“幸せの黄色いスカパラ”が全国駆けたツアーに幕、ALIと飾った有終の美に「音楽がとても必要さ!」

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東京スカパラダイスオーケストラが7月27日に東京・中野サンプラザホールで全国ツアー「TOUR 2022 『BEST OF LUCK』」の最終公演を行った。

東京スカパラダイスオーケストラ(撮影:勝永裕介)

東京スカパラダイスオーケストラ(撮影:勝永裕介)

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4月の神奈川・厚木市文化会館公演を皮切りに全国各地を回った今回のツアーのテーマは、「スカパラファンにサチアレ」。日本中にLUCK(幸せ)を届けるべく、“幸せの黄色いスーツ”に身を包んだ9人は、各地でポジティブな活力に満ちた音を鳴らしてきた。ツアーの終着地点となった中野サンプラザホールにもまた、スカパラと幸せな瞬間を共有すべく、客席を埋め尽くすファンが集結。開演時間が近付くごとに、場内に漂う期待感は高まってゆく。

東京スカパラダイスオーケストラ(撮影:勝永裕介)

東京スカパラダイスオーケストラ(撮影:勝永裕介)[拡大]

開演時刻を迎えると、ステージ上の大きなLEDビジョンに映し出されたのは9人の登場を予告するオープニングVTR。1人ひとりのクールな紹介映像にオーディエンスが総立ちになって反応すると、カウントダウンが0になった瞬間、メンバーがステージへ。黄色のスーツがまぶしい彼らは、「東京音頭」をアレンジしたパーティチューン「SKA! BON-DANCE~We Welcome The Spirits」で、華々しくライブの幕を開けた。

オープニングナンバーを終えるないなや、ステージセンターに躍り出た加藤隆志(G)は「いくぜ!ファイナル東京!」と思い切りギターをかき鳴らして「TONGUES OF FIRE」の口火を切る。舞台上のあちこちで情熱的な演奏を繰り広げる9人の姿にオーディエンスもハンズアップで反応し、客席の熱気はあっという間に沸点に達した。谷中敦(Baritone Sax)のリードによってタオル回しの波が発生した「Glorious」が終わると、谷中は「集まってくれてありがとう! 今回のツアータイトルを『BEST OF LUCK』にして本当によかった」とオーディエンスに笑顔を向け「曖昧な悲しみはすべて喜びで塗りつぶせ! 戦うように楽しんでくれよ!」と、おなじみのキラーフレーズで熱くファンを鼓舞した。

北原雅彦(Tb)(撮影:勝永裕介)

北原雅彦(Tb)(撮影:勝永裕介)[拡大]

茂木欣一(Dr)が「会いたいね、会いたいね……やっと会えたよねー!」と、あふれるほどの喜びを歌に乗せた「会いたいね。゚(゚´ω`゚)゚。」ののち、ライブ前半パートのハイライトとなったのは「トーキョースカメドレー 2022 BEST OF LUCK Special」と銘打たれたメドレーコーナー。9人は「ハプニング」(1994年)、「HURRY UP!!」(1997年)、「Blue Mountain」(1998年)、「SOUL GROWL」(2002年)と、20年以上前に発表されたレアなインストナンバーを連発するだけでなく、「ハプニング」でステージ最前線に躍り出た加藤と川上つよし(B)が接近してしのぎを削ったり、「HURRY UP!!」で北原雅彦(Tb)がスケートボードに乗りながらトロンボーンを吹き鳴らしたり、「SOUL GROWL」ではGAMO(Tenor Sax)のアジテートと北原のトロンボーンによるコミカルなかけあいが披露されたりと、あっと驚くような離れ業や圧倒的な演奏スキルを惜しげもなく発揮するエンタテインメントで聴衆の興奮を誘ってみせた。

茂木欣一(Dr)(撮影:勝永裕介)

茂木欣一(Dr)(撮影:勝永裕介)[拡大]

メドレーを締めくくる「チャンス」で茂木が温かな歌声を響かせたのち、続くMCタイムでは加藤曰く「鉄っちゃん成分多め」な茂木の「終電なんて関係ない! 中野駅の駅長さんに臨時便出してもらうよ。だって俺たち……総武線だよ?」という黄色スーツならではの“名言”に、会場が大盛り上がりする場面も。「曲のテンポは速いけど、心は各駅停車。誰1人乗り遅れることのないライブやっていくんでよろしく!」と約束した茂木は「大好きな中野のために」と、“楽しい夜”が続くようにと願う「世界地図」を中野の夜空へ向けて歌い届けた。

