グループ屈指の高いアイドル性とそれに伴うプロフェッショナル精神を持つ齊藤は、2019年10月発表の「ズルいよ ズルいね」で初めてシングル表題曲のセンターを担当。MBS・TBS系「明日、私は誰かのカノジョ」をはじめとするドラマに出演するなど、個人仕事を通しても=LOVEの認知度向上に貢献してきた。そして今年20歳の誕生日を迎える齊藤が、昨年9月に行われた=LOVEのデビュー5周年記念コンサートにて「一歩外の世界に踏み出したい」という思いから卒業を決断したことを発表すると、ファンの間に驚きと衝撃が走った。彼女のアイドルとしてのラストステージとなる卒業コンサートは、その姿を目に焼き付けようと集まった約5000人のファンでいっぱいに。会場の観客とdTVで行われた生配信の視聴者に向け、メモリアルなステージが届けられた。
ロビーには齊藤の卒業を祝うスタンド花が並び、1階席の前方には「なーたん大好きシート」、ステージの両端には齊藤の姿だけを追う「なーたん推しカメラ」の映像を映すスクリーンが設けられるなど、卒業コンサートにふさわしい万全の環境がそろったパシフィコ横浜。齊藤本人による場内アナウンスを経て、「Overture」とともに彼女を大きくフィーチャーしたオープニングムービーが流れると、いよいよ始まる卒業コンサートに対する観客の期待感と緊張が大きなものになる。いくつものリボンがあしらわれたピンク色の衣装に身を包み、1人ステージに現れた齊藤が最初に歌ったのは今回の公演名にもなっているソロ曲「現役アイドルちゅ~」。王道アイドルソングよって会場が一瞬にして華やかな空気に染まる中、曲の途中にはピンクの法被を羽織り、うちわを手にしたメンバーが齊藤の周りを取り囲む。客席のファンは「ねぇ ねぇ 教えて! なーたん 今日も可愛い?」というセリフに応え、飛沫防止によりコールができない代わりに「可愛いよ」と書かれた紙を掲げて齊藤を驚かせた。
2曲目「Want you!Want you!」からは、メンバー全員ピンクの衣装を身をまとってのパフォーマンスへ。齊藤は端から端までステージを行き来しながら客席に手を振り、「Oh! Darling」では客席通路に飛び出して歌ったり、トロッコに乗り込んで場内を移動したりと、会場の隅々にまで笑顔を届けてファンを喜ばせた。メンバー1人ひとりをフィーチャーしたダンストラックのあとにはダンサブルなナンバー「CAMEO」が披露され、火花の演出も相まってステージ上に広がる世界観がクールかつ力強いものに一変した。
最初のMCに移ると、齊藤は「本当に今の今まで実感がなかったんですけど、出てきたときにみんながペンライトをピンク色にしてくれて、その瞬間に『私、今日卒業するんだ』と思いました。こんなにたくさんの方に集まっていただけて、私と=LOVEのことを見ていただけて本当に幸せですし、最後まで思い出を作りたいと思います」とコンサート本番を迎えた心境を言葉に。メンバーたちは彼女の卒業を惜しみつつ、外の世界へ羽ばたいていく齊藤の取り扱い説明書として、「ご褒美には焼き肉に連れて行ってください」「『かわいいよ』っていっぱい言ってあげてください」と口々に語って盛り上がった。
その後、ライブは齊藤の“やりたいこと”を詰め込んだコーナーに突入する。まず齊藤は=LOVEのプロデューサーを務める指原莉乃のソロデビュー曲「それでも好きだよ」を歌い、さらに齋藤樹愛羅とともにSKE48「狼とプライド」をカバー。“ぴんくえんじぇる”という愛称でファンから親しまれている彼女たちは初期にこの曲をカバーしたことがあり、曲中で2人だけの思い出を語り合った。次に登場した大谷映美里、野口衣織、諸橋沙夏、山本杏奈は厳選した齊藤の写真をバックに「推しのいる世界」を歌う。途中でステージ上段に現れた齊藤は、4人が声をそろえて叫ぶ“ガチ恋口上”を一身に浴び、思わず感極まった表情を見せていた。
