9月に5年ぶりの新作アルバム「Music Restaurant Royal Host」をリリースした藤井。アルバムに収録された楽曲の多彩さに、ロイヤルホストのグランドメニューを連想したという彼は、アルバムタイトルとアートワークでそのロイヤルホストを全面的にフィーチャーし、自身が愛するファミリーレストランとのコラボレーションでインパクト抜群のパッケージを作り上げた。
通常ならばCDショップで行われるであろうリリース記念のインストアイベントも、ロイヤルホストの全面協力のもと、全国各地のロイヤルホスト店舗で食事を楽しみながら作品の世界観を堪能できるというスペシャルな形で行われることに。この日のショーは、11月6日に東京・恵比寿ザ・ガーデンホールでファイナルを迎えたアルバムリリースツアー 「Music Restaurant Royal Host Release Tour 2022」の追加公演として実施。実際に「Music Restaurant Royal Host」のビジュアル撮影が行われた桜新町店が舞台となった。この記事では昼夜2部制で行われた公演のうち、ディナーショーの模様をレポートする。
本格的な冬の到来を知らせるクリスマスツリーが飾られた桜新町店のエントランス。来場者がレストランの中へ一歩足を踏み入れた時点で、藤井のおもてなしは始まっていた。クルーの制服姿で入口の扉のすぐ横に立つ藤井は、「いらっしゃいませ」と丁寧なお辞儀で来客を迎える。入店早々のサプライズにほとんどの人が驚きの表情を見せていたが、あまりに自然な接客にそれが藤井だと気付かない様子の人もおり、藤井はのちのMCで「7人に1人くらいの割合でスルーされていましたね(笑)」と振り返った。
お出迎えを終えた藤井クルーは、すぐにトレーを手に取ってそのままホールへ。背筋を伸ばし、視野を広く保ちながら、慣れた様子で満席のテーブルを順に回ってゆく。ときに桜新町店のクルーたちとアイコンタクトで連携を取る姿も見られ、チームワーク抜群の彼らのてきぱきとした配膳によって、ドリンクとコースの1品目「アボカド&シュリンプサラダ」が観客に次々と提供されていった。
そんな活気あふれるホールに響いた1曲目は、最新アルバム収録曲の「メモリアフロア」。イントロが流れる中でトレーをマイクに持ち替えた藤井は、レジ前に設置された小さなステージに上がると「『Music Restaurant Royal Host』にお越しいただきありがとうございます。最後までどうぞお楽しみください!」と呼びかけて弾むようなボーカルを響かせる。曲の途中からステージを降り、ホールの通路を歩きながら歌声を届ける彼の姿に、観客もフォークを置いてクラップで反応。続く「ムーンライトアドバイス」ではロイヤルホストのクルーも手拍子で楽曲を盛り上げ、2曲目にして店内は温かな一体感に満たされた。
2曲を終え、藤井は「ロイヤルホストでディナーショーをするのが夢で、ここまでやってきました。本当に夢が叶いました」と感慨深げにひと言。そして「私の一番の希望は、ロイヤルホスト自慢のおいしい料理を皆さんに召し上がっていただくこと。なので、どうぞ遠慮なく召し上がってくださいね」と観客に思いを伝えた。また、このショーには観客と一緒に料理を楽しむ“フーディーゲスト”なるゲスト枠も。この日のディナーに招かれたフーディーゲストは
桜新町店の安藤店長に「ちょっと年末のシフトの相談を……」と声をかけられて一旦姿を消した藤井は、相談を終えると料理長のコックコートを着て再びホールへ。ここで彼はロイヤルホストのスーパーバイザー・水野孝哉氏をファンに紹介する。水野氏が参加した話題の番組に触れつつ、藤井は「改めて大きな拍手を!『また絶対ロイヤルホストに行こう』と誓った、そんな放送でしたね!」と言って、観客とともに温かな拍手を水野氏へ送った。そんなやりとりののち、水野氏の口から今回提供されているディナーメニューのおいしさへのこだわりが語られると、藤井は「本当のことを言うと(ツアーが)終わってしまうのが寂しい……」と名残惜しさを全開にして、水野氏のカラオケの十八番だという曲をリクエストする。「藤井隆さんのディナーショーで私が歌うんですか!?」と戸惑う水野氏にフーディーゲストと観客から熱い応援が送られ、藤井と水野氏はこの曲をアカペラで熱唱。大きな盛り上がりの中で、藤井は「これからも末永くよろしくお願いします!」と水野氏に感謝を伝えた。
