「置き手紙」は、クラウド型のフォントサービス「Morisawa Fonts」とのコラボレーション楽曲。「魔法の言葉」をキーワードに、思いを伝えたい男女の様子が描かれている。MVは制作をクリエイティブスタジオ・Whatever Co.が担当し、監督を牧野惇が務めた。あらゆる文字のフォントが一覧できる「見本帳」を起点に物語が展開され、77種類のフォントを使用した歌詞が“クラフトモーション“を使った演出で飛び出すという、疾走感あるメロディを際立たせたMVとなっている。
なお特設サイトではVaundy、牧野、クリエイティブディレクター川村真司(Whatever Co.)、「Morisawa Fonts」担当による4者のスペシャル対談も掲載されている。
Vaundy コメント
オファーをもらった時の感想
(モリサワと)関われると思ってなかったんですよ、正直。いつもモリサワフォントを“使う側”だったので、今回は“使ってもらった側”に近いと思っていて。使っていたもの、使っていた会社とか企業と一緒に仕事ができるというのは、やっぱりワクワクしますよね。僕の友達も、知り合いでもデザイナーでも、モリサワと言ったら、「あ~あのモリサワ!?」みたいな反応になるので、そういう意味でも「俺、モリサワと仕事したんだ…!」という気持ちです。
楽曲のこだわりポイント
もともと「置き手紙」という曲を作っていて。ワンコーラスしかなかったので、今回のお話をもらって最終的に完成させたという感じです。なので最初のイメージとは全然違うものになってるんですよ。もちろんこのお話をいただいてから仕上げたので、「ん~このエンドだと普通過ぎてつまんないな」と思って、最初に考えていたエンドからは全く別のものに変えて、不老不死の二人の話になりました。もともとは、もっと平凡な二人の話で、二人がお互いに言葉にできない様子を思い描いていたのですが、それよりもうちょっと言葉で遊んでみたいなと。やっぱり絵本とか本とか、アンリアルを描くものに文字は必要だと思っていて、説明的になるというか。なので、この楽曲はメルヘンである必要があるなと。不老不死の設定になったのは「不死の病」とかパンチラインになる言葉も必要だと思ったのもあります。意外とそういうものがモノづくりには大事だったりするので、ちょっと「ん?」ってなるけど読んでみたら「あぁ~なるほど」ってなるような、第一印象が“良い悪い”じゃなくて、第一印象が“強い”文字が必要だな、というところを意識して、歌詞の中にちょいちょい入れたりしました。
楽曲タイトルの「置き手紙」に込めた思い
実は歌詞で、「綴り切れないよ」って言ってるんですよ。思いを置き手紙にしてるんだけど、結局呼吸するたびに君に伝えたいことがある、それほど伝えたい文字が多くて、置き手紙くらいじゃ収まらないわ、という気持ちを「綴り切れない呼吸の数だけ生えた思いが溢れ育ってた」という歌詞でDメロにあたる部分、サビの部分で歌っています。僕の中では、最後は文字がぐちゃぐちゃになって、「あぁ~もうやめてしまおう」と、「もう思いを伝えずにこのまま終わろう」って、文字にもせずに多分終わるんですよね、この二人は。そこが文字で書くことの儚さに繋がってくるかなと思って。
「置き手紙」というタイトルは、そこまで意味があるわけではなくて、ツールでしかない。第一印象で「置き手紙の話なんだな」と思わせるためのタイトルという感じです。でも、ちゃんと歌詞を読んでみたら、「あれ、もしかしてこれ置き手紙結局いらなかったってオチじゃない?」みたいな。そう思わせるために多分、当初の僕はそれを書いたんだと思います(笑)。
Vaundyにとっての「魔法の言葉」
大事にしていることは「バランス」ですかね。よく言う言葉ではあるけど、すべての事柄バランスで出来ていると思っています。自然はバランスを、調和を取ろうとするみたいな。なんかそういうものが僕の中にもあります。
ただ、魔法の言葉というものはないかもしれない。言葉自体が魔法なんですよね。そもそもみんな言葉を使わずに生まれてきているわけじゃないですか、人間という生き物は。文字って、1番最初のデザインだと思ってるんです。学校とかでもよく文字デザインって究極のデザインだという話をしていて、英語でも日本語でもアラビア語でも、やっぱり文字デザインというのは、僕にとっては人類を繋ぐ、世界中に繋がる魔法だと思っているので、言葉自体が魔法なのかな、と思います。
MVを観る人へのメッセージ
監督の血と汗と涙の結晶をぜひご堪能ください。
MVを見て、「あぁ~すごいかわいい~!」ということだけでなくちゃんと1秒ごとに注意深く見てみればみるほど発見がある、本当に見応えのある作品です。
Yumiko Yamaguchi @clione
"あらゆる文字のフォントが一覧できる「見本帳」を起点に物語が展開され、77種類のフォントを使用した歌詞が“クラフトモーション“を使った演出で飛び出すという、疾走感あるメロディを際立たせたMVとなっている。" https://t.co/NUETMM1HSd