「今出せる音を出し合って、音楽をやればいいんだ」DISH//が横浜で確かに鳴らしたバンドの“今”

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DISH//が6月30日に愛知・名古屋国際会議場センチュリーホールでワンマンツアー「LIVE TOUR -DISH//- 2022『今』」の最終公演を行った。

DISH//(Photo by Ray Otabe)

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6月7日の大阪・オリックス劇場公演を皮切りに、3都市で全6公演が行われた今回のツアー。この記事では、6月25日に神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールで行われたライブの模様をレポートする。

DISH//(Photo by Ray Otabe)

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開演時刻の17:00を回ると、ステージに姿を見せたのは橘柊生(DJ, Key)と泉大智(Dr)。DJセット、ドラムセットにそれぞれ向き合った彼らがおもむろに鳴らしたサウンドによって会場にノイジーな音が響き渡ると、北村匠海(Vo, G)が遅れて姿を現した。3人がオープニングナンバーに選んだのは“大いなる旅の始まり”に高鳴る思いを歌う「バースデー」。北村はクリアなボーカルで丁寧に楽曲のメッセージをオーディエンスへ届け、この日のライブの幕を開けた。

DISH//(Photo by Ray Otabe)

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北村の熱い歌声を煽るように、橘と泉もコーラスで加勢した「Get Power」を終えると、北村は「DISH//には今、1人足りないけど。それでも今できることを精一杯届けます、よろしく!」とファンに約束した。前日24日とこの日のライブは、矢部昌暉(Cho, G)が体調不良のため急遽出演を見合わせることとなったが、ステージに立つ3人は高い集中力とパッションをもって“4人分”の熱量を生み出していく。その奥にある思いについて「昌暉のいないDISH//がDISH//だなんて思っていないけど、俺たちの音を止めないことはできるから」とMCで語った北村。一方で橘は「今日は皆さんが昌暉です!」と宣言し「昌暉は下のほうで中途半端に手を叩いたりしません! 手、挙げろ!」と、力強い言葉でファンを鼓舞する。橘の煽りを受けてなだれ込んだ「Shall We Dance????」ではミラーボールのせわしない回転で会場全体がきらびやかな光に包まれ、ハンドマイクをヘッドセットに変えた北村もステージの最前線へと飛び出してオーディエンスを煽った。ファンの熱狂とメンバーのスキルフルなソロ回しによって楽曲の盛り上がりが最高潮に達した瞬間、ステージ両脇のビジョンには矢部が“指ハート”でウィンクする画像が映し出されるサプライズも。メンバーの遊び心と思いやりあふれる演出に客席はにわかに沸き立ち、ヒリヒリとした熱気と温かなムードが同居する、独特な空気感がホール全体を包んでいた。

北村匠海(Vo, G)(Photo by Ray Otabe)

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ひんやりとしたカッティングギターが刻むリズムと、エフェクトを効かせた気だるげな北村のボーカルが洒脱なムードを醸成した「QQ」を終えると、北村は「次の曲は座って聴いてみたりするのもいいかも」とスラッシャー(DISH//ファンの呼称)に提案する。ステージに運び込まれたグランドピアノの前に橘が座り、届けられたのは「猫」。ハイスツールに座った北村は橘が奏でる柔らかなピアノの音色に耳を傾けながら、じっくりと噛み締めるように言葉を歌い紡いでいく。北村と橘のセッションを経て、2番からはバンドの音が重なるというドラマティックなアレンジが披露されたスペシャルなひとときを終えると、響いたのは泉の叩く軽やかなスネアドラムの音。続く「沈丁花」では北村が「昌暉に感謝を伝えよう!」とスラッシャーに呼びかけ、客席がピンク色の光一色に包まれる。温かな光がリズミカルに揺れる眼前の光景を見つめた北村は「きっと昌暉に届いたと思います。皆さんありがとう!」と笑顔で感謝を伝えていた。

橘柊生(DJ, Key)(Photo by Ray Otabe)

