「もっと素敵な景色を見るために」原因は自分にある。確かな成長示した初の5都市ツアー完走

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原因は自分にある。の全国ツアー「ワンマンライブ げんじぶ空間:case.4」が、本日9月24日に大阪・Zepp Nambaでツアーファイナルを迎えた。

「原因は君にもある。」のパフォーマンスの様子。(撮影:米山三郎)

「原因は君にもある。」のパフォーマンスの様子。(撮影:米山三郎)

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原因は自分にある。(撮影:米山三郎)

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「ワンマンライブ げんじぶ空間:case.4」は、9月4日の福岡・Zepp Fukuoka公演を皮切りに、全国5会場で9公演が行われたツアー。5都市を巡るツアーはグループにとって過去最大規模のものとなる。7人は、2023年1月に神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールという大きなホールでワンマンライブを実施することが決まっており、今春に実施した音楽ナタリーのインタビューで、杢代和人は「そこ(パシフィコ横浜)に立てるようなパフォーマンスをしていくことが秋ツアーでは一番大切だと思っています。そこから冬、来年と、次のステップをより大きなものにしていきたいので、ホントに超えるべき壁というか、秋ツアーは僕らの中で大きなものになると思っている」と思いを語っていた。その杢代は現在出演中の「仮面ライダーギーツ」撮影のためツアーに参加することが叶わなかったが、彼と同じ思いを胸に抱く大倉空人、小泉光咲、桜木雅哉、長野凌大、武藤潤、吉澤要人の6人は、春に行われた前ツアー「げんじぶ空間:case.3」からさらに進化した姿を観測者(原因は自分にある。ファンの呼称)に示すべく、全9回のライブに臨んだ。この記事では9月9日、10日に行われた東京・Zepp DiverCity(TOKYO)公演から、10日の第1部の模様を中心にレポートする。

原因は自分にある。(撮影:米山三郎)

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開演時刻を迎えると、ステージ全体を覆う紗幕にはモノクロの映像が投影される。映像の中でジャケットをまとい、静かに観測者の前に立つ準備を進める7人。身支度を整え、横1列になった彼らの大きなシルエットが実際にステージに立つ6人の姿にフォーカスした瞬間、「貴方に溺れて、僕は潤んで。」の象徴的なギターリフが「げんじぶ空間:case.4」の幕開けを告げた。8月にリリースされたばかりの同曲は、メンバーと同世代のクリエイター・izkiが提供したナンバー。喪失の予感から“灰色に潤み、枯れていく”主人公の心象風景がそのまま投影されたような鈍い色合いのリリック映像が紗幕に踊る中、幕の奥の6人はやりきれない思いを歌声に乗せ、情感豊かなパフォーマンスを観客に届ける。音源とは異なる力の入れ方で歌に表情を与える桜木や吉澤の表現からは、このライブにかける思いの強さがにじんだ。“燻んだ藍色の世界”がオレンジ色の光に染め変えられると、続く「黄昏よりも早く疾走れ」へ。1曲目と同様、力強いギターサウンドが牽引するこの曲で、楽曲の疾走感のままにパワフルな歌とダンスを見せて勢いを加速させる6人。吐き捨てるように自身のパートを歌い、アドリブで笑い声を上げる大倉の振る舞いが、オーディエンスの楽曲への没入感を深めてゆく。“失われた青春”をポエトリーリーディングで表現する3曲目の「灼けゆく青」では、2段構えのステージセットの壁面をなすLEDビジョンに歌詞が浮かんでは消え落ちる。スポットライトに照らされた6人はうごめく感情を内に秘めた静かな語りで観測者を楽曲の世界観に引き込んでみせた。

武藤潤(中央)(撮影:米山三郎)

武藤潤(中央)(撮影:米山三郎)[拡大]

紗幕の向こう側、斜陽のムードを感じさせる3曲でスタートした“げんじぶ空間”は、続く「嘘から始まる自称系」でカラフルに景色を変える。イントロで幕が切って落とされ、4曲目で初めてその姿をはっきりと現した6人は、モノトーンのジャケットを翻しながら力強いダンスパフォーマンスを繰り広げた。曲を終えて自己紹介を済ませると、長野は「観測者の皆さまのお陰で、初の5大都市ツアーを開催することができました!」とファンに感謝。このMCで、6人は新曲「貴方に溺れて、僕は潤んで。」についてのトークを繰り広げ、長野は「タイトルがいつも通り長い!(笑) なので、みんなで略称を決められたら」と提案する。小泉が「僕と雅哉で考えたのは『潤(じゅん)』!」と言うと、武藤は「『僕潤(ぼくじゅん)』だと、ただの(自分の)自己紹介になっちゃうから!(笑)」とひと言。結局MCの時間だけでは略称が決まりきらず、武藤は「皆さんの声、お待ちしてます!」と観測者に語りかけていた。

