宮野にとって約3年ぶりのツアーとなった「MAMORU MIYANO ARENA LIVE TOUR 2022 ~ENTERTAINING!~」。彼は11月2日にリリースした7thアルバム「THE ENTERTAINMENT」を引っ提げて、11月22、23日に兵庫・ワールド記念ホール、12月3、4日に埼玉・さいたまスーパーアリーナ、12月24、25日に日本ガイシホールを巡った。本稿では、12月4日に開催されたさいたまスーパーアリーナ公演の模様をレポートする。
開演時間になると、真紅色のゴージャスなカーテンからタキシード姿の宮野が現れるオープニング映像が流れ出す。ラストに花火が打ち上げられる様子が映し出されると、ショータイムの幕上げを告げる映像演出に客席から期待に満ちた大きな拍手が沸き起こった。鳴り止まない拍手の中、堂々とした足取りでステージに登場した宮野は「THE ENTERTAINMENT」でライブの火蓋を切って落とす。「エンタメの力を信じる」「変わってしまった世界の中でも見つけられるものがある」という強いメッセージを込めたこの楽曲を、彼は体を揺らしながらリラックスした表情でパフォーマンス。「ほらついてきてね」「いま 一緒に」と伸びやかに歌い、“宮野真守のエンタテインメント”を表現したライブの世界観へと観客を誘った。
「“MAMORU MIYANO ARENA LIVE TOUR 2022“、ENTERTAINING!」と叫びライブの幕開けを告げた宮野は、そのまま「光射す方へ」「Butterfly」を歌唱。「ZERO to INFINITY」では、まるでステージの覇者であるかのようにカリスマ性を漂わせ、時折客席に向けて手を伸ばすジェスチャーを見せながら、美しくパワフルな歌声で希望の歌を歌い届けた。歌唱を終えた宮野は、最後に両手の指で「∞(INFINITY)」ポーズを披露。貫禄のステージを繰り広げたこのブロックをかわいらしくフィニッシュし、オーディエンスの視線を釘付けにした。日替わり曲が用意されたバラードコーナーでは、2018年にデジタルリリースした楽曲「そっと溶けてゆくように」をパフォーマンス。宮野は壮大でエモーショナルな美声を響かせ、幻想的なムードを作り上げた。
ステージを盛り上げるバンドメンバーとダンサーズ「TEAM MAMO」の紹介セッションパートは、宮野がスマートフォンのムービーカメラを回した状態で行われた。ライブ中に撮影された、彼らの仲の良さが垣間見える臨場感たっぷりの映像は宮野のTikTok公式アカウントに掲載されている。このことについて、宮野はのちのMCで「帰ったらすぐ観て! 動画すぐに上がるから」とウキウキした表情で観客に呼びかけていた。
会場が地元・埼玉であったことから、宮野はMCで地元民ならではのご当地トークに花を咲かせ、給食の献立に関する話題など、ローカルなトピックで大盛り上がり。「埼玉の人、給食でソフト麺出たよね?」と客席の埼玉県民に向けて質問を投げかけると、会場の至るところで白いペンライトが揺れる。その様子を見た宮野は「ペンライト、うどん色で振るんじゃないよ!(笑)」と勢いよくツッコむなど、馴染みのダンサーやバンドメンバーだけでなく観客とも息の合ったやりとりを見せ、場内をアットホームな空気で包んだ。
宮野のライブを象徴するコーナーの1つに、ユーモラスな幕間映像がある。今回のツアーで放映された映像は、ドキュメンタリー仕立てのオープニングでスタート。「雅マモル」や「奥様はマモ」など、宮野がこれまでライブで披露してきた、バラエティ豊かな映像コントの軌跡がプレイバックされる。そうした壮大なオープニングを経て、これまでチャレンジしてきた活動の集大成として制作されたコント映像「MANZAING! GRANDPRIX」がお披露目された。漫才番組を踏襲したこの映像で、宮野は高木俊とともに漫才コンビ「エンターテイナーズ」に扮して渾身のネタを披露。宮野の軽妙なボケと高木のキレのあるツッコミが光るハイレベルなやりとりが展開され、歌って踊れて漫才もできる、“エンタテイナー”としてのキャリアの厚みを見せつけた。