「オマール海老のクリームスープ~BISQUE~」に「アンガスサーロインステーキ 225g」。次々にテーブルに運ばれるできたての料理をゲストが楽しむ中、続いて行われたのはQ&Aコーナー。川島によるMCのもと「クリスマスの思い出は?」「元気の秘訣は?」など、来場者から集められた質問が次々に藤井へと投げかけられてゆく。「好きな薬味ベスト3は?」という質問が飛んだ際は「(答えるのは)無理です! 自分、薬味命でやらせてもらってるんで」と言いながらも、「3位、しょうが。2位、みょうが。1位は山椒です!」と、自身の愛する薬味を明かした藤井。「生まれてから最初の記憶はなんですか?」という質問に「銭湯で、母の膝の上で逆さまに頭を洗われてたときの景色を覚えていて。1歳頃には自分で洗ってたから、おそらく(生後)9カ月くらいの記憶です」とレアなエピソードを語ったり、「最近のオススメの曲は?」という質問にNewJeansの名前を挙げてファンに紹介したりと、サービス精神たっぷりに自身のパーソナリティを伝えてゆく。「ロイヤルホストクイズ」と題し、藤井が「私の好きなフローズンミールはなんでしょう?」と、「ロイヤルデリ」の中からシーフードドリア、ティラミス、フレンチオニオンスープの3品を挙げたのち「正解は……どれもです!」と笑顔を見せた場面では、川島も「幸せなひっかけ問題でしたねー!」とひと言。一方で「次に共演してみたい人は?」「今後やりたいことは?」といった、未来の活動に関する質問が飛んだ際には「来年のことは……言われへん!」と頑なに答えを渋る藤井の姿に、川島が「おかしいな、なんでも答えますって言ったのに……」と首をかしげるシーンも。軽妙なやりとりを展開しつつ、今後の活動への期待感もしっかりと高めてゆく2人の心地よいトークを、観客も笑顔で楽しんだ。
「DARK NIGHT」でライブが再開すると、藤井は「おしゃべりが過ぎました。ここからディナーショーしてもよいでしょうか?」とファンに呼びかけた。この曲の作詞作曲を手がけた堂島もここでマイクを握ってステージに上がり、2人は顔を見合わせながら息の合ったハーモニーをホールに響かせる。アウトロでは両者譲らぬアグレッシブなアドリブダンスの応酬も繰り広げられ、会場はぐんぐんとヒートアップ。堂島は曲を終えるなり「なんでちゃんと歌ってくれないんですか! 僕が主旋律歌ってる(笑)」と、ハモリを楽しむ藤井にツッコミを入れた。
軽やかなエレクトロサウンドにハンドウェーブの波が広がった「RAIN RAIN RAIN...」、藤井の真摯な歌声がオーディエンスの心を打った「ドライバー」と、次々に彩り豊かな楽曲が提供されてゆくロイヤルホスト店内は、文字通りの“ミュージックレストラン”に姿を変え、ゲストたちは心地よさそうに音楽に身を委ねながら食事を楽しんだ。藤井は直接ステージを観ることができないゲストにも気を配り、何度もフロアを歩いて笑顔を交わしながら、レストランの隅々まで歌声を届けてゆく。「アイリーン」では瑞々しいサウンドと藤井のハイトーンボイスが店内いっぱいに広がり、聴く者の体を揺らした。
ディナーショーを締めくくるナンバーは「ヘッドフォンガール -翼が無くても-」。全力で歌を届けながら、最後まで気配りの行き届いたサービスでゲストをもてなした藤井は「この時を一生忘れません。また皆さんとお会いできるようがんばっていきます」と思いを語り「改めまして、本日の公演を支えてくださったロイヤルホストの皆さんに拍手をお送りください!」と観客に呼びかけた。完璧なオペレーションとスマートな接客でショーを支えたロイヤルホストのクルーたちに温かな拍手が送られる中で、「Music Restaurant Royal Host Tour」は閉幕。終演後も藤井は店頭に立ち、写真撮影に応じながら1人ひとりを見送っていた。
藤井隆「Music Restaurant Royal Host Tour」2022年12月2日 ロイヤルホスト桜新町店 ディナーショー
セットリスト
01. メモリアフロア
02. ムーンライトアドバイス
03. DARK NIGHT
04. 踊りたい
05. RAIN RAIN RAIN...
06. ドライバー
07. アイリーン
08. ヘッドフォンガール -翼が無くても-
メニュー
・アボカド&シュリンプサラダ
・オマール海老のクリームスープ~BISQUE~
・アンガスサーロインステーキ 225g
・英国風パン
・紫芋ラングドシャ(御手土産)
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>藤井は……名残惜しさを全開にして、水野氏のカラオケの十八番だという曲をリクエストする。「藤井隆さんのディナーショーで私が歌うんですか!?」と戸惑う水野氏にフーディーゲストと観客から熱い応援が送られ、藤井と水野氏はこの曲をアカペラで熱唱。
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