左から小泉光咲、武藤潤、長野凌大。(撮影:米山三郎)

左から小泉光咲、武藤潤、長野凌大。(撮影:米山三郎)[拡大]

巧みな演出を駆使しながら“げんじぶ空間”のショーアップされた世界観を聴衆に提示する側面の強かったこれまでのツアーと比べ、メンバーが観測者を自分たちのパフォーマンスに積極的に巻き込んでゆくシーンが随所に見られた「case.4」のライブ。桜木が元気な煽りでフロアを温めたあとに始まったEDMナンバー「0to1の幻想」では、パワフルな四つ打ちのリズムに合わせてメンバーがクラップを求め、大倉は「Zepp踊れ!」と叫び声を上げる。間奏パートでは、LEDビジョンに映し出された流動的なグラフィックと動きをシンクロさせた6人のパワフルなダンスブレイクも観測者の目を奪った。また、杢代の歌唱パートは基本的に彼の歌唱音源が使用されていたが、続く「青、その他」では歌い出しの杢代のパートを武藤がフォロー。ステージ上段と下段に3人ずつ並んだメンバーの背後には青空が映し出され、6人でステージに立つこのツアーならではの演出構成が披露された。全員がステージ上段に並び、軽快なステップを踏んだ「In the Nude」では、センターに立った吉澤が手足の先まで意識の行き届いた優雅な足上げで聴衆を魅了。そのまま「Joy to the world」へと展開すると、今度は小泉が「まだまだ僕たちと盛り上がっていきましょう!」と観測者を盛り上げ、6人はブラスとピアノが踊る洒脱なブルーノートの旋律に乗って息の合ったダンスパフォーマンスを見せた。

原因は自分にある。(撮影:米山三郎)

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ぐんぐんと温まってゆくフロアを楽しげに見つめる6人は、続く「ネバーエンドロール」でも「クラップー!」とファンに呼びかける。さわやかなサウンドに乗せて甘く切ない思いを歌い上げるこの曲で、大倉と桜木は2人でハートマークを作って「好きだー!」と声を合わせた。するとメンバーの後ろのビジョンから緑色の輝きが放たれ、その輝きの向こう側からは杢代の姿が。映像での登場となった杢代を見るなり、6人は「和人ー!」「和人、なんか大きくない?(笑)」と次々に声を上げ、“7人”でにぎやかにラストサビを歌い上げた。

原因は自分にある。(撮影:米山三郎)

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曲を終えると、ステージ上の6人も映像の世界へ飛び込み、ビジョンの中でソロダンスリレーを展開。観測者が7人の楽しげなやりとりに熱い眼差しを送っていると、メンバーは前ツアー「げんじぶ空間:case.3」で初登場したキュートなアバターに姿を変える。このアバターたちが、淡い色合いのカジュアルルックに着替えた6人を再度ステージに呼び込んで始まったのは、今回のツアーで初披露された新曲の「チョコループ」。この曲は甘くほろ苦い恋心をまっすぐに歌い上げるエレクトロポップで、6人は自身のアバターとにぎやかに戯れながら、軽やかに歌声をつないでゆく。小泉の透明感のあるボーカルや大倉の見せるキュートな表情がビタースイートな物語を立体的に描き出す中、メンバーはキャッチーな手振りでサビを歌い踊り、弾けるような笑顔を客席に向けた。

アバターと共演する大倉空人。(撮影:米山三郎)

アバターと共演する大倉空人。(撮影:米山三郎)[拡大]

ライブ後半を前に設けられた2度目のMCタイムで、大倉は今回のツアーを「これまでのツアーの集大成」だと表現した。紗幕を使ったオープニングは「case.1」の演出を踏襲したものであることを説明した彼は、「case.2」から導入された大きなLEDビジョン付き舞台セット、「case.3」で登場したメンバーのアバター……と、過去のツアーの演出の見どころだった要素を「case.4」のステージに凝縮していることを観測者に伝える。加えて長野は「今回は、LEDが動いちゃいますからね!」と、パワーアップしたポイントもしっかりとファンに伝え、1歩1歩ステップアップしてきたこれまでの歩みをしっかりと噛み締めた。また、9日の公演では、緑色のきらめきの中から登場した杢代についてのトークに花を咲かせた6人。「ネバーエンドロール」で使用された映像の撮影でひさびさに杢代と会ったメンバーは、喜びのあまり「俺が一番和人のこと知ってるぞ選手権」と題した予想ゲームで盛り上がったという。杢代が今食べたい物と飲みたい物を当てるこのゲームで優勝したのは長野で、このエピソードに武藤は「俺らここまで仲良くなったんだなあ。すごいよなあ……」としみじみつぶやいていた。

