今年5月の福岡・マリンメッセ福岡A館公演を皮切りに、全国各地を回ってきたB'z。ツアーは8月11、13、14日の神奈川・ぴあアリーナMM公演でファイナルを迎える予定だったが、稲葉浩志(Vo)が微熱を発症し、新型コロナウイルスの抗原検査で陽性が疑われたためラスト2DAYSが延期となっていた。そこからおよそ3カ月の時を経て実現した振替公演には、チケットを払い戻しせずに保管し続けたファンが集結。B'zは自分たちを信じて待っていたファンにお返しするかのように、サポートメンバーのYUKIHIDE "YT" TAKIYAMA(G)、青山英樹(Dr)、川村ケン(Key)、清(B)とともに終始アグレッシブなパフォーマンスを繰り広げた。
ステージ上部に設置された電光掲示板にて世界各国の都市名と現地時刻が表示される中、空港の雑踏を思わせるSEとともにライブがいよいよ始まることが英語でアナウンスされる。しかし突然機械がバグったような音が鳴り、掲示板には「SYSTEM CHECKING」の文字が。やがてその文字が「ALL SET. ARE YOU READY?」に切り替わると松本孝弘(G)の歪んだギターがフロアを切り裂き、「SLEEPLESS」でライブはスタート。稲葉浩志(Vo)は赤いテーラードジャケットとパンツのセットアップでステージに登場し、さっそくパワフルな歌声を響かせた。1曲目が終わり、稲葉が言葉を発しようとするも松本がギターで遮るというお茶目なやりとりののち、気を取り直して稲葉が「B’zのLIVE-GYMにようこそ!」と来場者を歓迎し、ライブの幕開けを高らかに宣言した。
青山が性急なビートを刻む「Hard Rain Love」を経て、松本によるイントロのギターリフが印象的な「ultra soul」が始まるとオーディエンスのクラップにも力が入る。曲の間奏では清のスラップベースが炸裂し、最後は稲葉が「ウルトラソウル」を3連続でシャウト。ファンもそれに合わせて3回ジャンプしてフロアを揺らした。続く「イチブトゼンブ」では楽器隊が盤石のアンサンブルで奏でる音の波の上を稲葉のハイトーンボイスが華麗に泳ぎ、「愛のバクダン」では太く重厚なブリッジミュートを鳴らすYTと対象的に松本がメロディアスなオブリガードを奏で、曲にアクセントを付けていた。
今回のツアーは8月10日にリリースされたアルバム「Highway X」をフィーチャーしたもので、アルバムについて稲葉は「けっこう時間をかけて作ったので、皆さんもゆっくり聴いていただければと思います」と説明。そしてアルバムの中で最初に制作したという「Daydream」を皮切りに、稲葉がアコースティックギターを手にしてフロアにさわやかな風を吹かせた「山手通りに風」、ジャジーで洒脱なムードの「マミレナ」と、アルバム収録曲が続けて届けられる。また「Thinking of you」では「見送ってくれた人」の歌詞を「待っててくれた人」に変更してファンの心を鷲掴みに。稲葉は「コロナでライブできない時期がありまして、『5 ERAS』という企画で初めての配信ライブをやってみたりして、いろいろ勉強になって楽しかったです」と振り返りつつ、「やっぱり、目の前に皆さんを見て、この空気を吸うと生のライブはいいですね」と顔をほころばせた。
ライブ中盤に届けられた「裸足の女神」では、曲が始まると同時に稲葉がステージからはけ、バックヤードを回遊。そこには今年の夏に全国各地のCDショップに設置され、ファンがメッセージを書き込んだ「Highway X」の文字オブジェが飾られており、稲葉はファンの思いをしっかりと受け止めるように1文字ずつ回りながら歌唱。その様子はリアルタイムでステージ両脇のモニタに映し出されたのだが、カメラのピントがずれてしまうハプニングが。パフォーマンスしている面々は当然そのことに気付くはずがなく、ライブはそのまま進行していった。
川村の流麗なピアノと清のベースのアンサンブル、松本のビブラートを効かせたギターとYTのアコギのアンサンブルが心地いいインストゥルメンタルナンバー「漣 < sazanami >」で会場が海の底にいるかのような深淵なムードで満たされたのち、黒のブルゾンに衣装チェンジした稲葉が「Highway X」をパワフルに歌唱。その後、バンドメンバーの紹介を経て、松本が「マスクして声は出せませんけど、皆さんの気持ちはビシビシ感じています」とファンを気遣う。稲葉も「皆さんと一緒に歌いたいと思って作った曲です。まだ声を出すのは難しいですけど、心の中で歌ってください」と呼びかけ、「YES YES YES」を高らかに歌い上げた。続いて勝ちどきをあげるようなコーラスが印象的な「兵、走る」でライブはラストスパートに突入。そこからシームレスにつながった「さまよえる蒼い弾丸」では、稲葉のロングトーンのシャウトがフロアに鳴り響く。そして「1本のライブ、LIVE-GYMを行えることは奇跡だと気付きました。皆さんが客席を埋めてくれて初めてライブが完成するんです。ライブって本当に尊いものです。その奇跡を実現してくれてる皆さん、スタッフ、本当にどうもありがとう。この『LIVE-GYM 2022 -Highway X-』、ずっと忘れません」と稲葉が挨拶し、本編は「UNITE」で締めくくられた。
アンコールは、ミラーボールが幻想的に場内を照らす中、バラードナンバー「You Are My Best」でスタート。曲が終わると稲葉から「裸足の女神」のパフォーマンスについて語られる。稲葉はカメラマンがドアにぶつかった際にピントがずれてしまったことを説明しつつ、全国のファンが書いてくれたメッセージをしっかり見てほしいと、「裸足の女神」を再びプレイしたいと告げる。ファン思いの行動に会場が沸き立つ中、彼らはこの日2度目の「裸足の女神」を全力でパフォーマンスした。ラストナンバーに選ばれたのは代表曲「ZERO」。稲葉がステージの端から端までダッシュするなどエネルギッシュなパフォーマンスを最後まで届け、ツアーの幕を下ろした。
なおアルバム「Highway X」は12月2日に全曲配信がスタートする。さらに12月14日には、2021年に東京・東京ガーデンシアターで開催したコンセプトライブ「B'z presents LIVE FRIENDS」の模様を収めたBlu-ray / DVD「B’z presents LIVE FRIENDS」がリリースされる。
「B'z LIVE-GYM 2022 -Highway X-」2022年11月27日 ぴあアリーナMM セットリスト
01. SLEEPLESS
02. Hard Rain Love
03. ultra soul
04. イチブトゼンブ
05. 愛のバクダン
06. Daydream
07. 山手通りに風
08. マミレナ
09. Thinking of you
10. 裸足の女神
11. 漣 < sazanami >
12. Highway X
13. COMEBACK -愛しき破片-
14. YES YES YES
15. 兵、走る
16. さまよえる蒼い弾丸
17. リヴ
18. UNITE
<アンコール>
19. You Are My Best
20. 裸足の女神
21. ZERO
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