花澤香菜“ポーカーフェイスじゃいられないライブ”で大はしゃぎ、歌手活動への思いを語る

花澤香菜のワンマンライブ「HANAZAWA KANA Live 2022 "Pokerface"」が9月10日に東京・なかのZERO 大ホールで開催された。

5月にも同会場でワンマンライブを行った花澤。今回は7月に最新シングル「駆け引きはポーカーフェイス」がリリースされたことを記念し、「ポーカーフェイスじゃいられないライブ」というテーマでライブが展開された。開演時刻を迎えると、北川勝利（G / ROUND TABLE）、山之内俊夫（G）、千ヶ崎学（B）、末永華子（Key, Cho）、多田涼馬（Dr）、毛利泰士（Per, Manipulator）からなるバンド・ディスティネーションズとともに花澤がステージに登場。まずは「青い鳥」「ブルーベリーナイト」の2曲を歌唱し、優しく透き通った声で客席を包み込んだ。会場に集まった観客が手に持つのは、「駆け引きはポーカーフェイス」が将棋部を舞台にしたアニメ「それでも歩は寄せてくる」のオープニングテーマであることにちなんだ将棋の駒型のアクリルプレートライト。その無数の光が花澤の歌とバンドの演奏に合わせてきれいに揺らめいた。

「私はいつもライブではしゃいでしまうんですけど、この服を着てる時点でもうはしゃいでます（笑）」とクリオネをイメージさせる白の衣装をアピールしつつ、ジョイマンの高木晋哉を思わせる動きでそのはしゃぎっぷりを表現した花澤は、そのテンションを緩めることなく最新アルバム「blossom」の楽曲を披露。80’s感の強いシンセドラムの音が印象的な「Don't Know Why」では客席の頭上でミラーボールが回り、そのきらめきの中でシャボン玉が幻想的に舞った。さらに、自然と体が動き出すようなリズムの「You Can Make Me Dance」や、「駆け引きはポーカーフェイス」のカップリング曲「運命の扉」と続き、場内が心地よい高揚感で満たされていった。その後のMCでは花澤が「最近はしゃいだこと」というトークテーマで、8月に埼玉・さいたまスーパーアリーナで開催されたアニメソングイベント「Animelo Summer Live 2022 -Sparkle-」や、自身の発案で毎年行われている文化放送「花澤香菜のひとりでできるかな?」の“水着回”を愉快に振り返る。また「人生で一番はしゃいだ瞬間」として、小学生のときにとんかつ屋「さぼてん」で数万円の食事券を引き当てた出来事を挙げ、家族から神童のようにもてはやされたことを興奮気味に説明した。

続いて花澤は睡眠をテーマにした「GSSP」など、落ち着いたムードの楽曲を歌唱。アコースティックバーションにアレンジされた「青い夜だけの」では、スモークが漂う中、ステージ上のセットに腰掛けながら柔らかな歌声を届ける。観客も着席した状態でその声に聴き入り、ステージから客席へと伝わっていくウェットな世界観をじっくり堪能した。その空気は自身の“ポーカーフェイス”エピソードを次々に話すMCで再びにぎやかなものに変わり、バンドメンバーの紹介や、観客を巻き込んでのウェーブを曲中に挟んだ「Merry Go Round」を経て熱い一体感を帯びていく。ジャジーなナンバー「LOVE IS WONDER」の終盤、末永がショルダーキーボードを使ってのテクニカルなソロで観客を魅了している間に花澤は一旦ステージから退場。和服風のドレスに着替えて再登場すると、「それでも歩は寄せてくる」の映像をバックに「駆け引きはポーカーフェイス」を披露した。

公演が後半のブロックに突入すると、花澤は疾走感あふれるナンバー「ユメノキオク」、ラップを取り入れた「息吹 イン ザ ウィンド」、ライブの人気曲「We Are So in Love」などをバンドのタイトな演奏とともに休みなく畳みかけていく。終盤のMCで「ここからちょっと真面目な話をします（笑）」と少し照れた様子で切り出した彼女は、「私にとって歌手活動は、私以上でも私以下でもないこの瞬間を見てもらうというすごく贅沢なものなんですよね。普段、アフレコで別な人を演じるっていう、新鮮で難しくて答えのない、でもすごく面白いことをやらせてもらっている中で、歌手活動やみんなの存在は『今の私が正解で最高なんだ』と思わせてくれるんです」とアーティスト活動に対する思いを言葉にし、大きな拍手を浴びた。その後、「恋する惑星」を歌い上げた花澤は、「日々大変なこともあるけど、一緒に生きていきましょうね。いつもみんなのことを応援しています」とファンに向かって語りかける。そして、Twitterに「来てくださる方、あることをお願いするからスマホ充電してきてね」と投稿していたことに触れつつ、スマートフォンのライトを点けてかざすように観客に呼びかけると、まばゆい光に照らされながらデビュー曲「星空☆ディスティネーション」を響かせた。

計19曲を歌い終えた花澤は拍手に包まれながらステージをあとにするも、アンコールを求める拍手に応えて再度観客の前へ。カバーソングプロジェクト「CrosSing」の一環で発表したsupercell「君の知らない物語」のカバーでパフォーマンスを再開した。学生時代から歌い続けてきたという楽曲を無事に披露し終え、安堵の表情を浮かべた花澤は、この日のライブの模様が12月にCS TBSチャンネル1で放送されること、12月10日に東京・山野ホールで初のファンクラブイベント「ディスティネーション学園祭☆」が開催されることを発表。再び盛大な拍手が響き渡る中、「はしゃぎまくろうぜ、みんな！」という呼びかけから「Moonlight Magic」をラストナンバーとして歌い、「ポーカーフェイスじゃいられないライブ」というテーマ通り、会場全体を笑顔で染めてみせた。