「半分相逢傘」の小泉光咲と大倉空人。(撮影:米山三郎)

「半分相逢傘」の小泉光咲と大倉空人。(撮影:米山三郎)[拡大]

「半分相逢傘」のセリフパートを担当した長野凌大。(撮影:米山三郎)

「半分相逢傘」のセリフパートを担当した長野凌大。(撮影:米山三郎)[拡大]

「げんじぶ空間:case.4」の見どころの1つとして用意されていたのは、公演ごとの日替わり曲のコーナー。「ギミギミラブ」が披露された東京公演初日に続く2日目の第1部では、曲振りを担当した桜木が「昨日は『以呂波』をやって……あっ!(笑)」と、誤って曲名をフライングしてしまうというハプニングもありつつ、6人は「以呂波 feat. fox capture plan」で美しく幽玄な世界観を描き出した。そして、桜木が「僕たちの世界、楽しんでください。最後までよろしく!」と呼びかけると、「結末は次のトラフィックライト」でライブは佳境へ。映像や舞台装置を多用したライブの前半パートとは対照的に、LEDビジョンにはカメラがリアルタイムで捉えたメンバーの表情が映し出され、彩り豊かな1曲1曲に全力を注ぐ6人の覇気がダイレクトに観測者へと伝わってゆく。9日の公演でこれまでの歩みを振り返った大倉が「デビュー当初はピアノロック調の曲が“げんじぶらしさ”だったけど、新曲が出るたびに自分たちらしさの幅が広がっていることがうれしい」と口にしていたが、「シェイクスピアに学ぶ恋愛定理」でさわやかな風を吹かせた直後に「半分相逢傘」を置く流れは、大倉の言葉をそのまま体現するようなハイライトに。滑らかに交差する無数のサーチライトに照らされた6人は、情感をたっぷり込めた歌とダンスで“報われない2人”の危うい恋愛模様を浮かび上がらせてゆく。6人が3組のペアになって体を寄せ合うダンスアレンジも観測者の声にならない悲鳴を誘う中、小泉が担当している間奏のセリフパートは、公演ごとに異なるメンバーが担当。前日の桜木に続き、10日の第1部は武藤、第2部は長野がセンターに立ち、ビジョンに映し出された女性のシルエットに向かって放つ「俺のこと好き? え、俺?……どっちでもいいでしょ」というそっけない言葉で、観測者の心を撃ち抜いていた。

原因は自分にある。(撮影:米山三郎)

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華やかなビッグバンドの音色がステージ上の景色をがらりと変え、「夢に唄えば」で息の合ったラインダンスを披露した6人。無数のネオンサインがビジョンに映し出される中、武藤は満面の笑みを浮かべながら心躍る豊かな歌声を響かせた。そして、曲を終えるなり観測者と向き合った長野は「OK、ここからはもっとクラップ聞かせて!」と聴衆に呼びかけ「前はダイバーシティの外で……今はここ、Zeppで(ライブ)やってます!」と叫んだ。ダイバーシティのガンダム前広場でリリースイベントを行っていた3年前のデビュー当時からの確かな進化を噛み締めながら6人が届けたのは、デビュー3周年のタイミングで観測者への感謝を込めて制作された「原因は君にもある。」。メンバーは3年の時を経て何倍にも大きくなったステージの上で生き生きと躍動し、大倉の「皆さん一緒にお願いします! もっともっといけますよね!?」という呼びかけに応じた観測者の手拍子で、会場は大きな一体感に包まれた。勢いのまま本編ラストの「原因は自分にある。」へと展開すると、武藤の力強い歌声に合わせてメンバーも観測者も交差した腕を何度も高く挙げ、ほとばしるような熱狂の空間を作り上げていた。

観測者に手笛を聴かせる武藤潤(左)と、マイクフォローする吉澤要人(右)。(撮影:米山三郎)

観測者に手笛を聴かせる武藤潤(左)と、マイクフォローする吉澤要人(右)。(撮影:米山三郎)[拡大]

