「Premium Show」はTWEEDEESが2015年の結成以来、新しいアルバムを完成させるたびに行ってきたライブ企画。できあがったばかりの新作を、発売を待たずにいち早くファンの耳に届けるという趣旨で、いわゆるリリースパーティやアルバムツアーとは違う魅力に満ちたライブとして恒例化している。つまり、このライブが開催されるということは、TWEEDEESが新たなアルバムを作り上げたということ。TWEEDEESはこの時点では未解禁だった4thアルバム「World Record」を引っさげ、2021年春のツアー「Rock’n Roll is DEAD?」以来およそ1年5カ月ぶりのステージに立った。約1時間の2部制で行われた公演のうち、この記事では2部公演の模様をレポートする。
この日のライブは通常客席として使われている会場中央にバンドセットを組んだフロアライブ形式。月見ル君想フお馴染みの満月型スクリーンが設置されたステージにも観客用の椅子が置かれ、360°観客がバンドセットを取り囲む。清浦夏実(Vo)、沖井礼二(B)、そしてサポートメンバーの原“GEN”秀樹(Dr / NORTHERN BRIGHT)、qurosawa(G / POLLYANNA)、亜万菜(Key)は観客の間をすり抜けてフロアの中央に立ち、5人向かい合った状態で演奏をスタートさせた。原の小刻みなハイハットに乗せて沖井のベースが唸りを上げ、清浦の伸びやかな歌声が重なる。1曲目はTWEEDEESの真骨頂と言えるアップテンポなロックナンバーだ。高速2ビートの2曲目では、観客も初めて聴く曲ながらリズムに合わせて手を叩いて盛り上がる。初披露の2曲を終えると、沖井と清浦は「『Premium Show』をやるということは、すなわち作品をリリースする運びとなりました。アルバムタイトルを『World Record』と言います」と笑顔で報告した。そして、アルバム発売に先駆けて9月12日に配信開始となった「ルーフトップ・ラプソディ」の演奏へ。この曲はジャジーな雰囲気を持つワルツで、続けて披露された4曲目もシャッフルビートが心地よいジャジーな楽曲。沖井はトレードマークであるリッケンバッカーのベースを、同じくリッケンバッカーのギターに持ち替えてプレイし、qurosawaはフロアに座ってトイピアノを演奏した。
5曲目に披露された「二気筒の相棒」は、小学館のマンガ誌「ゲッサン」に掲載されている池田邦彦「国境のエミーリャ」の架空のサウンドトラックとして2021年12月に配信リリースされたミニアルバム「国境のエミーリャ」からの楽曲。リリースタイミングではライブを行う機会がなかったため、この曲も9カ月を経ての初披露となった。TWEEDEESはさらにもう1曲、ニューアルバム「World Record」からの楽曲をパフォーマンス。清浦の澄んだ歌声と亜万菜が奏でる優しいエレピの音から始まり、ドラム、ベース、ギターの音が重なると演奏はだんだんと熱を帯びていく。ドラマチックかつエモーショナルな5人の演奏が終わると、会場は大きな拍手に包まれた。ここまで6曲、新曲のみを披露し、ニューアルバムへの期待を高めたTWEEDEES。その後は3rdアルバム「DELICIOUS.」からの楽曲「花束と磁力」も演奏し、さらに最後の1曲では“Premium Show”の名にふさわしい特別な企画を用意していた。清浦が「何かプレミアムなことをしたいと……一昨日ひらめきまして」と説明すると、見合うように立つ5人の視点の中央、フロアのド真ん中にドラムセット用の丸椅子が運ばれてくる。観客の中から1人、ジャンケンで勝利した人に、この“プレミアムシート”でライブを楽しんでもらおうという目論見だ。2部公演ではTWEEDEESの活動を初期から追い続けていたという女性ファンが勝ち上がり、プレミアムシートへと招待される。この日限りのスペシャルな空間で、女性を囲んだ5人は軽快なシャッフルビートの「Rock'n Roll is DEAD?」を演奏し、その周りを囲む観客はTWEEDEESのライブでお馴染みのTWEEDEES国旗を振って最後のナンバーを楽しんだ。
このライブで披露された新曲のタイトルなど、アルバム「World Record」に関する詳細は後日発表。なお、このアルバムは「レコードの日 2022」参加作品として、12月3日にCDと同時にアナログレコードもリリースされる。
沖井 礼二(TWEEDEES、FILTER BOY) @okiireiji
フロアライブ。企画の段階で「楽しそうだな」と思ってたけど、やってみたら想像以上の楽しさだった。
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