結成33周年のフラワーカンパニーズ、雨の野音で繰り広げた“ゾロ目づくし”のワンマンライブ

フラワーカンパニーズのワンマンライブ「ゾロ目だョ全員集合！～フラカン33年、野音99年～」が9月23日に東京・日比谷公園大音楽堂（日比谷野音）で開催された。

「ゾロ目だョ全員集合！～フラカン33年、野音99年～」はフラカンにとって約5年ぶり8回目となる日比谷野音でのワンマンライブ。この公演で4人は、ライブ定番のナンバーから最新アルバムの収録曲まで新旧織り交ぜた楽曲をパフォーマンスした。

あいにくの雨天に見舞われたこの日の野音公演。細々とした小糠雨から雨脚は強くなる一方だったが、会場にはフラカンのライブを待ち焦がれる人々の熱気が充満していた。そんな期待感に満ちたムードの中、ハンドクラップの音に迎えられて、鈴木圭介（Vo）、グレートマエカワ（B）、竹安堅一（G）、ミスター小西（Dr）の4人が登場。1曲目「夢の列車」でライブの火蓋を切って落とした。鈴木が吹き鳴らすハープの音に竹安がブルージーなギターの音色を合わせ、やがてマエカワと小西が作り出すビートが加わる。1曲目から10分近くにおよぶ白熱した演奏が繰り広げられ、観客は力強さのみなぎるパフォーマンスに釘付けとなった。その後、最新アルバムより「行ってきまーす」がパフォーマンスされると、観客は拳を高く掲げ、全身で4人の演奏を堪能。3曲目「揺れる火」からは鈴木の動きも徐々に大きくなり、視覚と聴覚の両方で楽しめるような、ダイナミックなパフォーマンスが繰り広げられた。

MCで鈴木は、今回の公演がフラカン結成33周年、日比谷野音開設99年という“ゾロ目づくし”の公演であることに触れ、「こんな“ゾロ目づくし”のライブは奇跡です。皆さんは今、奇跡に立ち会っています」と語る。「ひさしぶりの曲をやります」という言葉に続けて披露されたのは、25年前に発表された6thシングルの表題曲「ヒコーキ雲」。鈴木がアコギを奏でながら軽やかな歌声を届け、サビの「振り向いてピース」というフレーズでは、観客が掲げるピースサインで客席が埋め尽くされた。その後も、50代とは思えないようなアグレッシブなパフォーマンスが繰り広げられた「パンクはうまく踊れない」や、鈴木曰く“ラップデビュー”を果たしたという最新アルバムの収録曲「借りもの競走」が披露され、結成33周年のベテランバンドらしからぬフレッシュさと活気に満ちた演奏が野音中に響き渡った。

あっという間に10曲以上を演奏した4人は、ライブ中盤で代表曲「深夜高速」を披露。すっかり暗くなった日比谷の夜空に、力強い演奏と歌声を放ち続ける。鈴木によるアコギの音色が感傷を誘う「少年」では、マエカワ、竹安、小西のコーラスも加わり、一体感が作り上げられていった。その後メンバー紹介を経て、鈴木は「今のフラワーカンパニーズめちゃくちゃいいんですよ。すごくいいアルバムができたし、今すごく調子がいいから、過去のこととか気にならなくなっちゃうんだよね。今の状態がいいから、過去のこともオセロみたいに塗り替えられちゃう」と、結成33周年にしてフラカンというバンドが絶好調であることをうかがわせる。そしてライブは、マエカワの「フラカン33年、野音99年、友達100万人！」という言葉を合図に「友達100万人」に突入。「恋をしましょう」では客席中のオーディエンスが左右に手を振り、会場中が1つになった。そして4人は「まずはごはんだろ？」「マイ・スウィート・ソウル」をたたみかけ、鈴木はときにヘッドスライディングをするなど、エネルギッシュなパフォーマンスで観客を魅了。本編ラストに4人は「夜明け」を披露し、アウトロで激しい轟音を響かせてステージを去って行った。

アンコールの拍手に応えて4人は再びステージに登場。鈴木は「やっぱり生のライブが一番いいね。これは越えられないな。生のライブにはウソがないからね。この喜びが欲しくて、33年続けてきました」とライブへの熱い思いを語る。その後彼らは「見晴らしのいい場所」「プラスチックにしてくれ」をパフォーマンス。「プラスチックにしてくれ」では、竹安がステージ前方に踊り出てギターを歪ませ、マエカワが縦横無尽に動き回りながらベースを奏でる。そしてラストにフラカンは「サヨナラBABY」を演奏。いつの間にか雨の上がった野音の客席から、ステージに立つ4人に向けて観客が大きく手を振り、大団円で野音公演の幕が下りた。

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