「嗜好に関する世論調査」でスタートしたアンコールで語られたのは、今回のツアーに臨む6人が1つひとつのステージに懸ける、真摯な思い。「いろんな目標を立てて今回のツアーに臨んだ」と明かした大倉は「昨日の公演ももちろん楽しかったけど、まだまだ甘いなと。僕たちは、まだまだ成長できるなと思いました。7人グループとして、もっと大きい舞台で、もっと素敵な景色を見るために。1公演1公演新しいことに挑戦していって、また1つ大きくなれるように成長していきたいと思います!」と誓う。この言葉を聞いた長野も「空人の言うように、僕たちは進化を止めずに進んでいきます!」と力強く約束。2人が口にしたまっすぐな思いを、観測者は熱い眼差しで受け止めた。

「ジュトゥブ」でサプライズ登場した杢代和人をお姫様抱っこする吉澤要人(中央)。(撮影:米山三郎)

「ジュトゥブ」でサプライズ登場した杢代和人をお姫様抱っこする吉澤要人(中央)。(撮影:米山三郎)[拡大]

小泉光咲(撮影:米山三郎)

小泉光咲(撮影:米山三郎)[拡大]

「最後の曲は、とてもエモい曲になっていると思うんで……」と、小泉が“泣きマネ”でおどけながら曲振りをしたラストナンバーは、げんじぶの楽曲群の中でも屈指のキュートさを誇るラブソングの「ジュトゥブ」。吉澤が自身のパートの前に一旦舞台裏にハケたのちに再登場すると、そこにはアンコールスタート時から舞台裏に姿を消していた桜木の姿も。長野のハグやメンバーの笑顔に迎えられた桜木は、長野の「いけー!」という言葉を受け、瞳いっぱいに涙を溜めながら自身の決めパートを務め上げた。また、この「ジュトゥブ」では、杢代のキメ顔と変顔が両面プリントされたうちわを吉澤が手に持ちながらパフォーマンスするのが今ツアー恒例となっていたが、10日の第2部では撮影スケジュールの合間を縫って急遽会場に駆けつけた杢代本人がステージに飛び出すサプライズで、6人と観測者を笑顔にした。

桜木雅哉(撮影:米山三郎)

桜木雅哉(撮影:米山三郎)[拡大]

パシフィコ横浜という大舞台へ向け大きな1歩を踏み出すために、これまでの歩みの集大成を見せる“げんじぶ空間”を作り上げたメンバー。曲を終え、「皆さん、目を合わせましょう!」と観測者1人ひとりと丁寧に挨拶をした彼らは「幸せな時間をありがとうね!」と何度も感謝を伝えながらステージを降りた。

なお、今回のライブの模様が10月29日(土)よりHuluストアで独占配信されることが決定した。10月30日(日)には、メンバーとライブを振り返るライブTVチャットの配信も行われる。こちらのチケットの販売は、10月11日にスタートする。

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原因は自分にある。「ワンマンライブ げんじぶ空間:case.4」2022年9月10日 Zepp DiverCity(TOKYO) 第1部 セットリスト

01. 貴方に溺れて、僕は潤んで。
02. 黄昏よりも早く疾走れ
03. 灼けゆく青
04. 嘘から始まる自称系
05. 0to1の幻想
06. 青、その他
07. In the Nude
08. Joy to the world
09. ネバーエンドロール
10. チョコループ
11. 545
12. 以呂波 feat. fox capture plan ※日替わり楽曲
13. 結末は次のトラフィックライト
14. シェイクスピアに学ぶ恋愛定理
15. 半分相逢傘
16. 夢に唄えば
17. 原因は君にもある。
18. 原因は自分にある。
<アンコール>
19. 嗜好に関する世論調査
20. ジュトゥブ

原因は自分にある。「ワンマンライブ げんじぶ空間:case.4」日替わり楽曲一覧

9月4日 福岡・Zepp Fukuoka公演

「柘榴」

9月9日 東京・Zepp DiverCity(TOKYO)公演

「ギミギミラブ」

9月10日 東京・Zepp DiverCity(TOKYO)公演

第1部

「以呂波 feat. fox capture plan」

第2部

「犬と猫とミルクにシュガー」

9月19日 北海道・Zepp Sapporo公演

「スノウダンス」

9月23日 愛知・Zepp Nagoya公演

第1部

J*O*K*E*R

第2部

幽かな夜の夢

9月24日 大阪・Zepp Namba公演

第1部

キミヲナクシテ

第2部

藍色閃光

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