「2022 fromis_9 concert『LOVE FROM.』IN JAPAN」は、fromis_9にとって日本での初単独公演。2020年3月に東京と大阪で行われる予定であった日本での初ファンミーティングが新型コロナウイルスの影響で開催が見送られた背景もあり、今回のライブはfromis_9とflover(fromis_9ファンの呼称)の双方にとって記憶に残る1日となった。
定刻を過ぎた頃、レトロな世界観のオープニング映像がステージに映し出される。映像の中でメンバーたちが1人ひとりクローズアップされるたびに大きな拍手が起こり、会場が期待感で満ちていく。その後は紗幕越しにメンバーのシルエットが浮かび上がり、ジャジーなピアノサウンドで始まる「Somebody to love」でライブがスタート。ムーディな雰囲気でのライブの幕開け後にはステージ中央にセットされた大きな扉が開き、ブルーの照明に照らされたfromis_9が姿を現した。そのまま、彼女たちはグループの原点とも言えるプレデビュー曲「Glass Shoes」をエモーショナルに歌い踊る。曲のラストに火花が打ち上げられたり、続く「DM」ではHA YOUNGが歌声を高らかに響かせる楽曲のクライマックスで金テープが発射されたりと、ライブ冒頭から華やかな演出が次々と繰り出され、会場のボルテージを急上昇させていた。
日本でのファンミーティングが中止となった当時の心境を振り返りつつ、キャプテンのSAE ROMは「2年半待ってくれたfloverの皆さんに伝えたい言葉があります。……flover、本当に会いたかったです」と客席をまっすぐ見つめる。ほかのメンバーたちもワクワクした表情を浮かべながら日本のfloverと対面できた喜びを噛み締めていた。なおこの公演では“ホワイト”というドレスコードが設けられており、会場のfloverの多くは白色の洋服を身にまとっていた。そんな客席を見たSAE ROMは「私たちもホワイトの衣装です! カップルです!」と大喜び。うれしそうに微笑む彼女の姿を目の当たりにしたfloverたちもまた笑顔になり、会場がアットホームな空気感に包まれた。
MCでは、来日公演ではお決まりの「日本でやってみたいこと」という話題に。「USJ! 『ハリー・ポッター』のファンです(JI WON)」「私は散歩したい(SEO YEON)」などの回答が挙がる中、「ディズニーランドとかジブリ(美術館)に行きたいです」とHA YOUNGが答えると、CHAE YOUNGがすかさず「ジブリソング、できますか?」とリアクション。するとHA YOUNGは「ちょっと長いんですけど……」と前置きしつつ、来日公演のために練習してきたという「千と千尋の神隠し」のテーマソング「いのちの名前」をアカペラで歌唱した。彼女の美しく伸びやかな歌声にはfloverのみならずメンバーたちもうっとりしており、CHAE YOUNGは「私は映画の内容はわからないんですけど、今の歌を聴いたら映画を観たような気分になりました!」とユーモアたっぷりに絶賛した。
また公演中には、メンバーがfloverとアイコンタクトを試みるコーナーも繰り広げられた。ここでは「私がやります!」とトップバッターに名乗り出たJI SUNが勇ましい声色で、SEO YEONはメンバーからのリクエストに応え“壁ドン”のジェスチャーとともに「大好き」「愛してる」とそれぞれfloverにラブコールを送るなどして、会場を大いに盛り上げていた。
「WE GO」「LOVE BOMB」などの人気ナンバーがパフォーマンスされたあとには、「FLY HIGH」をJI WONとHA YOUNG、「Love is Around」をCHAE YOUNGとSAE ROMとHA YOUNG、「Hush Hush」をJI SUN、NA GYUNG、SEO YEON、JI WON、JI HEONが歌い踊るユニットコーナーへ。「Hush Hush」に続き、レトロなセットの中で披露された「Cheese」では、メンバーそれぞれが自撮り棒やチェキカメラを手に取ってじゃれ合いながらパフォーマンス。最新曲「Stay This Way」ではJI SUNのキリングパート「하늘 위로 Fireworks」で客席のペンライトがひときわ大きく揺れ、真っ赤なカーテンの映像を背にドラマチックにパフォーマンスされた「Feel Good (Jazz Ver.)」では場内が高揚感に包まれていた。会場を埋め尽くすfloverのペンライトを見て感激したHA YOUNGは、のちのMCでOfficial髭男dismの「Pretender」のメロディに乗せて「flover、きれいだ」と自らの歌声で喜びを表現していた。
