ceroは2020年に同会場でワンマンライブの開催を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により公演を中止し、日付を変更して無観客配信ライブを実施。また今年4月に同会場で行われたカクバリズム主催のライブイベント「カクバリズム20周年記念SPECIAL VOL.01」への出演も決定していたが、こちらは高城晶平(Vo, Flute, G)が新型コロナウイルスに感染したため出演を断念していた。
ceroにとってリベンジの機会となったこの日の野音公演であったが、朝からあいにくの雨模様。そぼ降る雨の中、観客たちは雨合羽に身を包みメンバーの登場を静かに待ちわびていた。定刻になると高城、荒内佑(Key)、橋本翼(G, Cho)が、サポートメンバーの厚海義朗(B)、光永渉(Dr)、
ファンキーな「Yellow Magus(Obscure)」が届けられると客席を埋め尽くした色とりどりの雨合羽がリズミカルに揺れる。続く「Summer Soul」の演奏時には雨足が弱まり、入れ替わるように聞こえてきた蝉の鳴き声が、楽曲に漂うメロウな夏のムードを絶妙に演出した。その後、「よきせぬ」「Orphans」「FALLIN'」といった、ゆったりとしたテンポの楽曲が届けられると、心地よい雰囲気が場内に広がっていった。
高城の奏でるブルージーなギターが印象的な「夜去」に続けて、「Elephant Ghost」の演奏がスタートするとスリリングなアフロビートに場内のテンションが一気に高まる。ceroは畳みかけるようにライブでのキラーチューン「魚の骨 鳥の羽根」を演奏。重層的なリズムアンサンブルで観客をぐいぐいと引き込んでいく。続く「Waters」ではバンドが奏でる繊細なサウンドと、角銅と小田のコーラスが混ざり合い壮大なサウンドスケープが作り上げられた。
しっとりとした「Double Exposure」で場内をチルアウトさせると、メンバーは楽器を置き、オープニング時と同様に、再びステージの上をブラブラとそぞろ歩く。しんと静まり返る会場にマイクを通さない生の歌声、そして蝉の鳴き声と子供たちの嬌声が微かに響く。続けて披露されたのは新曲「Fuha」。静かに始まった楽曲が徐々に激しさを増していくのと呼応するかのように雨脚が強まり、得も言われぬドラマチックな雰囲気が生み出された。
メンバー紹介を経てライブは後半に突入。高城が艶やかなファルセットボイスを聞かせる「Nemesis」、幻想的なムードの「outdoors」に続けて、「Poly Life Multi Soul」へとシームレスに演奏が移行すると場内のボルテージが上昇。バンドが繰り出すダンサブルな四つ打ちのビートに観客たちは思い思いにステップを踏んでいた。ceroは本編最後にスペイシーな「Fdf」を演奏。高城がサンバホイッスルを吹き、荒内がロボットの被り物を身に着けて演奏するなど、にぎやかなパフォーマンスでひとしきり観客を盛り上げてステージを後にした。
アンコールに応えてメンバーが再びステージに登場。「今日みたいなハードな日に、この場所を選んでくれて皆さん本当にありがとうございます」と高城が感謝の気持ちを伝えると盛大な拍手が沸き起こった。ceroは「街の報せ」をじっくりと聞かせたのち、最後に「さん!」を晴れやかに演奏し、ハッピーな雰囲気で野音ワンマンの幕を下ろした。
cero「Outdoors」2022年7月16日 日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)セットリスト
01. 溯行
02. Yellow Magus(Obscure)
03. Summer Soul
04. よきせぬ
05. Orphans
06. FALLIN’
07. 夜去
08. Elephant Ghost
09. 魚の骨 鳥の羽根
10. Waters
11. Double Exposure
12. Fuha
13. Cupola
14. Nemesis
15. outdoors
16. Poly Life Multi Soul
17. Fdf
<アンコール>
18. 街の報せ
19. さん!
※高城晶平の「高」ははしご高が正式表記。
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