトルトラック「ZERO」で約3年ぶりのワンマンライブを爽快にスタート。疾走感のあるサウンドに乗せて「ZEROからHEROになるのさ」と強い意思をまっすぐに歌い上げた。「会いたかったぜ、お前ら!」とフロアに言葉を投げかけると、Sanoは「ムーンレイカー」を楽しげにプレイ。そしてスケール感のあるピアノロックナンバー「いつか」を力強く歌い上げたあと、「最後まで駆け抜けていくので、各々自由に楽しんでもらえたらうれしいなと思います。よろしく!」と挨拶した。
その後Sanoは「Genius」で笑顔を見せながら軽やかに音を奏で、「pinky swear」ではギターを置いてスタンドマイクで優しい歌声を届ける。繊細な鍵盤の音色に乗せてSanoがそっと語るように歌い始めたのは「滅亡と砂時計」。一筋のオレンジ色のスポットライトが降り注ぐステージで、切実な歌声と情緒的なアンサンブルがストーリーを紡ぐように響き渡った。
ラブソング「マリアロード」で温かな愛を歌い上げたSanoは、「言いたいことは山ほどあったんですけど、こうやってあなたを前にすると言葉ってあんまり出てこなくなってしまうんです。伝わってますか? 大丈夫ですか?」とフロアを見渡す。そしてSanoが「曲を書いてきたので、新しい曲をやってもいいですか?」と告げ、弾き語りで披露したのは新曲「眠れない夜に」。Sanoは剥き出しのアコースティックギターの音色に乗せて「どんな夜も僕が照らすから」と自身が歌う理由や優しさが詰まったようなこの曲をオーディエンスに寄り添うように贈った。
バラードナンバー「終夜」をたおやかに届けたあと、Sanoは一度ステージをあとにする。Sanoのいない舞台でバンドメンバーはジャズセッションを繰り広げた。オーディエンスが心地のいいサウンドに身を任せて自由に体を揺らしていると、「楽しそうだね! 俺も混ぜてくれよ」というSanoの声がどこからともなく聞こえてくる。声のするほうを見上げると、ステージ横の階段の上に無邪気な表情を浮かべるSanoの姿があった。Sanoは「ジャイアントキリング」を激しく体を揺らして歌い、最後にはステージに仰向けになって倒れ込む。「革命的閃光弾」でもSanoは舞台を動き回りながら衝動のままに歌い、さらに最新ミニアルバムの中でもアップテンポのナンバー「アビス」でフロアの熱気を一層引き上げた。
「ここから後半戦なんですけど、もっと盛り上がっていける?」とSanoはオーディエンスを煽り、「決戦前夜」「スイマー」を続けて晴れやかにプレイ。みずみずしいサウンドで場内を満たしたあと、「twilight」をハンドマイクで伸びやかに歌い上げた。Sanoは「終わりたくないな」と名残り惜しみ、「いつか今日のことをみんな忘れてしまうと思うんですよ。あの扉を出ると、思い出に変わっていく。それでも3年ぶりにみんなの前に立って、今一瞬だけでいいから何かを共有できて、俺の音楽が好きな人とこうやって顔を突き合わせることができるというのは、本当にかけがえのない時間だなと思いました。すっごく寂しいんですけど……寂しくさせてくれてありがとう」とそっと言葉を述べる。そして「忘れないでほしいのは、いつでも俺の曲はそばにあるということ。ちゃんとそばにいることだけは忘れないでいてください」と優しく語り、「プラチナ」をゆったりと歌唱した。
「もっともっとみんなことを幸せにするから! みんなももっと俺のことを幸せにしてくれよ!」とSanoは最後までオーディエンスと心を通わせ、「梟」を開放感たっぷりに歌唱。「また会おう」とこの曲を通してオーディエンスと再会を誓い、大きな拍手に包まれながらSanoは約3年ぶりのワンマンライブに幕を下ろした。
「Sano ibuki Special Live "ONE"」2023年1月21日 東京都 東京キネマ倶楽部 セットリスト
01. ZERO
02. ムーンレイカー
03. いつか
04. Genius
05. pinky swear
06. 滅亡と砂時計
07. マリアロード
08. 眠れない夜に
09. 終夜
10. Letter
11. ジャイアントキリング
12. 革命的閃光弾
13. アビス
14. 決戦前夜
15. スイマー
16. twilight
17. プラチナ
18. 梟
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Sano ibuki、オーディエンスの心に寄り添った3年ぶりのワンマンライブ https://t.co/9YrxIwl4qZ