客電が落ち、オーディエンスの温かい拍手に迎えられた吉田山田は、アルバム「愛された記憶」の1曲目に収録されている「世界が変わる」でライブをスタートさせる。デジタル音を盛り込んだ原曲と異なり、本ツアーで彼らはこの曲を弾き語り用にアレンジ。互いの呼吸に合わせてテンポを落としつつ溜めを作るなど、弾き語りライブならではのパフォーマンスでアルバム曲を届けていく。「好き好き大好き」では全国を回ってきたことを受けて山田義孝(Vo)が「好きばい」「好きとよ」と各地方の方言を交えたアドリブで歌う。約3カ月にわたって15都市を回ってきた彼らは「ようやくここにたどり着いた」と感無量。吉田結威(G, Vo)は「最高のライブを15回更新してツアーを回ってきた」と胸を張り、「今日はもっと素敵なライブにする」とツアーファイナルへの意気込みを口にした。
山田の願望とコンプレックスが入り混じった「鳥人間になりたい」、名前に“田んぼの田”が付くという縁から国産米消費企画「NO RICE NO LIFE PROJECT」のタイアップソングとして生み出された「ひとつぶ」などを経て、ライブは中盤へ。「もう やだ しにたい」という一節から始まる「もやし」では、山田も笛を吹いて演奏に参加。数年前まで楽器を弾けないことを吉田にイジられていた山田も、本ツアーでは複数の笛を吹きこなし、2人編成での表現の幅を広げたパフォーマンスでアルバム曲を再現する。「もやし」の演奏が終わると2人は「最近、TikTokで『もやし』関連の動画が拡散されている」と、思わぬところで楽曲がヒットしていることを伝える。かつてはNHK「みんなのうた」の影響で“「日々」の2人”と呼ばれていた彼らが最近では“「もやし」の2人”になりつつあると、ファンに報告した。さらにMCで吉田は最前列に「吉田山田婚しました」といううちわを持った夫婦のファンが座っていることに気付く。吉田は「そんなこと言ったらもう別れられないよ?」とプレッシャーをかけつつ、「お幸せに」とオーディエンスと一緒に2人を祝福。「こういうのがライブだよね」と、現場ならではの出会いを喜んでいた。
山田がタンバリンを激しく打ち鳴らしながら歌う「才能開花前夜」からは、吉田山田のアッパーチューンが矢継ぎ早に披露される展開に。ホール内がカラフルに彩られた「Color」、吉田の力強いアコギのストロークに乗せて山田が「いくぞー!」と叫んで観客を先導した「未来」を経て、ライブはクライマックスに向けて熱を帯びていく。
ライブ終盤、「音楽を続けてきてよかった」と話し始めた吉田は、「僕らは“等身大の応援歌を届けたい”というテーマでデビューした」と、デビューから現在までの道のりを回想し始める。「自分のことを全部好きになれるわけじゃないから、等身大の自分を受け入れながら誰かに応援歌を届けることがすごく難しくて、何度も葛藤がありました。等身大ってなんだろう、自分たちはなんのために音楽をやっているんだろうって。でも今回のツアーを通じて、やっぱり自分の居場所がここなんだ、自分の居場所は音楽の中にあるなって、そう思えました。そう思わせてくれたのは、皆さんがいたからです」とファンに感謝の言葉を述べた。さらに吉田は「そんな大切なことを忘れないために自分のために作った曲ですが、僕の人生を賭けて、感謝を込めてこの曲を皆さんに贈りたい」と、アルバム表題曲「愛された記憶」を弾き始める。演奏中、吉田はギターを弾く手を緩めてほぼアカペラに近い状態で歌い、ファンへの愛情を伝えた。
本編最後の曲「てと手」の歌唱時には山田が自身の思いを口にし始める。「今、曲がたくさんできている」と近況を報告した彼は「ちょっと前までは『この先大丈夫かな』と思っていたけど、もし世界中がこれ以上のことが起こって、めちゃくちゃな世の中になっても、たぶん歌を作る。いいメロディといい歌詞ができたら、よっちゃんに『めちゃくちゃいい歌ができたよ』って聞かせるかな。どんなことが起こってもこの繰り返しなんだなって、このツアーを回りながら確信しました」と音楽への思いを口にした。「てと手」の演奏が終わると、2人は深々とオーディエンスに向けて頭を下げ、ライブ本編の幕を閉じた。
アンコールで吉田山田は、ツアーを回りながら少しずつ作ってきたという未発表の新曲「音楽」をパフォーマンス。「生きることはさびしいこと」という山田のアカペラで始まるこの曲を、ワンコーラスだけしかできていない状態でいち早くオーディエンスに届け、客席からの喝采をさらった。アンコールを終えても拍手は鳴り止まず、ライブはダブルアンコールに突入。再び姿を表し「歌おう」と気合いを入れた2人は、ステージの淵に立ち、ギリギリまで客席に近づいたところで肩を並べてマイクやPAシステムを通さず生音で「約束のマーチ」を歌う。吉田の優しいストロークと2人の歌声がホール内に響く中、オーディエンスは体を揺らして彼らの演奏に聴き入っていた。「また必ずお会いしましょう」と、ファンと固い“約束”を交わした2人は深いお辞儀をして、弾き語りツアー「愛された記憶」を締めくくった。
吉田山田「吉田山田弾き語りツアー2022~愛された記憶~」2022年6月26日 日本橋三井ホール セットリスト
01. 世界が変わる
02. 好き好き大好き
03. グレープフルーツ
04. 鳥人間になりたい
05. ひとつぶ
06. もやし
07. それでも
08. 日々
09. おばけ
10. 才能開花前夜
11. Color
12. 未来
13. 愛された記憶
14. てと手
<アンコール>
15. 魔法のような
16. 音楽
<ダブルアンコール>
17. 約束のマーチ
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吉田山田の居場所はここにある、2人で回った全国ツアー東京で幕 (ナタリー)
吉田山田が昨日6月26日に東京・日本橋三井ホールにて全国ツアー「吉田山田弾き語りツアー2022~愛された記憶~」の最終公演を開催した。 吉田山田(撮影:白石達…
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