東京スカパラダイスオーケストラとALIのセッションの様子。(撮影:勝永裕介)

東京スカパラダイスオーケストラとALIのセッションの様子。(撮影:勝永裕介)[拡大]

心地よい疾走感で走るリズムの上、ホーンセクションがスケール感あふれるソロでムードをぐっと深めた「暗夜行路」を経て、茂木がMCを務めるトークコーナー「Paradise Radio」にはこの日のゲストであるALIが登場。コートとハットを身に着けて主演ドラマ「渋谷先生がだいたい教えてくれる」の渋谷先生に扮した谷中と共に、ファンのお悩み解決に真摯に取り組んだ。そして、スカパラとALIはここで「渋谷先生がだいたい教えてくれる」のオープニングテーマ「サボタージュ (VS. ALI)」のセッションを披露。ファンクネス全開の絢爛なサウンドを背に受けながら、LEO(ALI / Vo)はアグレッシブなボーカルワークでオーディエンスの心を熱くさせ、「スカパラ最高!」と晴れやかな表情で叫んだ。

「DOWN BEAT STOMP」で肩を組む谷中敦(Baritone Sax)と大森はじめ(Per)。(撮影:勝永裕介)

「DOWN BEAT STOMP」で肩を組む谷中敦(Baritone Sax)と大森はじめ(Per)。(撮影:勝永裕介)[拡大]

大きな喝采とともにALIを送り出し「ここからさらに盛り上がっていこう!」と声をかけ合ったスカパラの面々は、「快哉を叫ぶとき」で9人のステージを再開させる。デビューアルバム「スカパラ登場」(1990年)収録曲で、32年間ずっと変わらずにファンの心を打ち続けてきた名曲「君と僕」は「BEST OF LUCK」仕様のスペシャルアレンジとして、1番の主旋律を沖祐市(Key)の口笛の代わりに北原のトロンボーンが担う形で届けられた。

「Can't Take My Eyes Off You -君の瞳に恋してる-」のパフォーマンスの様子。(撮影:勝永裕介)

「Can't Take My Eyes Off You -君の瞳に恋してる-」のパフォーマンスの様子。(撮影:勝永裕介)[拡大]

続くキラーチューン「スキャラバン」も、NARGO(Tp)が“光る鍵盤ハーモニカ”でイントロを演奏する、このツアーならではの特別仕様に。冒頭、茶目っ気たっぷりな振る舞いでスポットライトを浴びたNARGOは曲の途中で鍵盤ハーモニカをトランペットに持ち替え、アッパーなビートに乗って突き抜けるような音色をホールいっぱいに響かせた。続く「DOWN BEAT STOMP」では客席が揺れるほどの盛り上がりの中、“物販番長”の大森はじめ(Per)がグッズをアピールしながらステージを自由に駆ける姿がファンを笑顔にする。「Can't Take My Eyes Off You -君の瞳に恋してる-」では、NARGOの手でハート型サングラスをかけられた加藤が客席を牽引。ステージ上から放たれる底抜けに明るくハッピーなサウンドに、観客はハート型にした両手をリズミカルに掲げて楽しげに体を揺らした。

「S.O.S. [Share One Sorrow]」のパフォーマンスの様子。(撮影:勝永裕介)

「S.O.S. [Share One Sorrow]」のパフォーマンスの様子。(撮影:勝永裕介)[拡大]

心地よい高揚の余韻がホール内に残る中、次の楽曲を前にステージ上のスクリーンに映し出されたのは、「子供たちの未来を守りたい」「みんなが当たり前と思っている平和が通用しないこの世界を変えたい」「今ここで1人残らず幸せにしたい」という願いの数々。ここで披露されたのは、MAN WITH A MISSIONのTokyo Tanaka、Jean-Ken Johnnyと作り上げた「S.O.S. [Share One Sorrow]」で、ボーカルを担った加藤と大森は力強く真摯な歌声で、“1つの悲しみを共有しよう”と平和を願うこの曲のメッセージをオーディエンスへと投げかけた。アウトロからシームレスに展開したキーボードソロでは、鍵盤と向き合い没入するように流麗な音色を響かせる沖の演奏を誰もが息を飲むように見守る。ベース、テナーサックス、トロンボーン……と音が1つずつ重なってゆき、ミラーボールの光の下で9人が「The Last」で圧倒的なサウンドスケープを描き出すと、聴衆はこの演奏に惜しみない拍手を送った。