アンコールでメンバーが再び登場すると、floverたちの手には「どんなときでも一緒だと約束しよう」と韓国語で記された紙のスローガンが。メンバーたちはスローガンで埋め尽くされた会場を温かな眼差しで見渡しながら「Blind Letter」をしっとりと歌い上げ、観客をときめかせる。「日本のコンサート、夢みたいです。夢に一歩近づいた気がします」と目を輝かせたHA YOUNGは、floverに向けて「きれいです、かわいいです、カッコいいです、好きです……(floverには)きれいな言葉だけを伝えたいです。本当に幸せでした」と柔らかな表情を向け、JI WONは「今も私、ワクワクしています。日本での初コンサートを長い間待っていました。ドキドキしながら準備しましたが、皆さんと直接会って1人ひとり目を合わせることができて……すごく幸せな時間でした」と感慨深げに振り返る。SAE ROMは「floverの瞳の輝きはペンライトよりもキラキラしてました。これからもfloverに会えるようにがんばります、ずっとずっとよろしくお願いします!」と笑顔を弾けさせ、JI SUNは「今日は寒いのに会いにきてくれて本当にありがとうございます。これからももっともっと会いましょう!」、NA GYUNGは「今日は寒いので、風邪をひかないように気を付けてくださいね」とfloverを気遣った。
SEO YEONは「次はもっと大きな会場でたくさんのfloverに会えるように、もっと努力するfromis_9、SEO YEONになります」と力強くコメントし、CHAE YOUNGは「今の私みたいに、floverにとっても今日が幸せな時間でありますように。またすぐ会いましょう、大好きよflover」と優しく微笑む。自身の思いを伝えるべく、floverに向けて用意した手紙を読み上げていたのは最年少のJI HEON。「2年半会うことができなかったので、実は日本で公演をすることが決まったときは『私たちのことを忘れていないかな』『この会場を埋められるかな』と、とても心配していたんです。でも、こんなにも長い間私たちのことを待っててくれて、会場をいっぱいにしてくれて、応援してくれて……。この感謝の気持ちをどうやって伝えたらいいのかわかりません」と思いを明かすと、会場からはすすり泣きの声が。続けて彼女が「いつもは別々に暮らしている1人ひとりが、fromis_9とfloverとしてここに集まって感情を共有できることは本当に特別なことですよね。こんな貴重な経験ができてとても幸せです」と読み上げ眩しい笑顔を見せると、floverから温かい拍手が送られた。
オーディエンスとのコミュニケーションを楽しんだ「Mulgogi」のパフォーマンス後、fromis_9は「floverのおかげで幸せでした!」「ありがとね!」と徐々に閉じられていく扉の隙間から顔を覗かせ別れを惜しむ。扉が完全に閉じられたことでライブが終幕したかと思われたが、間髪を入れずに扉が再び開き、彼女たちは「Think of You」でパフォーマンスを再開。思わぬサプライズに、floverたちの熱気は最高潮に達した。そんな客席に向けて、JI WONは「めっちゃめちゃ愛してます!」、SEO YEONは「めーっちゃめちゃ楽しかった!」、CHAE YOUNGは「めっちゃめっちゃチンチャ幸せです! またね!」などとメンバーそれぞれがfloverに負けず劣らずの大きな愛を届け、初めての日本単独公演を締めくくった。
fromis_9「2022 fromis_9 concert『LOVE FROM.』IN JAPAN」10月7日 立川ステージガーデン セットリスト
01. Somebody to love
02. Glass Shoes
03. DM
04. FUN!(JPN ver.)
05. Miracle
06. Starry night
07. 0g
08. WE GO
09. LOVE BOMB(JPN ver.)
10. Airplane Mode
11. FLY HIGH(JI WON、HA YOUNG)
12. Love is Around(CHAE YOUNG、SAE ROM、HA YOUNG)
13. Hush Hush(JI SUN、NA GYUNG、SEO YEON、JI WON、JI HEON)
14. Cheese
15. Up And
16. Stay This Way
17. Feel Good(Jazz Ver.)
18. Escape Room
19. Rewind(D.B Ver.)
20. Blind Letter
21. Mulgogi
22. Think of You
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fromis_9がfloverと交わした約束、2年半越し初の単独公演は笑って泣いて「チンチャ幸せ!」 https://t.co/ltZx2hE1SY