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今年1月から、バンドの“今の音”で過去の楽曲を鳴らす「再青プロジェクト」を行っているDISH//。ここで届けられた「birds」もこのプロジェクトによって“再青”されたナンバーで、北村はバンドが奏でる瑞々しいサウンドに優しい歌声を乗せ、楽曲の持つエバーグリーンな世界観を豊かに立ち上がらせた。そして、続く「SING-A-LONG」でライブはクライマックスへ。泉のパワフルなドラミングが一瞬にして会場の空気を塗り替えると、マイクスタンドからマイクを取り去った北村は体の奥からうなり上げるようなロングトーンでオーディエンスを圧倒する。北村と橘のラップの応酬が展開された「Rock Your Body Rock」では、ステージを縦横無尽に動き回る橘がラップにスクラッチにと獅子奮迅の活躍。矢部と同様、DISH//の“パーティメイカー”である彼は、「東京VIBRATION」でもタオルを片手に「回せ回せ!」とオーディエンスを煽り「こんなに楽しい横浜は二度とないぜ!」と無邪気に笑った。

泉大智(Dr)(Photo by Ray Otabe)

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会場の熱狂が最高潮に達したキラーチューン「Seagull」を終えると、この日最後のMCへ。「メンバーが1人いないって、これだけぽっかり穴が空いたような感覚で、寂しくて、でもなんとかしなきゃいけなくて」と素直な心境を語った北村は「でも、みんなを含んだDISH//という大きなチームがつながり合ったからこそ、できたライブだと思います。ありがとう」とスラッシャーに感謝を伝えた。この日のライブを経て、改めて「今」というツアータイトルの意味を考えたという北村。「たとえ未完成でも、不完全でも、そのときに出せる音、出せる声を出せばいいって……今出せる音を出し合って、音楽をやればいいんだって。僕が今伝えたいのは、こんな“今”をみんなに大事にしてほしいということです」と訴えた彼は「不確定な未来じゃなくて、今を大事にする。今、自分が一番大事なものを握りしめて、毎分毎秒しっかりと息をすることが僕の人生のモットーです」と、まっすぐな言葉で思いを伝えた。

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「今というカケラを握りしめて、最後にこの曲を。声出せないなんて関係ない、心で歌ってください」。北村の言葉とともに届けられたラストナンバーは「虹のカケラ」。芯の通った力強い歌声を響かせる北村が掲げた手をぎゅっと握ると虹色の光がステージを照らし、客席にはテープキャノンが勢いよく放たれた。アンコールなしの全18曲を確かなアンサンブルで鳴らし、バンドの“現在地”を音でしっかりと示したDISH//。最後に北村は、矢部の機材を使ってサポートギターに入った新井弘毅(THE KEBABS)を紹介し「昌暉の存在証明を、新井さんがしてくれました。今日は本当に、みんなで作ったライブだと思っています」と感謝を伝えた。メンバーの口からは、12月24日に大阪・大阪城ホール、翌25日に東京・国立代々木競技場第一体育館でバンド初のアリーナワンマンが行われるという吉報も。「マジでヤバいよな? すごいよなあ」と言う橘の言葉に北村は「こんなの絶対ヤバいライブにするに決まってる!」と返答。胸が高鳴るような“これから”を見つめながら、3人は「以上、DISH//でした! また会いましょう!」と叫んでステージをあとにした。

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DISH//「LIVE TOUR -DISH//- 2022『今』」2022年6月25日 パシフィコ横浜 国立大ホール セットリスト

01. バースデー
02. Get Power
03. FREAKSHOW
04. JUMPer
05. Shall We Dance????
06. BEAT MONSTER
07. NOT FLUNKY
08. QQ
09. 明日を見つめて
10. 猫
11. 沈丁花
12. birds
13. SING-A-LONG
14. Rock Your Body Rock
15. B-BOY
16. 東京VIBRATION
17. Seagull
18. 虹のカケラ

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読者の反応

rara// @MONOCHROME_rara

「不確定な未来じゃなくて、今を大事にする。今、自分が一番大事なものを握りしめて、毎分毎秒しっかりと息をすることが僕の人生のモットーです」
DISH//LIVE TOUR -DISH//- 2022「今」
(北村匠海)

この言葉が沁みる。
#DISH_今
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