沖祐市(Key)(撮影:勝永裕介)

沖祐市(Key)(撮影:勝永裕介)[拡大]

最高潮に達した熱狂に「胸がいっぱいです。これ以上何が言えるんだろう。素晴らしい時間を本当にありがとう」と口を開いたのは茂木。「音楽なんかなくても生きていけるっていう人はいるかもしれない。確かにね。呼吸も食事もできる。でもやっぱりこうやってステージで演奏していると、わかることがある。音楽がないと心が枯れてしまいそうだ。音楽がとても必要さ!」と実感たっぷりに語った彼は「だからこれからもずっと、僕たちを好きでいてくれるみんながいる限り、音楽を奏で続けます。みんなの未来の幸せのために、この曲を届けます!」と、「君にサチアレ」をタイトルコールした。彩り豊かな楽曲の数々と観る者を楽しませるサービス精神に富んだパフォーマンスで、笑顔と幸せを送り続けたスカパラの9人は、本編最後の瞬間まで心弾むアンサンブルを豊かに響かせ、笑顔でステージをあとにした。

LEO(ALI / Vo)と谷中敦(Baritone Sax)。(撮影:勝永裕介)

LEO(ALI / Vo)と谷中敦(Baritone Sax)。(撮影:勝永裕介)[拡大]

ステージ上で記念撮影をする東京スカパラダイスオーケストラとALI。(撮影:勝永裕介)

ステージ上で記念撮影をする東京スカパラダイスオーケストラとALI。(撮影:勝永裕介)[拡大]

止まない拍手に応えてスタートしたアンコールでは、再登場したALIのメンバーとのコラボで「めくれたオレンジ」が届けられた。「どうしてもやりたい曲がある」とスカパラメンバーにこの曲をリクエストしたというLEOは、バンドが鳴らす洒脱なサウンドをエネルギッシュに乗りこなし「幸せをありがとう!」と思いを弾けさせた。再び9人になったステージ上、メンバー紹介の最中には、新たなツアー「Traveling Ska JAMboree 2022-2023」の開催決定の吉報がファンに届けられる場面も。谷中は「これからも冴えまくりポテンシャルで、カウンター上昇気流で幸せつかんでいくぞー!」と、この日リリースされた新曲「Free Free Free feat.幾田りら」のフレーズを引用しながら未来への意欲を叫ぶ。「最後にもうひと盛り上がりするぞ!」というGAMOの声が響き、この日のライブは「Paradise Has No Border」で幕を下ろす。アグレッシブに客席を煽るGAMOのリードで大きな一体感に包まれた中野サンプラザ。曲を終え、スクリーンに投影されたエンドムービーには、ライブ中に谷中が撮影した、メンバーとファンの弾ける笑顔の集合写真が写し出されていた。

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「東京スカパラダイスオーケストラ TOUR 2022 『BEST OF LUCK』」2022年7月27日 中野サンプラザホール セットリスト

01. SKA! BON-DANCE~We Welcome The Spirits
02. TONGUES OF FIRE
03. Glorious
04. 会いたいね。゚(゚´ω`゚)゚。
05. ハプニング
06. HURRY UP!!
07. Blue Mountain
08. SOUL GROWL
09. チャンス
10. 世界地図
11. 暗夜行路
12. サボタージュ(VS. ALI
13. 快哉を叫ぶとき
14. 君と僕
15. スキャラバン
16. DOWN BEAT STOMP
17. Can't Take My Eyes Off You -君の瞳に恋してる-
18. S.O.S. [Share One Sorrow]
19. The Last
20. 君にサチアレ
<アンコール>
21. めくれたオレンジ w / ALI
22. Paradise Has No Border
※5曲目~9曲目はメドレー

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TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA🎺 @tokyoskaj

【ライブレポート】
“幸せの黄色いスカパラ”が全国駆けたツアーに幕、ALIと飾った有終の美に「音楽がとても必要さ!」(写真15枚) https://t.co/Z0SBsMRbMO

#東京スカパラダイスオーケストラ #スカパラ #サチアレツアー #ALImusic

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