今を更新するための一歩、THE NOVEMBERS「歓喜天」ツアーで変わらぬ姿勢提示

THE NOVEMBERSの全国ツアー「THE NOVEMBERS Tour2022 -歓喜天-」のファイナル公演が7月11日に東京・Zepp Haneda（TOKYO）で開催された。

東名阪以外の会場を含むツアーは2019年開催の「ANGELS ONE MAN TOUR 2019」以来、およそ3年ぶりとなったTHE NOVEMBERS。今回の公演は力強いメロディ、オーケストラのように膨らんでいくアンサンブルが特徴的な「ANGELS」で幕を開け、前半には小林祐介（Vo, G）がアコースティックギターを爪弾くフォーク系の1曲「最近あなたの暮らしはどう」など、歌でじっくりと聴かせる楽曲が選ばれた。中盤からはダンサブルかつハードなナンバーが続き、小林がハンドマイクのみのスタイルになった「New York」以降は「楽園」「KANEDA」「BAD DREAM」といった楽曲をなだれ込むように披露。インディロックのみならずインダストリアル、エレクトロニカなども取り込んだ多彩な音楽性を、THE NOVEMBERSがこれまで歩んできた道をめぐるように表現していった。

近年の楽曲では複雑なシーケンスを同期させるようになった彼らだが、ライブではバンドサウンドの迫力も失わない、テクニカルなプレイを展開。小林は中野雅之（BOOM BOOM SATELLITES）との新バンド・THE SPELLBOUNDでの経験を存分に生かし、スキルアップした歌唱力で楽曲の世界観を描き出す。ときには両手を高く掲げて踊り、オーディエンスを魅了する場面もあった。その一方でケンゴマツモト（G）、高松浩史（B）、吉木諒祐（Dr）は息を合わせ、轟音の中でも乱れずに演奏していく。中でもケンゴは大量のエフェクターを操りつつ、何度も飛び跳ねる激しいステージングを繰り広げていた。そして4人はおよそ1時間半にわたるパフォーマンスを経て、最後に新曲をプレイする。この曲で彼らは、長年題材にしてきた“タフな時代にどうやって愛し合うのか”について、初期の楽曲に近いメロウなサウンドに乗せて描写。変わらぬ姿勢を表現し続けてきたこと、これからもその姿勢を保ち続けていくことが示された。

なお終演後、来場者にはセットリストに沿った順番で、各演奏曲の印象的な歌詞の一節をつづったペーパーが配布された。このペーパーの内容は、THE NOVEMBERSのTwitter公式アカウントでも公開されている。

THE NOVEMBERSは11月10日に東京・LIQUIDROOMにて、「他でもない11月に、いまの自分たちを更新する、超えていく、塗り替えていく」という意志を込めたワンマンライブ「Beyond The Novembers - 20221110 -」を開催。バンドのオフィシャルサイトでは7月18日23:59までチケットの先行予約を受け付けている。