続いて大場花菜、音嶋莉沙、佐々木舞香、瀧脇笙古がデビュー当初にカバーした思い出の楽曲であるAKB48「言い訳Maybe」を、当時の懐かしの映像をバックに歌唱。5年間の歩みを意識した構成によって場内にエモーショナルな空気が流れる中、大谷とのユニット曲「わたし、魔法使い」、高松瞳とのユニット曲「流星群」と続けて披露された。「流星群」では齊藤が高松に向けた手紙を読み上げ、「私にとってお姉ちゃんのような存在だった。でも一緒に時を過ごしていくうちに、子供だった私には悩んでいる瞳を支えることができなくて、少し距離が遠くなってしまった時期もあったよね。瞳が休養がすると聞いたときに、たくさんのことを1人に背負わせてしまったんだなとすごく苦しい気持ちになった。私がもっと近くでうまく支えられてたら違ったのかなって」と出会った日からの思い出に触れつつ、「私は瞳がいなかった間、瞳の場所をちゃんと守れてたかな? そして瞳がいない間にすごく実感したの。私は隣に瞳がいることで安心してたんだなって。瞳の笑顔が、大きな笑い声が大好きだってこと」「瞳の笑顔は私の太陽です。これからも心の中でずっと隣にいさせてね」と胸の内を伝える場面も。このサプライズを受け高松は大粒の涙を流し、手紙を読む齊藤も頬を濡らす。感動的な光景をファンがじっと見守る中、2人は見つめ合いながらアカペラで「太陽みたいなその笑顔」「ちょっと怒って拗ねた顔」とお互いのことを歌い、「うまく言えないけど ずっと側にいてくれてありがとう」と絆を確かめ合った。
ユニット曲の終了後、齊藤の「皆さんがいたから、私は“スパークル”でいることができました。これからもずっとずっと君の“スパークル”でいられますように」という言葉とともに披露されたのは、姉妹グループ≠MEの楽曲で、アイドルファンの“推し”に対する心境を描いた「君はスパークル」。曲中、大谷は「アイドルになってくれてありがとう」と齊藤に柔らかい声色で言葉をかけた。これまでの活動、それに伴う葛藤などを振り返るインタビュー映像が上映されたあとは、齊藤がセンターを務める「ズルいよ ズルいね」、齊藤なぎさ&齋藤樹愛羅のダブルセンター曲「いらない ツインテール」が立て続けに披露され、まさに5年間の集大成とも言えるパフォーマンスに。ここまでが齊藤の“やりたいこと”を詰め込んだブロックで、彼女は「みんなが私と目を合わせられるような構成にしました!」とこだわりのポイントを強調した。
ライブ終盤、=LOVEはマフラーを巻いて歌うのが恒例となっているクリスマスソング「僕らの制服クリスマス」、この曲の4年後のアフターストーリーを描いた「The 5th」をきらびやかにパフォーマンス。「スタート!」の曲中にはファンからのメッセージがステージ後方のスクリーンに映し出され、それを目にした齊藤は大きな瞳から涙をあふれさせる。ライブ本編最後の楽曲「探せ ダイヤモンドリリー」では高松が齊藤にブローチを渡すという、ミュージックビデオの伏線を回収する演出が観る者の感動を誘った。
アンコールではこれまでの思い出を詰め込んだ映像を経て、ピンクの鮮やかなドレスを着た齊藤が1人で観客の前へ。「この5年間、短いようで長いようで、やっぱり短かった。完璧でキラキラしたアイドルになりたくて、がむしゃらにがんばってきたけど、私はみんなが思ってくれるほど完璧なんかじゃなかったから、みんなを複雑な気持ちにさせてしまったこともあるかもしれません。でも、これだけは言いたいです。私は=LOVEのことが、ファンのみんなのことが大好きです。アイドルという職業も大好き。本当にアイドルになれて楽しかったし、幸せだった。アイドル齊藤なぎさを見つけてくださって本当にありがとうございました」と感謝と愛をファンに伝えたのち、「今見たこの景色を忘れずに進んでいきたいです。少しわがままかもしれないけど、これからもずっと一緒にいてほしいなと思います。いてくれるかな……?」と問いかけて温かく盛大な拍手を浴びた。そして、ここで齊藤が歌ったのは、指原プロデューサーがこの日のために歌詞を書き下ろしたソロ曲「君だけの花道」。曲中にほかのメンバーもステージに合流し、思いを込めて「遠くにいたって 心は隣よ」と歌い上げる彼女の姿を後ろから優しく見守る。続くデビュー曲「=LOVE」では齊藤の背後に弧を描くように並んだり、彼女と肩を寄せ合ったりしながら歌い、会場をより一層エモーショナルなムードで満たしていった。