コミカルな幕間映像を経て、宮野は「Beautiful Night」「Question」をメドレー形式で激しくもセクシーなダンスを繰り広げる。そして、その後は息つく間もなくアニメ「うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE」シリーズを彩った楽曲「ジャーニー」「オルフェ」へ。体の中のエネルギーを余すことなく放出するような、全身全霊の歌唱とパフォーマンスで会場の熱狂を煽った。宮野の感情を爆発させるような「オルフェ」の歌唱に華を添えたのは、会場を真っ青に染め上げたペンライト。激しいサウンドに合わせて観客は手持ちのペンライトを寸分の狂いなく上下に振り、宮野の熱気に応えた。
宮野と観客の一体感がいっそう高められたのは「EXCITING!」。ノリのいいリズムに合わせて、ペンライトが規則正しく左右に振られたかと思えば、「because the life's so exciting!」など、宮野が「exciting」というワードを歌うやいなや、観客は手に持つペンライトをクロスし「X」を作り上げる。曲中では、宮野のコールにペンライトの動きで呼応する“コール&レスポンス”も繰り広げられ、観客だけでなく宮野のテンションも最高潮に。一糸乱れぬペンライトの動きを目の当たりにして気分が高まった宮野は、埼玉銘菓の「十万石まんじゅう」に関するコールを投げかけたり、「かなりノリノリで!」「もっともっと!」と客席にシャウトし会場のボルテージを極限まで高めた。
アンコールで再びステージに登場した宮野は、「呼んでくれて、また登場することができました。みんなの声が届きました、ありがとう」とファンに感謝の気持ちを口にする。そして「もっとね、こういう時間をたくさん作っていきたいなと改めて実感しました」としみじみ語りつつ、「握手会とかね! したいよね。握りたいでしょ、これ」と客席に目一杯手を伸ばし、会場の笑いを引き出す。その後は真面目な表情に切り替わり、「宮野真守がこの身一つで、どれだけエンタテインメントを体現できるか、皆さんを楽しませることができるかにチャレンジしてみました」とライブに懸ける強い思いを真剣な眼差しで語った。
告知コーナーでは、4月28日より全国公開される3DCG映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」の話題に。主人公・マリオ役の吹き替えを担当することについて、宮野は「まさかマリオになる日が来るとは思ってなかったよね」と語り、「すごいな、ガンダムにも乗ったし、ウルトラマンにもなった。で、マリオにもなった……。何があるかわからないけど、自分にできることを精一杯がんばってきた結果がこういう未来につながっています。がんばることで思いもよらない世界がどんどん広がっていますね。僕はまったく仕事がない時期とかいっぱいあった。けど、腐ることなく諦めずにいたら道が開けると思うので、僕自身も一生懸命がんばりますし、皆さんも一緒にがんばりましょう!」と温かな眼差しで会場を見渡した。観客からの拍手を一身に浴びながら、宮野は最後に「今日も楽しい時間をたくさん過ごすことができました。宮野のエンタメが皆さんの道標になるように、これからも進んでいきたいと思います」と宣言。ラストソング「MILESTONE」を心地よく歌い上げ、ライブの幕を閉じた。
※高木俊の高ははしごだかが正式表記。
「MAMORU MIYANO ARENA LIVE TOUR 2022 ~ENTERTAINING!~」2022年12月4日 さいたまスーパーアリーナ セットリスト
01. THE ENTERTAINMENT
02. 光射す方へ
03. Butterfly
04. ZERO to INFINITY
05. LAST DANCE
06. EVERLASTING
07. 透明
08. Never Friends ※埼玉公演限定曲
09. そっと溶けてゆくように ※日替わり曲
10. 行こう!
11. メドレー
・Dream on
・Beautiful Night
・Question
・HELLO!
12. ジャーニー
13. オルフェ
14. EXCITING!
15. TEAM
<アンコール>
16. Kiss×Kiss
17. MILESTONE
リンク
楊(やん) @yan_negimabeya
【ライブレポート】宮野真守、3年ぶりの歌って踊るライブツアー!身一つで体現したエンタテインメントの道標(独占カット含む写真10枚 / セットリストあり) https://t.co/fXgBag3NlE