客席をバックに記念撮影したあと、齊藤は「君だけの花道」について「最初に歌詞を見たときに大号泣しちゃって。皆さんへのメッセージだったり、指原さんやスタッフさん、メンバーからの私へのメッセージも全部が詰まった曲だなって」とコメント。目に涙を溜めた諸橋から「明日からなぎさがいないと思うと、どうしていいかわからない……」「私に兄弟はいないけど、なぎさのことはずっと妹だなと思ってました。たくさんの愛を私たちに届けてくれてありがとう。5年間お疲れ様でした!」という言葉を受け取ると、メンバーに宛てた手紙を取り出し、「みんなといろんなことを乗り越えて、夢を叶えることができました。でも、1つだけ心残りなことがあります。それは東京ドームに一緒に立つことができなかったこと。これは私からの最後のお願いです。東京ドームに立って、最高の景色を見てほしい」「出会えたのは運命だね。大好きだよ」と微笑みかけた。苦楽をともにしてきた同じメンバーだからこそ言える、愛情のこもったメッセージで10人を感動させた齊藤だが、リーダー山本がサプライズで代読した母親からの手紙に今度は自分自身が涙。家族ならではの愛にあふれた言葉が齊藤を温かく包み込んだ。
ライブがいよいよ終わりに近付く中、=LOVEは山本がセンターを務める「笑顔のレシピ」を歌唱。この曲はメンバーが手を取り合って一丸となり、目標に向かって進むことを歌った決意表明のナンバーで、東京・東京ドームをバックにミュージックビデオが撮影された。メンバーは歌いながら1人ひとりピンクの花を齊藤に手渡し、花束となったそのプレゼントを大事に抱える彼女を円になって取り囲む。そして齊藤の目を見つめ、メンバー同士の絆をつづった歌詞を歌いかけた。
ラスト、齊藤の「みんなに大好きを届けられるこの曲が、ずっとずっと変わらず一番大好きです」という紹介をきっかけに披露されたのは「届いてLOVE YOU♡」。曲中に「アイドル齊藤なぎさを見つけてくれて本当にありがとう。これからもずっと=LOVEのことも、君のことも大好きだよ」と語りかけた齊藤は、「ねぇ ねぇ 教えて! なーたん 今日も可愛い?」と「現役アイドルちゅ~」のセリフを最後にもう一度披露する。それに応えて「可愛いよ」の紙を掲げたファンを見て満足した顔を浮かべると、ピンクのリボンが巻かれたマイクをステージに置き、トレードマークだったツインテールをほどいて退場。スクリーンには「私のことを見つけて 好きになってくれてありがとう。いつまでも大好きです」というメッセージが残され、寂しさと温かさが入り交じる余韻に観客を浸らせた。
dTVでは1月20日18:00から26日23:59までこのコンサートの見逃し配信を実施。3月22日には公演の模様をパッケージ化したライブBlu-ray / DVDが発売される。
=LOVE「~齊藤なぎさ卒業コンサート~ 現役アイドルちゅ~ みんなのこと大好きだよ♡」2023年1月13日 パシフィコ横浜 国立大ホール セットリスト
01. 現役アイドルちゅ~
02. Want you!Want you!
03. Be Selfish
04. Oh! Darling
05. CAMEO
06. それでも好きだよ
07. 狼とプライド
08. 推しのいる世界
09. 言い訳Maybe
10. わたし、魔法使い
11. 流星群
12. 君はスパークル
13. ズルいよ ズルいね
14. いらない ツインテール
15. 僕らの制服クリスマス
16. The 5th
17. 「部活中に目が合うなって思ってたんだ」
18. 青春"サブリミナル"
19. スタート!
20. 探せ ダイヤモンドリリー
<アンコール>
21. 君だけの花道
22.
23. 笑顔のレシピ
24. 届いてLOVE YOU♡
※高松瞳の「高」は、はしご高が正式表記。
リンク
Oh!兄さん @Oshiete23ZZ
=LOVE #イコラブ 齊藤なぎさ |現役アイドル最後のステージ、ツインテールをほどいて卒業
MVの伏線を回収する演出
指原プロデューサーが歌詞を書き下ろしたソロ曲「君だけの花道」
「マイクをステージに置き、トレードマークのツインテールをほどいて退場」
(エモ😭)
#齊藤なぎさ卒業コンサート https://t.co/bnPyI6ZM8N